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スペシャリストが教える認知症を合併している患者の診かた、関わりかた

スペシャリストが教える認知症を合併している患者の診かた、関わりかた
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筆頭著者 成本/迅 (編集)

京都府立医科大学教授

その他の著者等 谷向/仁(編集)

新興医学出版社

電子版ISBN

電子版発売日 2021年8月9日

ページ数 120

判型 B5

印刷版ISBN 978-4-88002-116-4

印刷版発行年月 2021年8月

DOI https://doi.org/10.18887/9784880021164

書籍・雑誌概要

認知症となったあとも円滑に通常の診療が受けられることをめざし、多職種、多診療科による専門家の工夫と知恵を結集!

京都式オレンジプランには「私は、体調を崩した時にはすぐに治療を受けることができ、具合の悪い時を除いて住み慣れた場所で終始切れ目のない医療と介護を受けて、すこやかにすごしている」というビジョンがあります。病気になったら適切な医療を受けたい。本書はこのビジョンを現実にしたいという熱意ある執筆陣によってまとめられました。どんな工夫が必要なのか、さまざまな職種、診療科のキーパーソンが、認知症のひとの身体疾患の診かたをわかりやすく解説しました。入院時から退院支援を始める視点は、職種を問わず知っておきたい

目次

第1章 病棟における認知症対応のポイント

1 病棟での対応のポイント 12
1コミュニケーションのポイント 12
1.コミュニケーションの原則と認知症者の特徴
2.苦痛に関心を寄せながら意識・注意・記憶を評価する
2環境調整のポイント 16
1.環境調整とは
2.すぐに実践できる効果的な環境調整による支援
3認知症者への検査・処置の際の留意ポイント 18
4病棟での対応で医療スタッフが避けるべきポイント 19
5認知症者の意思の尊重と医療安全とのバランス 19

2 病棟で困るよくある認知症の症状とその対応のポイント 21
1せん妄 21
1.せん妄の病態
2.臨床での対応
3.せん妄の予防
4.せん妄の治療
2不眠 24
1.高齢者の不眠
2.不眠の原因
3.薬物療法の注意点
4.不眠とせん妄の鑑別
3うつとアパシー 26
1.高齢者のうつ
2.高齢者のアパシー
3.うつ,アパシー,せん妄の鑑別

3 認知症が疑われる場合の対応 29
1認知症の併存に気づくことの重要性 29
2認知症の存在が疑われる場合の対応として必要なこと 30
1.注意深く言動を観察し,客観的に評価する
2.家族からこれまでの生活面での情報を得る
3.簡易な認知機能スクリーニング評価を行う
3せん妄や行動・心理症状(BPSD)から認知症が疑われる場合の注意点 35

4 意思決定支援のポイント 36
1意思決定とは 36
2認知症の人の意思決定支援 36
1.人的・物的環境の整備
2.意思形成支援
3.意思表明支援
4.意思実現支援
3意思決定能力に関連する認知機能障害への対応 39
1.注意
2.ワーキングメモリー
3.抑制
4.セットシフト
5.流暢性
4医療同意能力評価 41
5多職種で考える意思決定支援 43

第2章 病棟における認知症の身体合併症対応のポイント

1 糖尿病 46
1疾患概要ポイント 46
1.糖尿病と認知機能障害・認知症
2.認知機能障害や認知症発症の危険因子
2認知症患者特有の注意点 47
1.糖尿病における認知機能障害のスクリーニングを行う
2.フレイルの評価を行い,その対策を立てる
3.低栄養は認知機能を低下させるので,エネルギー量やタンパク質の摂取不足に注意する
4.坐位時間を短くし,レジスタンス運動を含む多要素の運動を行う
5.家への閉じこもりと孤立,いわゆる社会的フレイルの対策を立てる
6.BPSDを防ぐために多職種のチームでかかわり,介護者の負担を軽減する
7.薬物療法では介護者にも低血糖・シックデイ対策を指導する
8.認知機能などを考慮した血糖コントロール目標を設定する
3事例:70歳代後半,女性 51
1.病歴
2.身体所見と検査所見
3.高齢者総合機能評価
4.入院後経過
4不適切な対応 53
1.低血糖のリスクが高い厳格すぎる血糖コントロール
2.厳格すぎる食事制限
3.体調不良の際の不適切な対処

2 大腿骨近位部骨折 55
1疾患概要ポイント 55
1.疫学
2.分類
3.治療法と要点
4.予後
2認知症患者特有の注意点 58
1.受傷から来院まで
2.入院から手術まで
3.手術後
4.全般を通して
3事例 59
1.症例1:80歳代,女性
2.症例2:90歳代,女性
4不適切な対応 61

3 慢性腎臓病・透析 62
1疾患概要ポイント 62
1.慢性腎臓病と日本の腎代替療法の疫学
2.日本における認知症透析患者の疫学
3.腎代替療法のメリット・デメリットと保存的腎臓療法
4.透析患者の認知症の原因
2認知症患者特有の注意点 65
1.認知症透析患者への対応の注意点
2.CKD・透析患者における薬剤使用の注意点
3事例:透析中の不穏を訴える80歳代,女性 69
1.現病歴
2.社会背景
3.入院時現症
4.検査結果
5.経過
4不適切な対応 70

4 心不全 72
1HF患者における病みの軌跡 72
2HF患者における認知機能障害の頻度 72
3HF患者における認知機能障害の評価 73
4HFの認知機能障害に関する潜在的な要因 74
5HF患者における認知機能障害発症のメカニズム 75
6認知機能障害はHF患者の予後不良因子 75
7認知機能障害を伴うHF患者への治療 76
1.薬物療法
2.非薬物療法
8今後に期待されること 77

5 呼吸器疾患 79
1疾患概要ポイント 79
1.COPD
2.高齢者の肺炎:誤嚥性肺炎
2認知症患者特有の注意点 81
1.認知症と肺炎
2.認知症患者の誤嚥性肺炎と食事
3.在宅医との連携
3事例:80歳代前半,女性 83
1.本事例における不適切な対応
2.不適切な対応を避けるために
4地域包括支援センターへ伝えるポイント 84
5成年後見人などへ伝えるポイント 84

6 がん 86
1治療概要ポイント 86
2認知症患者特有の注意点 88
1.意思決定能力の評価と支援
2.周術期管理
3事例:意思決定支援に関する仮想事例 90
1.80歳代,男性,下咽頭癌
2.それぞれの立場からの意見
3.実際の対応
4不適切な対応 91

7 白内障 93
1疾患概要ポイント 93
1.老化としての白内障
2.白内障と認知機能の関係
2認知症患者の白内障手術 94
1.意思決定プロセスにおける問題点
2.白内障手術:術中管理のポイント
3.白内障手術:術後管理のポイント
4.麻酔管理
3事例 98
1.はじめから全身麻酔を選択した80歳代,男性
2.術中に不穏となった80歳代,男性
4不適切な対応 100

第3章 退院に向けた地域資源との連携のポイント

1 退院に向けた地域資源との連携のポイント 102
1退院支援の基礎:支援過程を理解しよう 102
1.入院から暮らしの場への移行を支援する
2.退院支援の3段階のプロセス
3.3段階プロセスのポイント
4.2つの視点で,在宅移行する際の“気になること”を整理していこう
2地域での支援者との連携によるサポート 109
1.入院時連携カンファレンス(第1段階から第2段階)
2.退院前カンファレンス(第3段階)
3事例 111
1.70歳代,女性.心不全.地域包括支援センターとの連携ができたAさん
2.80歳代,男性.医療連携ができたBさん

INDEX 115