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生殖医療フロントラインMOOK(3)がん・生殖医療
がんサバイバーシップ向上を志向して
兵庫医科大学医学部産科婦人科学講座主任教授/聖マリアンナ医科大学産婦人科学主任教授
その他の著者等 木村文則,谷山智子,清水千佳子,小泉智恵,鈴木達也,片岡伸介,北野敦子,山口さやか,中山ロバート,銘苅桂子,中村健太郎,原田美由紀,渡邉裕美
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2023年5月11日
ページ数 205
判型 B5判
印刷版ISBN 978-4-498-16044-6
印刷版発行年月 2023年5月
書籍・雑誌概要
最前線の知識を学ぶ生殖医療シリーズ第三弾.がん患者の妊孕性の問題を多角的に解説.
生殖医療の最前線の知識と技術を伝えるシリーズ第三弾.がん患者の生存率の増加が著しい昨今,生殖医療はもはやマイナーな問題ではなく,重要なトピックの一つである.本書では,チーム全体で共有しておきたい基礎知識から最新の知見までを網羅した.執筆陣には医師のみならず,がん患者のサポートを行うコミュニティの代表なども参加.「がんサバイバーシップ向上」をキーワードに,多角的にがんと生殖医療を学べる1冊である.
目次
Chapter I がん・生殖医療とは
[1]がん・生殖医療とは〈木村文則〉
1.がん経験者の増加
2.がん治療による妊孕性の障害
3.がん経験者の心理
4.がん患者への生殖医療技術の応用とがん患者のreproductive health and rights
5.がん・生殖医療とは
[2]がんサバイバーシップ〈谷山智子 清水千佳子〉
1.がんサバイバーの定義
2.がんサバイバーシップの歴史
3.がんサバイバーシップケア
4.がんサバイバーシップケアのモデル構築
5.がんサバイバーシップ研究の主なトピック
6.がんサバイバーシップの今後の課題
[3]意思決定支援〈小泉智恵〉
1.がん・生殖医療における意思決定支援研究
2.妊孕性温存に対する意思決定の規定要因
3.効果的な意思決定支援とは
4.今後の展望
[4]造血器腫瘍とがん・生殖医療〈鈴木達也〉
1.造血器腫瘍とがん・生殖医療のポイント
2.造血器腫瘍診療におけるがん・生殖医療連携の重要性
3.主な造血器腫瘍の標準治療と生殖機能温存について
4.急性白血病
5.急性骨髄性白血病(AML)の標準治療
6.急性リンパ芽球性白血病・リンパ腫(ALL/LBL)の標準治療
7.急性白血病における生殖機能温存について
8.悪性リンパ腫の標準治療と生殖機能温存について
9.国立がん研究センター中央病院での取り組み
[5]小児とがん・生殖医療〈片岡伸介〉
1.小児がんの疫学・生存率
2.小児がんの診断
3.小児がんの治療と妊孕性温存療法
4.小児に特有の課題
5.小児がん患者における妊孕性温存療法の適応
6.妊孕性温存療法の方法
7.妊孕性温存療法と小児がん治療との調整
8.小児がん治療後の妊娠・分娩について
9.今後の展望
[6]乳腺腫瘍とがん・生殖医療〈北野敦子〉
1.AYA世代の乳がん
2.乳がん治療による妊孕性低下
3.挙児希望の乳がん患者に対する妊孕性温存の方法
4.乳がん治療後の妊娠
5.乳がん診療におけるがん・生殖医療の課題
[7]骨・軟部腫瘍とがん・生殖医療〈山口さやか 中山ロバート〉
1.骨・軟部腫瘍とは
2.悪性骨・軟部腫瘍の病期分類と治療戦略
3.悪性骨・軟部腫瘍の疫学とがん薬物療法の適応となる疾患の特徴
4.悪性骨・軟部腫瘍に対する標準的ながん薬物療法と性腺機能に与える影響
5.妊孕性温存療法の適応となりうる対象患者
6.骨盤・後腹膜発生の悪性骨・軟部腫瘍の患者における妊孕性の課題
7.悪性骨・軟部腫瘍におけるがん・生殖医療の実際と今後
[8]ASCO guideline 2018 Summary〈銘苅桂子〉
1.ASCO guideline 2018の目標と更新点
[9]欧州の妊孕性温存に関するガイドライン2020年版について(ESMOならびにESHRE)〈中村健太郎 鈴木 直〉
1.ESMO臨床診療ガイドライン
2.ESHREガイドライン
[10]日本癌治療学会ガイドライン〈原田美由紀〉
1.ガイドラインの3つの特徴
2.ガイドラインの与えた影響
[11]ヘルスケアプロバイダーの役割
A.がん・生殖医療専門心理士(がん側)の役割,がん治療期からサバイバーシップの視点を含めて〈渡邉裕美〉
B.がん・生殖医療専門心理士(生殖側)の役割,多職種連携,伝えたいこと〈奈良和子〉
C.オンコファティリティーナビゲーターナース(がん側)〈渡邊知映〉
D.オンコファティリティーナビゲーターナース(生殖側)〈中村 希〉
1.患者の状況や意向,ニーズを把握する
2.診察の同席と意思決定の支援
3.通院中から治療終了後の継続的支援
E.薬剤師〈米村雅人〉
F.認定遺伝カウンセラー®〈沼田早苗〉
1.遺伝カウンセリングと認定遺伝カウンセラー®の役割
2.遺伝性腫瘍と妊孕性温存
G.胚培養士〈泊 博幸〉
1.がん・生殖医療における生殖細胞ならびに組織の凍結保存技術
2.凍結生殖細胞ならびに組織の適切な長期保存管理
H.認定がん・生殖医療ナビゲーター〈小野政徳〉
1.認定がん・生殖医療ナビゲーターの役割
2.認定ナビゲーターの資格要件(概要)
3.認定がん・生殖医療施設の資格要件(概要)
Chapter II 妊孕性温存療法
[1]胚(受精卵)〈堀江昭史〉
1.妊孕性温存療法としての胚凍結の位置づけ
2.排卵誘発法の違い
3.受精方法-媒精か顕微授精か
4.凍結胚の選択―初期胚凍結か,胚盤胞凍結か
5.未受精卵子凍結,受精卵凍結における選択
[2]未受精卵子〈加藤恵一〉
1.未受精卵子および胚の凍結保存法
2.血液疾患未婚患者に対する未受精卵子保存
3.研究開発部門としての妊孕性温存療法との関わり
[3]ランダムスタート法調節卵巣刺激〈岩佐 武 柳原里江 山本由理〉
1.ランダムスタート法の原理
2.ランダムスタート法の歴史とエビデンス
3.ランダムスタート法の実際
[4]AI併用卵巣刺激〈岡田英孝 中尾朋子〉
1.AIの作用機序と特徴
2.排卵誘発薬としてのレトロゾール
3.妊孕性温存療法におけるレトロゾールの位置付け
4.乳がん患者へのレトロゾールによる卵巣刺激法
5.レトロゾール併用の卵巣刺激による乳がん患者への影響
6.児への影響について
[5]DuoStim法〈田村 功〉
1.DuoStim法とは
2.DuoStim法の原理
3.DuoStim法の実際
4.DuoStim法の有効性
5.ESHREガイドラインにおけるDuoStim法の位置付け
[6]Onco-IVM〈福田愛作〉
1.未熟卵体外受精(IVM)について
2.IVMと通常IVFではどこが違うのか
3.IVMとIVFではどこに違いがあるのか
4.IVMを妊孕性温存に有効活用できる理由
5.Onco-IVMの課題
6.まとめ
[7]卵巣組織〈高山恵理奈 前沢忠志〉
1.適応
2.方法
3.融解移植
4.卵巣組織へのがん細胞混入のリスクについて
5.成績
6.今後の展望
[8]GnRHによる卵巣保護〈脇本 裕 荻野奈々〉
1.化学療法による卵巣毒性
2.化学療法の卵巣毒性に対するGnRHaによる卵巣保護の機序
3.GnRHaによる卵巣保護についてのASCOの見解
[9]精子(TESEも含む)〈湯村 寧〉
1.がん治療が引き起こす男性不妊症
2.抗がん剤・放射線治療による造精機能低下のメカニズム
3.がん治療後の妊孕性の回復
4.精子・精巣組織凍結の実際
5.Onco TESEについて
[10]精巣組織凍結〈白石絵莉子 岩端威之 杉本公平〉
1.男性がん患者における妊孕性温存療法
2.精巣組織凍結の研究の歴史
3.精巣組織凍結の方法
4.若年男性の妊孕性温存の実際
5.今後の展望
1[1]人工卵巣〈岩端秀之 鈴木 直〉
1.卵巣組織移植における“がん”の卵巣転移による問題
2.卵巣組織移植の代替手段としての人工卵巣
3.新規実験系としての人工卵巣の応用
4.ホルモン補充療法の代替手段としての人工卵巣
Chapter III がん・生殖医療の課題と展望
[1]ピアサポート(女性)〈御舩美絵〉
1.ピアサポートの実態
2.がん・生殖医療におけるピアサポート
[2]がん・生殖ピアサポート(男性)〈岸田 徹〉
1.課題
2.展望
3.患者にとっては「妊孕性温存」がゴールではない
[3]オンコ・ウィメンズヘルスケア〈太田邦明 高橋俊文〉
1.新しいエビデンスからみえてきた晩期合併症の問題点
2.オンコ・ウィメンズヘルスケアに求められる今後の展望
[4]プレコンセプションケア〈安岡稔晃〉
1.がんサバイバーにおけるプレコンセプションケアの重要性
2.妊娠前の健康状態や行動,社会的・経済的環境の重要性
3.がんサバイバーの栄養学的プレコンセプションケア
[5]里親・特別養子縁組〈新屋芳里 杉本公平〉
1.里親制度・特別養子縁組制度について
2.がん・生殖医療と里親制度・特別養子縁組制度
3.今後の課題と展望
[6]医療連携(全国)〈竹中基記〉
1.日本におけるがん・生殖医療連携の現状
2.地域格差の問題点の抽出
2.全国均霑化に向けた施策
[7]移行期医療〈寺下友佳代 真部 淳〉
1.小児がん患者の晩期合併症
2.小児がん患者の産婦人科領域の移行
3.移行期医療の課題
[8]登録制度―日本がん・生殖医療登録システム(JOFR)の現状と課題〈重松幸佑 高井 泰〉
1.日本がん・生殖医療登録システムの現状と課題
[9]公的助成金制度〈洞下由記 鈴木 直〉
1.がん・生殖における患者の経済的負担
2.小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業
[10]がん・生殖医療の今後の展望〈原田美由紀 大須賀 穣〉