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ケアとまちづくり、ときどきアート
筆頭著者 西 智弘 守本 陽一 藤岡 聡子 (著)
川崎市立井田病院化学療法センター医長/公立豊岡病院組合立出石医療センター総合診療科/株式会社ReDo代表取締役・福祉環境設計士
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2020年7月6日
ページ数 240
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-498-05730-2
印刷版発行年月 2020年6月
書籍・雑誌概要
急速な高齢化に伴い,緩和ケア・福祉の需要が増加傾向にあるなか,医療者が病院内で患者に接する時間は限られている.今のままでは患者の苦痛を取り除くことはできないと,はがゆい思いを抱えている医療者は少なくないだろう.現在,その解決方法として注目されているのが,社会的手法である.キーワードは「まちづくり」と「アート」.これは,近い将来日本の緩和ケアを救うかもしれない,新しいバイブルである.
目次
目 次
1 ケアとまちづくり
1 医療の「上流と下流」(西/守本)
健康の社会的決定要因
格差が大きいほど死亡率が高まる
暮らしの場に医療・福祉を混ぜ込む
コラム まちにあふれる商品のサイズ・表記と、人の行動の微妙な関係(西)
2 医療者はなぜ地域に出てこないのか(守本)
なぜ医療者がまちへ出ないのか
医療者としての肩書なしにまちに入っていく
「仕事に惚れろ、地方に惚れろ、女房に惚れろ」
3 ケアとまちづくりのコミュニケーション (守本)
平田オリザさんの講演から……コンテクストのずれ
わかり合えないことを前提に対話が始まる
環境をデザインする
人は様々な役割をもって社会に生きている
4 広い意味での緩和ケアの実践 (西)
がん治療と緩和ケアの統合……「まず緩和ケアありき」
「早期からの緩和ケア」はいつから?
緩和ケアという高い壁
まちなかで緩和ケア・ACPをする
5 ポジティヴヘルス (藤岡)
医療者が育んでいく心持ちそのもの
自分と、他者と対話する
地域全体を診る医師たち
ハコの中身の設計に関わる家庭医、理学療法士たち
国の医療基盤になり始めたポジティヴヘルス
6 社会的処方とは何か (西)
社会的孤立を解消する社会的処方
イギリスなどにおける社会的処方
社会的処方研究所
社会的処方を文化にしていく
社会的処方の落とし穴
社会的資源を「使わせていただいている」感謝と謙虚さを忘れない
7 地域への「入り方」と「在り方」(西)
「ひとをあつめる」「ひとがあつまる」
「行く系」「呼ぶ系」そして第3の「在る系」
「往来におけるたき火」〜川崎かってにおもてなし
「ハブ」と「マインドセット」
ハブを押さえることのメリット 〜コミュニティ疲れを予防する
どのようにコミュニティに入っていけるか?
8 ソーシャル・キャピタル (西)
ソーシャル・キャピタルの健康への影響
ソーシャル・キャピタルの負の側面
結合型&橋渡し型ソーシャル・キャピタル
地縁型コミュニティとテーマ型コミュニティ、そして「分散型コミュニティ」へ
コラム SNS時代に、医療情報を発信するということ(西)
2 今日どこかのまちで─社会的処方の実践例─
1 地域を知るには……地域診断の方法と実践 (守本)
まずは地域の先輩たちに聞いてみる
「地域診断」とは
地域診断の実践
2 三種のスペシャリストを仲間にしよう (藤岡)
一、「不動産」─ 家のことを知り尽くしている人 ─
二、「編集者」─ものごとを客観的に、時に情熱的に言葉を紡ぐ人─
三、「デザイン」─「絵」が描ける人─
3 暮らしの保健室の本質 (西/守本)
暮らしの保健室の落とし穴
暮らしの保健室を始めるなら
4 団地という場のケア (守本)
団地が抱える課題
団地内でソーシャル・キャピタルを増やす
「ぐるんとびー」が編みなおす団地コミュニティ
5 まちで暮らすを支える……長崎二丁目家庭科室の実践 (藤岡)
〝関わりしろ〟をつくったら、看板そのものがいらなくなった
アウトプットとアウトカムの生み出し方
「長崎二丁目家庭科室」を畳んだ後のまちの様子
3 明日、あなたの施設・あなたのまちで─社会的処方のはじめかた─
1 多世代がいる環境を作る (守本)
介護施設の課題
多世代が集まる「銀木犀」
多世代が集うしかけ
仕事付き高齢者住宅、というあり方
2 一緒に住む (守本)
地域で一番力になってくれる場所……はっぴーの家ろっけん
コレクティブハウジング
高齢者住宅は突き詰めると、ただの住宅になる
3 病院・施設をまちへ向けて開く……医療を「非日常」から「日常」に (守本)
病院という場に「余白」をつくれるか
まちと一体化した「余白のある病院」
暮らしの導線上に病院があるまち
コラム もしバナ……「もし、職場である施設のロビーを誰もが来られるよう
地域に解放しよう!」って話が出たら、何をどうする? (藤岡)
4 今、どこかのまちで─個人の取組みにみる展望─
1 違う業界からみた違和感を形にしている、ヘラルボニーがクールすぎる。 (藤岡)
ヘラルボニーのストーリー
福祉作業所のプロダクト=低廉品の常識を打ち破った
2 まち全体を健康にする (守本)
気づいたら、健康になるしかけ
地域住民と地域を楽しむ「谷根千まちばの健康プロジェクト」
小さな公共空間を作るYATAI CAFÉ/モバイル屋台de健康カフェ
銭湯という場の可能性とケアのつながり
コラム 離れて、つながる(西/藤岡/守本)
あとがき
索引