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臨床研究アウトプット術
筆頭著者 前田 圭介 室谷 健太 (編著)
愛知医科大学大学院医学研究科緩和・支持医療学准教授/久留米大学バイオ統計センター准教授
その他の著者等 飯島勝矢/森田達也/小山哲男/寺本信嗣/小西正紹/大村健二/松尾浩一郎/百崎 良/飯島祥彦/岩本慈能/木下文恵/三嶋秀行/吉村芳弘/若杉葉子/戸原 玄/兼岡麻子/川口 淳/平川晃弘/野村一暢/中杤昌弘/大山哲司/西本尚樹/野間久史/柳川 堯/古川恭治/若林秀隆/西岡心大/木田圭亮/中村悠城/黄 世捷/井田 智/湯浅秀道/鈴木規雄/安原大生/川島篤志/小坂鎮太郎/社本 博/森 直治/堺 琴美
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2020年3月9日
ページ数 386
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-498-04878-2
印刷版発行年月 2020年2月
書籍・雑誌概要
日々の臨床経験こそ,最大の武器だ!
臨床を研究に活かし,研究を臨床に活かすための知恵を伝授.
志,デザイン,生物統計,書き方,時間管理,など臨床研究にまつわるすべてが詰まった1冊!大学病院はもちろん介護や在宅医療でも,あなたも今日から臨床研究者!
目次
目 次
1章 臨床研究の意義
1 老年医学 〈飯島勝矢〉
A.はじめに:様々な研究(リサーチ)
B.老年医学の視点に立った臨床研究の意義と重要性
C.総合老年学(ジェロントロジー)の視点に立ったアクションリサーチ
COLUMN From Bench to Community
2 緩和ケア領域 〈森田達也〉
A.筆者が研究をしようと思うようになったきっかけ:1990年代前半
B.聖隷三方原病院での単施設の研究:1990年代後半
C.多施設コホート研究を始める:2000年前後
D.その後は見た感じも本格的な研究へ
COLUMN 研究するのはどうしてか?
3 リハビリテーション領域 〈小山哲男〉
A.臨床研究は表現
B.論文は時空を超える表現
C.論文の構成
D.着眼点のコツ
E.文章表現のコツ
F.作図のコツ
COLUMN 論文の図と現代美術
4 急性期高齢者医療 〈寺本信嗣〉
A.なぜ基礎研究ではなく,臨床研究なのか
B.高齢者医療は研究の宝庫である
C.高齢者臨床研究の実例
1.高齢者をよく観察すれば研究したくなる
2.明らかにされていない臨床的事実を数値化する
3.必ず起こることと絶対に起こらないことを見抜く
4.加齢変化研究の罠
5.高齢者研究であるが故の必須なひと工夫の妙味
6.水の誤嚥では肺炎は起こらない,BAL が示す真実
COLUMN 非定型的パーキンソニズムをパーキンソン病から鑑別する自転車サイン(Bicycle sign)
2章 研究を企てる
1 研究デザインの種類と見分け方 〈前田圭介〉
A.リサーチクエスチョン
B.研究デザインの種類
C.観察研究
1.横断研究
2.コホート研究
3.ケースコントロール研究
4.横断+コホート研究
D.介入研究
1.ランダム化比較試験
2.単群介入試験
3.前後比較研究
E.その他の研究デザイン
1.症例報告
2.指標開発研究
3.システマティックレビュー
COLUMN 査読ポリシーのいろいろ
2 内科領域の臨床研究計画のコツと落とし穴 〈小西正紹〉
A.構想の前段階:日常診療とリサーチマインド,クリニカルクエスチョン
B.構想
1.クリニカルクエスチョンからの構想
2.データベースからの構想
C.研究の計画
1.目的および意義,研究の科学的合理性の根拠
2.研究対象
3.除外基準
4.観察・検査項目
5.介入
6.評価項目
7.統計学的事項
8.倫理的事項
9.研究費および利益相反
10.試料・情報の保管方法および廃棄の方法
11.研究に関する情報公開の方法
12.モニタリングと監査
COLUMN 2つの心不全研究:HFpEFとHFrEF
3 外科領域の臨床研究計画のコツと落とし穴 〈大村健二〉
A.外科領域の臨床研究の方法論的分類
B.外科領域の臨床研究の構想
1.探査型研究と仮説検証型研究
2.研究のデザイン
COLUMN 登録を承諾いただけなくても「ドンマイ」
4 食べる問題に挑む臨床研究のコツと落とし穴 〈松尾浩一郎〉
A.研究仮説の立て方
B.Shaker(シャキアー)訓練
C.Effects of Vital Stim
COLUMN 日本のConflict of Interest(COI)開示に思うこと
5 リアルワールドデータを用いた臨床研究計画 〈百崎 良〉
A.研究に使用可能なリアルワールドデータベース
1.海外のリアルワールドデータベース
2.日本のデータベース
B.リアルワールドリサーチにおける解析手法
C.DPC データベースを用いたリアルワールドリサーチ例
1.高齢誤嚥性肺炎に対する早期リハビリテーションの死亡率減少効果
2.大腸がんに対する術前リハビリテーションの効果
COLUMN リアルワールドリサーチの査読対応
6 臨床研究に必要な事前サンプルサイズ試算 〈室谷健太〉
A.サンプルサイズ設計とは
B.シチュエーション別,サンプルサイズ試算に必要な情報
1.連続変数エンドポイントの場合
2.2値変数エンドポイントの場合
3.生存時間エンドポイントの場合
C.実際の算出について 〜統計家との連携を〜
COLUMN 予定よりちょっと多く集めておこう
7 研究倫理審査と研究登録 〈飯島祥彦〉
A.研究倫理の成り立ちと研究倫理原則
B.研究倫理委員会による倫理審査
1.研究倫理委員会とは
2.倫理審査への準備
3.申請書類について
4.利益相反の管理
5.倫理審査
C.研究登録の必要性
D.研究開始から終了まで
COLUMN 臨床研究への規制強化への懸念
8 なぜ後ろ向き研究が重要か? 〈岩本慈能〉
A.後ろ向き研究の弱点
B.質の高い後ろ向き研究を行うには
C.観察研究の実際
COLUMN とある学会のポスター会場にて
3章 研究を実施する
1 臨床研究のためのデータマネジメント 〈木下文恵〉
A.研究計画におけるデータマネジメント
1.データの定義
2.原データの定義
3.研究計画書のデータ収集に関する記載
4.データマネジメントプランの立案
B.症例報告書の設計
C.研究実施中のデータマネジメント
1.データ収集
2.データクリーニング
3.コーディング
D.研究終了時のデータマネジメント
E.データマネジメントで大事なこと
COLUMN データマネジメントってなに?
2 多施設共同研究完遂のコツと落とし穴 〈三嶋秀行〉
COLUMN 臨床研究の普及を期待して
3 多職種チーム医療で実践する臨床研究 〈吉村芳弘〉
A.医療現場に還元可能で切実な臨床研究はチーム医療から生まれる
B.CQをストックする場をつくろう
C.臨床上の疑問をPECOへ
D.PECO 会議はチーム医療のブレスト
E.優れた臨床研究の条件とは
F.臨床研究はOn the Job Trainingが理想的かつ実践的
G.院内データベースを構築する
H.論文を効率的に書くために
I.研究は最高の贅沢
COLUMN 英語をマスターしよう
4 在宅医療・介護施設で実施する臨床研究のコツと落とし穴 〈若杉葉子 戸原 玄〉
A.在宅医療で研究が進まない理由
B.在宅医療の研究に関して必要なこと
C.実際の臨床研究
COLUMN 症例報告を論文にする
5 大学病院で非医師が臨床研究を実施するには 〈兼岡麻子〉
A.研究を実施する動機
B.臨床研究の実際
1.臨床疑問の整理
2.研究背景の整理:文献研究
3.予備研究
4.本研究
C.課題と工夫
1.研究協力者を得る
2.時間管理
3.体調管理とライフワークバランス
COLUMN 伝わりやすい学会発表のための準備
4章 結果を分析する
1 PICO/PECOと群間比較 〈室谷健太〉
A.PICO/PECOとFINER基準
B.統計解析の複雑さに違いが生まれる理由
C.独立2群の比較
D.対応のある2群比較
COLUMN 「症例数が小さいときはノンパラメトリック法」はおかしい
2 多変量解析 〜何を調整するのか〜 〈川口 淳〉
A.連続量の評価項目
1.線形回帰
2.単変量解析
3.層別解析
4.多変量解析
B.2値の評価項目
1.ロジスティック回帰
2.単変量解析
3.層別解析
4.多変量解析
C.まとめ
COLUMN 回帰分析とAI
3 生存時間データの分析 〈平川晃弘〉
A.時間イベント型データ
1.データの要約
2.打切り
B.Kaplan-Meier法
C.ログランク検定と一般化Wilcoxon検定
D.Cox比例ハザードモデル
E.競合リスク
F.症例数設計
COLUMN ハザード比を超えて
4 相関分析 〈野村一暢〉
A.Pearsonの相関係数
B.相関係数の検定
C.外れ値の影響とSpearman相関係数
D.相関係数は見た目が大事
E.新しい相関係数(MIC)
COLUMN 「フリー」の「ルール」
5 傾向スコア(PS 算出方法,多変量解析調整法,マッチング,IPTW) 〈中杤昌弘〉
A.傾向スコア分析とは?
B.傾向スコア分析の実施
1.傾向スコアの計算
2.傾向スコアマッチング
3.逆確率による重み付け(IPTW)
C.バランスの確認
D.傾向スコアの限界
COLUMN 傾向スコア分析をリアルワールドデータに適用する際の注意事項
6 信頼性と妥当性の検証 〈大山哲司〉
A.信頼性の検証
1.連続データの場合
2.カテゴリカルデータの場合
B.妥当性の検証
1.内容的妥当性
2.基準関連妥当性
3.構成概念妥当性
COLUMN 測定の信頼性と必要症例数
7 診断・検査の解析 〈西本尚樹〉
A.診断検査の解析の概要,なぜ診断検査の報告に統計解析が必要になるのか?
1.臨床上の疑問を定式化する
B.真値はどこにあるか?
1.バイアス
C.ROC解析
1.ROC 曲線の描画と計算
2.検査の閾値とROC 曲線の座標
3.最適なカットオフの求め方
D.報告のガイドライン(STARD声明)
COLUMN 解析用データセットと事前の準備
8 システマティックレビューとメタアナリシス 〈野間久史〉
A.メタアナリシスとは?
B.2値結果変数の臨床試験のメタアナリシス
1.アウトカム指標
2.固定効果モデル
3.変量効果モデル
4.異質性の評価方法
C.連続結果変数の臨床試験のメタアナリシス
1.アウトカム指標
2.固定効果モデル
3.変量効果モデル
D.生存時間結果変数の臨床試験のメタアナリシス
1.アウトカム指標
2.固定効果モデル
3.変量効果モデル
E.公表バイアス
COLUMN 抗うつ薬臨床試験の公表バイアス
9 p値>0.05の解釈 〈室谷健太 柳川 堯〉
A.ランダム化比較試験のとき
B.症例数設計を特別していない探索的研究の場合
COLUMN p値に対するパラダイムシフト?
10 欠測データへの対応と統計解析 〈古川恭治〉
A.欠測メカニズム
B.欠測データ解析手法
1.欠測を持つ対象者を除いた解析(CC)
2.その他の比較的簡単な方法
3.多重代入法(MI)
4.MNAR の場合の方法
COLUMN 臨床研究における欠測データ解析の実際
5章 研究論文を書く
1 パラグラフライティング 〈若林秀隆〉
A.パラグラフライティングとは
B.パラグラフライティングの実例
C.論文のイントロの構成例
D.パラグラフ同士のつながり:論文の考察の構成例
E.パラグラフライティングが困難な場合
F.パラグラフリーディングのすすめ
COLUMN 投稿雑誌を間違えない
2 原著論文の構造とコンテンツ 〈西岡心大〉
A.原著論文の一般的構造
B.原著論文に必要なコンテンツ
1.タイトルページ
2.抄録
3.IMRAD
4.参考文献
5.tableとfigure
6.その他
C.報告ガイドライン
COLUMN 投稿先の選択
3 原著論文投稿のファイルフォーマット 〈西岡心大〉
A.投稿ファイルの構成要素
1.title page
2.本文
3.図表
4.その他の項目
COLUMN 論文投稿にまつわる最大の失敗
4 ケースレポートの構造とコンテンツ 〈木田圭亮 中村悠城 黄 世捷〉
A.ケースレポートとは?
B.論文の質(エビデンスレベル)について
C.CAREガイドラインについて
D.CAREガイドラインの各論
E.CAREガイドラインに沿ったケースレポートの流れについて
F.ケースレポートを書く際の役立つヒント
G.CAREガイドライン以外について
H.プライバシー保護について
COLUMN 英語論文の重要性
5 リバイス論文執筆と投稿 〈井田 智〉
A.論文投稿後の流れ
B.査読結果
C.リバイス(論文の修正)の進め方
D.査読への回答レター(rebuttal letter)の書き方
E.査読結果の催促の仕方
F.査読者への反論の仕方
G.リバイス論文の投稿
COLUMN 目指せ論文の鬼! 〜新たな論文の楽しみ方〜
6章 研究論文を読む
1 先行研究サーチ法 〈湯浅秀道〉
A.研究者の疑問
B.臨床の疑問を研究の疑問にする
C.先行研究があるのか
D.文献検索方法
1.学会発表を調べる
2.日本語の論文を調べる
3.研究中の研究を調べる
4.世界の論文を調べる
E.検索が上手になるには
COLUMN PubMedとMEDLINEとMeSHの関係
2 論文の速読方法 〈鈴木規雄〉
A.論文を読む目的を確認する
B.論文を読む順序
C.拾うべきセンテンス
1.背景および導入
2.研究の目的
3.結果,結論
D.論文の翻訳
E.読む時間の設定
F.読んだ論文のまとめ
COLUMN 苦い経験をした研修医時代の論文抄読会
3 UPDATEな情報を得る 〈前田圭介〉
A.なぜ新着論文をUPDATEに読むのか
B.新着論文アラート
C.Google scholar
D.PubMed
E.RSSリーダー
F.個別ジャーナルアラート
COLUMN キー論文のクリッピング,ファイリング
7章 研究結果の臨床応用
1 Evidence-Based Medicineと実臨床 〈安原大生 川島篤志〉
A.DynaMedの検索結果
B.UpToDateⓇの検索結果
C.エキスパートオピニオンを求めて
D.EBM の実践
E.一症例から臨床研究へ
F.臨床研究における“FIRMMNESS”について
COLUMN 複数診療科が存在する医療機関でのモヤモヤ
2 高齢者へのエビデンスの応用をどうするか 〈小坂鎮太郎〉
A.はじめに,高齢者へのエビデンスの応用について
B.患者を中心に臨床家と研究結果が意思決定を支える
C.そのエビデンスは応用可能か? 何が問題になるか?
D.治療介入の落とし穴“レジリエンス”の検討を
E.その介入に恩恵があるかをどう見積もるか
F.見積もった効果を患者・家族とどのように共有するか
COLUMN 不確実性(Uncertainty)を確実に近づける実践知(Phronesis)を身につける
3 障害者と臨床応用 〈社本 博〉
A.臨床現場における障害者と臨床研究
B.先行研究から得られる知見とその臨床応用
C.自分達で作り上げる臨床研究
D.臨床現場において肌で感じていた「疑問」を証明する
E.臨床現場における新しい「試み」
F.臨床研究で「失敗」しないために
G.日常診療における「疑問」は自分達で解決する
H.臨床研究は医療の質を改善する
COLUMN メールを英語で書けた方がよい?
8章 タイムマネジメント
1 臨床家兼研究者の時間管理術 〈森 直治〉
A.人生はタイムマネジメント
B.忙しい臨床家ほどアウトプットできる?
C.研究に時間を割く覚悟
D.時間の優先順位
E.締め切りと“完璧”主義
F.環境と研究仲間
G.健康維持は睡眠を
COLUMN 忙しい病院もそうでない病院も皆時間がない
2 臨床研究を指導する際に必要な時間管理術 〈前田圭介〉
A.指導する人の時間管理
B.タスクが大きいと全体のパフォーマンスが落ちる
C.タスクをためない
D.効率よく指導する
E.スイッチの入れ方とアクセルの踏みどころ
COLUMN 答えへ導くことであって答えを与えることではない
3 臨床,研究,家庭のライフワークバランス 〈堺 琴美〉
A.結婚・出産と仕事
B.家庭における工夫
C.作業時間を考える
D.作業内容を考える
COLUMN 臨床研究を行う土台づくり
索引