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小児頭部外傷の診断と治療
筆頭著者 荒木 尚 (編著) 横田 裕行 三木 保 間瀬 光人 (監修)
埼玉県立小児医療センター小児救命救急センター外傷診療科科長 埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター客員教授
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2021年11月18日
ページ数 280
判型 B5判
印刷版ISBN 978-4-498-14568-9
印刷版発行年月 2021年11月
書籍・雑誌概要
小児の発達途上の脳神経に対する外力による損傷の診療をどのように進めるか,という命題に全国の豊富な診療経験を有するエキスパートたちが応えた小児頭部外傷の専門書の決定版.頭部外傷の病態,年齢に応じた診断と治療や長期予後を見据えたリハビリテーション, 教育・社会的支援,そして大きな社会問題となっている被虐待児への対応などについて,最新の知見や豊富な図表を用いた症例を交え詳細に解説した.
目次
1章◆小児頭部外傷 総論
1 小児頭部外傷の疫学〈前田 剛〉
厚生労働省の人口動態調査,他からの検討
米国CDCの調査,他からの検討
日本脳神経外傷学会の頭部外傷データバンク
おわりに
2 小児頭部外傷の病理〈小谷泰一〉
頭蓋外損傷(皮膚軟部組織)
頭蓋骨骨折
脳損傷(頭蓋内損傷)
おわりに
3 データバンクに見る小児頭部外傷〈末廣栄一〉
日本頭部外傷データバンク
病院前救護の視点から
患者搬入時の所見
治療内容
転帰
おわりに
4 病態の特殊性〈荒木 尚〉
小児の外傷性脳損傷の特徴
病院前救護
小児の外傷性脳損傷の短期および長期予後
小児頭部外傷における患者と家族ケア
リハビリテーション
5 症状・症候の特殊性〈相賀咲央莉,川崎達也〉
初期蘇生
気道確保の要点
静脈路確保の要点
神経学的評価
児童虐待の疑いをもつべき病歴・身体所見
おわりに
6 救急初期対応(病院前を含む)〈本多ゆみえ〉
一般的なドクターヘリの有用性
頭部外傷(特に小児の頭部外傷)に対するドクターヘリの有用性
症例提示
おわりに
7 画像診断〈小熊栄二〉
各種画像診断法
小児の頭部外傷画像診断の論点
おわりに
8 CT適応基準を用いた診療の適正化〈下川尚子〉
臨床現場における小児頭部外傷とCT検査の問題点
日本の医療環境の現状と被曝リスク
小児頭部外傷診療でCT適正使用を達成するための3ポイント
「最適化」「正当化」「情報提供」
2020年診療報酬改定による小児頭部外傷の際のCT撮像に係わる加算
おわりに
9 頭部外傷における神経バイオマーカー〈横堀將司〉
概論
理想的なバイオ―マーカーとは何か?
診断バイオマーカーの限界―特異度と生理的動態
おわりに
10 診療ガイドライン〈刈部 博〉
概論―小児頭部外傷診療ガイドラインの理念と歴史
項目解説
おわりに
2章◆小児頭部外傷 各論
1頭蓋外損傷(皮膚軟部組織)〈下野綾乃〉
概論
Case Report
考察
おわりに
2 頭蓋骨骨折〈萩原信司〉
概論
Case Report
考察
3 開放性脳損傷・局所性脳損傷〈石崎竜司〉
概論
Case Report
考察
おわりに
4 閉鎖性脳損傷・びまん性脳損傷〈荒木 尚〉
概論
Case Report
びまん性脳腫脹とは?
5 外傷性脳血管損傷〈石黒友也,小宮山雅樹〉
概論
Case Report
考察
おわりに
6 顔面外傷〈江浦重義,赤石諭史〉
概論
Case Report
考察
おわりに
7 頸椎頸髄損傷〈大饗和憲〉
概論
Case Report
考察
おわりに
8 穿通性頭部外傷〈阿久津宣行〉
概論
Case Report
考察
おわりに
9 多発外傷の合併〈中江竜太〉
概論
Case Report
考察
おわりに
10 頭蓋内圧モニタリング〈荒木 尚〉
概論
Case Report
考察
おわりに
11 持続脳波モニタリング〈江川悟史〉
背景
てんかん重積状態と非けいれん性てんかん重積状態
転帰への影響
適応とリスクファクター
cEEGモニタリングの期間
病態生理を考えて脳波所見を理解する
cEEGの解釈の仕方
おわりに
12 小児集中治療〈坂本 航,櫻井淑男〉
概論
Case Report
考察
13 くも膜下腔拡大と硬膜下液体貯留・慢性硬膜下血腫〈栗原 淳,荒木 尚〉
概論
Case Report
考察
14 外傷後てんかん〈香川幸太,飯田幸治〉
概論
Case Report
考察
おわりに
15 周産期頭部外傷〈加藤美穂子〉
概論
Case Report
考察
おわりに
16 合併症・後遺症(頭蓋形成術について)〈柴田あみ,金子純也〉
概論
Case Report
考察
おわりに
17 外傷後水頭症・外傷後脊髄空洞〈吉藤和久〉
概論
Case Report
考察
おわりに
3章◆小児頭部外傷のトピックス
1-1 虐待による頭部外傷(abusive head trauma: AHT)〈朴 永銖〉
虐待による頭部外傷の歴史
本邦における乳幼児型急性硬膜下血腫,いわゆる“中村Ⅰ型血腫”について
虐待による頭部外傷の特徴
虐待による頭部外傷と判断する上での注意点
治療
転帰
おわりに
1-2 児童虐待の臨床と疫学〈神薗淳司〉
概論―児童虐待の疫学
児童虐待防止法の改訂
児童虐待の定義
虐待診療における徹底的な鑑別診断
乳幼児のセンチネル外傷の認識とその重要性
顔面・口腔内・頸部の身体的損傷
骨折と児童虐待
全身骨X線検査(skeletal surveys)
臨床検査,特に血液凝固検査の徹底
頭蓋内出血児の凝固機能検査
その他の鑑別疾患
虐待診療における多機関による連携の重要性
おわりに
2 小児のスポーツ頭部外傷と脳振盪〈荻野雅宏〉
疫学
国際スポーツ脳振盪会議
Child SCAT5
現場における対応
医療機関における対応
経過観察
復帰は段階的に
頭蓋内病変がある場合の対応
おわりに
3 小児頭部外傷とリハビリテーション〈栗原まな〉
概論
Case Report
おわりに
4 小児頭部外傷の長期予後と医療ケア〈高橋義男〉
小児外傷性急性硬膜下血腫(infantile traumatic acute subdural hematoma: ITASDH)
の治療転帰,予後
中~重症小児頭部外傷の急性期治療の現実と新たな治療方針
―機能予後を改善する実践活動
脳梗塞様脳虚血所見を呈する他病態,疾患の超慢性期予後と地域展開の意味するもの
中~重症小児頭部外傷の超慢性期の否定的現実の中での地域展開
―重度障害への愛情のある持続的な対応は予後を変える
小児頭部外傷の背景と社会的問題―親のそして社会の養育能力と子どもの発達への影響
おわりに
5 小児頭部外傷の看護と家族対応〈福山操花〉
成長発達段階に応じた看護
虐待を考慮する重要性
脳損傷を受けた児への支援
愛する子どもの突然の受傷に動転する家族への対応
おわりに
6 小児頭部外傷の病診連携〈高山泰広〉
小児頭部外傷の救急医療体制の現状と小児頭部外傷の特徴から考える病診連携の困難さ
小児頭部外傷のガイドラインからみた病診連携の困難さ
小児頭部外傷の病診連携の現状について
小児頭部外傷急性期治療後のリハビリからみた病診連携について
終章〈荒木 尚〉
索引