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新・心エコーの読み方,考え方 改訂4版
筆頭著者 羽田 勝征 (著)
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2018年10月22日
ページ数 404
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-498-03789-2
印刷版発行年月 2018年8月
書籍・雑誌概要
心エコー図の読み方を,著者の経験をもとに実践的に解説した書の改訂第4版.心エコーの所見の読影はArtであり,
知識と経験が大事である.一方で,読影には思い込みや錯覚が混入し,常に誤読の危険性がはらんでいる.
本書では,臨床の現場での読影の「勘」を読者が養うことができるよう,陥りやすい誤りを示し,診断のための考え方と
ポイントを多数の図を使って示した.情報を集め,正解を見極める洞察力が身に付く1冊である.
目次
CHAPTER 1 心エコーを診療に活かす
A.病態に応じた心エコー図検査の適応と依頼
B.身体所見の考え方
C.胸部X線写真との対比
D.心電図との対比
E.依頼と報告書の書き方
CHAPTER 2 正常像を学ぶ
A.心エコー図所見
[1]Mモードエコー法をいかに利用するか
[2]左室の大きさと壁運動
[3]壁厚の求め方
[4]高齢者でみられる中隔上部の突出(S字状中隔)
[5]乳頭筋
[6]僧帽弁動態と腱索
a) 鞍型を呈する僧帽弁輪
b) 非病的SAM(僧帽弁の収縮期前方運動)
c) 弁輪石灰化(MAC,MRC)
[7]大動脈弁
[8]ランブル疣腫とストランド
[9]心膜エコー,エコーフリースペース,および心外膜脂肪
[10]左室流出路と大動脈
a) 左房背方の下行大動脈
b) 腹部大動脈
c) 腸骨動脈と大【腿】動脈
[11]左房と左心耳
[12]肺静脈隔壁
[13]心房中隔領域: 卵円窩,卵円孔開存,心房中隔瘤
[14]右室と右房
[15]静脈洞弁とChiari's network
[16]三尖弁
[17]右室流出路と肺動脈,肺動脈弁領域
[18]冠静脈洞
[19]下大静脈
[20]右側内頸静脈
[21]肝静脈
B.カラードプラー所見
[1]流入血ドプラー
[2]組織ドプラー(TDI)の記録
[3]正常者駆出血ドプラー
a) 左室流出路と大動脈弁口部ドプラー
b) 右室流出路と肺動脈弁口部ドプラー
[4]肺静脈血流ドプラー
[5]健常者の弁逆流ドプラー
CHAPTER 3 心機能障害と心不全を理解する
A.心不全とは
B.収縮機能の評価
[1]Mモード法による駆出率(Teichholz法)と左室内径短縮率
[2]断層法による駆出率(シンプソン変法)
[3]systolic time intervals(STI)
[4]心拍出量(CO)
[5]EPSS(E point septal separation)
[6]peak dP/dt
C.右心機能の評価
D.駆出率の保たれた心不全(HFpEF)
E.拡張機能の評価
[1]Mモードエコー法による評価
a) 僧帽弁エコー図によるB-B'ステップ
b) 左室後壁の拡張早期スロープ
c) 僧帽弁エコーの拡張期後退速度(DDR)
[2]ドプラー法による評価
a) 僧帽弁流入ドプラー
b) 拡張中期“L”波
c) 肺静脈血流ドプラー
d) 肺動脈弁逆流ドプラー
e) Mモードカラーによる左室流入血流伝播速度(FPV)
f) 組織ドプラーE/e’(E/E’)
[3]左房容積と左房径
F.Tei index
G.ストレインイメージング
H.三次元心エコー法
I.負荷心エコー図法
CHAPTER 4 虚血性心疾患を見落とさない
A.冠動脈ドプラー
[1]左右冠動脈起始部(#5,6,#1)
[2]左前下行枝遠位部(#7,8付近)
[3]中隔枝
[4]左回旋枝(#14,15の遠位部)
[5]右冠動脈遠位部の後下行枝(PDA)
B.壁運動異常の検出
[1]前下行枝(LAD)領域
[2]左回旋枝(LCX)領域
[3]右冠動脈(RCA)領域
C.虚血によらない壁運動異常
D.急性冠症候群
E.たこつぼ心筋症
F.脳血管障害の心電図異常と心筋障害
G.虚血性心筋症(ICM)
H.心筋梗塞による心不全と合併症
[1]左室内血栓
[2]僧帽弁閉鎖不全
[3]自由壁の破裂と心タンポナーデ
[4]心室中隔穿孔
[5]右室梗塞
[6]心室瘤,仮性心室瘤,心外膜下心室瘤
[7]心筋内出血,血腫,およびその破裂
I.冠動脈粥状硬化によらない冠動脈疾患
CHAPTER 5 心肥大と肥厚を評価する
A.高血圧と心肥大
B.高血圧と心機能
C.肥満と心不全
D.スポーツ心
CHAPTER 6 弁膜症を診る
1.総論
A.心房細動の有無を明らかにする
B.逆流シグナルと弁膜症を使い分ける
C.病歴と身体所見を重視する
D.自分なりの“逸脱”をはっきりさせる
E.弁接合部は“浅いか深いか”を見る
F.軽度の弁逆流でも重視すべきもの
G.逆流シグナルは“偏位するか否か”を見る
H.弁逆流は“原因か結果か”を考える
I.弁のMモードエコー
J.逆流の半定量化
K.弁膜症定量化の問題
L.逆流のピーク流速と時相
M.手術の適応
2.僧帽弁膜症
A.僧帽弁狭窄(MS)
[1]弁口面積の算出
[2]僧帽弁狭窄に合併する僧帽弁閉鎖不全
[3]経皮的僧帽弁交連裂開術(PTMC)
[4]僧帽弁狭窄症の手術適応
[5]弁形成術後僧帽弁狭窄
B.僧帽弁閉鎖不全(MR)
C.器質的僧帽弁閉鎖不全
[1]リウマチ性
[2]逸脱
[3]腱索断裂
[4]僧帽弁逸脱症候群
D.機能性僧帽弁閉鎖不全
[1]tethering MR
[2]弁輪拡張によるMR: atrial functional murmur
[3]Burchの乳頭筋不全症候群
E.薬剤性弁膜症
F.その他の僧帽弁閉鎖不全
[1]PTMC後例
[2]僧帽弁形成術・弁輪縫縮後例
[3]先天性僧帽弁クレフト
[4]パラシュート僧帽弁
[5]弁輪石灰化
[6]伝道障害時の僧帽弁逆流
[7]拡張期の僧帽弁逆流
G.僧帽弁閉鎖不全の重症度評価と定量化
H.手術適応
[1]急性の僧帽弁閉鎖不全
[2]慢性器質的僧帽弁閉鎖不全
[3]機能性(tethering)僧帽弁閉鎖不全
3.大動脈弁膜症
A.大動脈弁狭窄(AS)
[1]硬化・変性による狭窄
[2]大動脈二尖弁
[3]リウマチ性狭窄
[4]狭窄の重症度評価
[5]低圧・低流量の大動脈弁狭窄
[6]臨床像,心カテーテル,心エコードプラー所見の不一致
[7]楽音様雑音と大動脈弁狭窄
[8]合併する僧帽弁閉鎖不全と大動脈弁閉鎖不全の評価
[9]S字状中隔,閉塞性肥大型心筋症,discrete型弁下狭窄,左室中部閉塞との鑑別,あるいは合併の診断
[10]弁置換の適応
[11]経カテーテル大動脈弁留置術,または置換術(TAVI or TAVR)
B.大動脈弁閉鎖不全(AR)
[1]成因
[2]急性大動脈弁閉鎖不全
[3]大動脈弁の形態
[4]大動脈径の計測
[5]弁逆流の方向
[6]左室流出路病変の検索
[7]左室径
[8]半定量化
[9]合併する僧帽弁逆流の評価
[10]手術適応
4.三尖弁と肺動脈弁膜症
A.三尖弁疾患
[1]機能性三尖弁逆流
[2]器質的三尖弁逆流
[3]high pressure(高圧)TRとnormal pressure(正常圧)TR
a) 高圧三尖弁閉鎖不全
b) 正常圧三尖弁閉鎖不全
[4]三尖弁閉鎖不全の手術適応
[5]三尖弁狭窄
B.肺動脈弁と肺動脈の疾患
[1]肺動脈弁狭窄と弁上狭窄
[2]肺動脈弁閉鎖不全
[3]特発性肺動脈拡張症,特発性肺動脈瘤,および肺動脈分枝狭窄
5.人工弁
A.種類
B.paravalvular leak(PVL)とdetachment
C.弁機能障害と血栓弁stuck valve
[1]僧帽弁位人工弁
[2]大動脈弁位人工弁
[3]三尖弁位人工弁
D.弁の透視
E.patient-prosthesis mismatch(PPM)の問題
F.術後心機能の評価
G.僧帽弁置換術後の三尖弁閉鎖不全
H.大動脈弁置換術後の弁下狭窄…208
I.弁輪部膿瘍と瘤
6.感染性心内膜炎
A.基礎疾患
B.診断の進め方
[1]疣腫
[2]塞栓症
[3]感染性動脈瘤
[4]逆流性雑音
[5]腱索断裂
[6]弁瘤と穿孔
[7]弁輪部膿瘍,仮性瘤と解離・破裂
[8]心室中隔膿瘍・解離
[9]乳頭筋不全と断裂
[10]弁狭窄
[11]特殊な病態
C.他科を受診する感染性心内膜炎
D.手術の適応
CHAPTER 7 心房細動に注意する
A.心房細動の有無を知る
B.左房内血栓と脳塞栓
C.心房細動と弁逆流: もう一つの機能性僧帽弁閉鎖不全
D.心房細動と肝静脈ドプラー
E.心房細動例の心機能評価: 定量化の問題
F.心房細動と心不全
G.心房細動と拡張障害
H.心房細動と徐脈
CHAPTER 8 大動脈疾患を捉える
A.Valsalva洞瘤と破裂
B.胸部大動脈瘤と解離
[1]偽腔
[2]大動脈弁閉鎖不全
[3]intimal flap(内膜【剥】離)
[4]大動脈弁輪部膿瘍
C.腹部大動脈瘤と解離
[1]偽腔閉塞型解離
[2]PAU(penetrating atherosclerotic ulcer)
[3]ULP(ulcer-like projection)
D.感染性動脈瘤
E.炎症性大動脈瘤
F.大動脈縮窄
CHAPTER 9 先天性心疾患を知る
A.Eisenmenger症候群
B.心房中隔欠損症
[1]短絡シグナルの検出
[2]肺高血圧の評価と肺動脈弁狭窄の有無
[3]僧帽弁逸脱の合併
[4]経食道エコー図検査の意義
[5]閉鎖術の適応
[6]卵円孔開存(PFO)
[7]冠静脈洞型心房中隔欠損症
C.房室中隔欠損症
D.心室中隔欠損症
[1]合併症
[2]閉鎖術の適応
E.左室・右房短絡
F.動脈管開存症
G.Fallot四徴症
H.漏斗部狭窄
I.右室二腔症
J.修正大血管転位症
K.Ebstein奇形
L.その他の稀な先天奇形
[1]discrete型大動脈弁下狭窄
[2]大動脈弁上狭窄
[3]心房中隔瘤
[4]左上大静脈遺残
[5]冠動脈奇形
[6]心室憩室,およびcrypt
[7]僧帽弁副組織
[8]三心房心
[9]心房内・心室内band,索状構造物,筋束
[10]左心耳瘤
[11]僧帽弁奇形
CHAPTER 10 心筋疾患を診断する
A.非対称性中隔肥大(ASH)
B.閉塞性肥大型心筋症(HOCM)
[1]SAM(僧帽弁の収縮期前方運動)
[2]圧較差の評価
[3]合併する僧帽弁閉鎖不全の成因
[4]ピーク流速と波形による流出路狭窄,僧帽弁逆流の識別
[5]頻脈性不整脈の合併
[6]右室内狭窄の合併
[7]感染性心内膜炎の合併
[8]治療
[9]弁下狭窄をきたすその他の疾患と病態
a) S字状中隔
b) LVH with dynamic obstruction
c) 僧帽弁形成術後,あるいは経カテーテルによる僧帽弁留置後に出現する弁下狭窄
d) hypertensive hypertrophic cardiomyopathy
e) dynamic obstructionを惹起する薬剤と病態
f) discrete型大動脈弁下狭窄
g) 大動脈弁置換術後の弁下狭窄
C.左室中部閉塞型心筋症(MVO)
D.心尖部肥大型心筋症(APH)
E.拡張相肥大型心筋症
F.拡張型心筋症(DCM)
[1]緻密化障害(LVNC)
[2]頻脈誘発性心筋症
G.拘束型心筋症(RCM)
H.不整脈原性右室心筋症
I.二次性心筋症とその他の心筋障害
[1]心アミロイドーシス
[2]心サルコイドーシス
[3]ヘモクロマトーシス
[4]筋ジストロフィー
[5]ライソゾーム病
a) 心Fabry病
b) ムコ多糖代謝異常症(MPS)
c) 糖原病
[6]膠原病と心病変
[7]急性心筋炎
[8]その他の心筋障害
a) ミトコンドリア心筋症
b) 末端肥大症に見られる心筋症
c) 甲状腺機能亢進症による心筋障害
d) Chagas病
e) 薬剤性心筋症害
f) 放射線照射と心血管障害
CHAPTER 11 心膜疾患を究める
A.急性心膜炎
[1]心膜液とエコーフリースペース
[2]心膜液の分布
[3]X線CT,MRIの重要性
[4]急性心膜炎の診断
[5]心筋障害後症候群
[6]急性心膜炎のフォロー
B.開心術後の心膜液貯留
C.心タンポナーデ
D.慢性心膜炎
E.収縮性心膜炎(CP)
[1]臨床像
[2]心膜癒着・肥厚の評価
[3]心エコードプラー検査による診断
[4]組織ドプラーの利用
[5]dip and plateau所見
[6]収縮性心膜炎と紛らわしい,あるいは診断を難しくする病態
[7]心房中隔欠損症の合併
[8]開心術後の収縮性心膜炎
[9]一過性収縮性心膜炎
[10]拘束型心筋症との鑑別
[11]手術適応
F.限局性心膜炎
G.浸出性収縮性心膜炎
H.心膜血腫
I.心膜【嚢】胞
J.心膜欠損
CHAPTER 12 肺高血圧と肺血栓塞栓症を見逃さない
A.肺高血圧の原因
[1]Eisenmenger症候群
[2]肺性心
[3]肺動脈性肺高血圧症
[4]肺動脈血栓塞栓症
[5]左心疾患,高心拍出量症候群に伴う肺高血圧症
[6]肺静脈閉塞性疾患(PVOD)/肺毛細血管腫症(PCH)
[7]pulmonary tumor thrombotic microangiopathy(PTMA)
B.心エコー図所見
[1]肺動脈弁エコー
[2]ドプラー所見
CHAPTER 13 血栓・血腫・腫瘍を鑑別する
A.血栓
[1]左房内血栓
[2]左室内血栓
[3]右心の血栓
[4]動脈内・静脈内血栓
B.非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)
C.血腫
D.腫瘍
[1]良性腫瘍
a) 粘液腫
b) 乳頭状線維弾性腫
c) 線維腫
d) 横紋筋腫
e) 血管腫
f) 心房中隔の脂肪腫様肥大
g) 【嚢】胞
h) 血液【嚢】腫
i) その他
[2]悪性腫瘍
a) 肉腫
b) 悪性リンパ腫
c) 悪性中皮腫
d) 転移性腫瘍
E.鑑別を要するその他の腫瘤
[1]inflammatory(myofibroblastic)pseudotumor
[2]大きい弁輪石灰化と乾酪化
[3]calcified amorphous tumor(CAT)
[4]inverted left atrial appendage
[5]心外性腫瘤
CHAPTER 14 誤認はなぜ起こるのか
A.誤認とは何か
B.誤認の実例
CHAPTER 15 心エコー上達への道
[1]知的好奇心と探求心を欠かさない
[2]ルチン検査で正常像を学ぶ
[3]ドプラー検査と計測は最後にする
[4]検査中の心電図所見に留意する
[5]求めた数値・計測値の妥当性を考える
[6]グループ内,施設内で討論する
[7]自分の判断・診断に対して問題点を残しておく,また,結果を知る
[8]説得力のある記録に徹する
[9]講習会,研究会,学会に発表,参加する,そしてまとめる
[10]教科書と文献検索: 他人の経験とEBMを学ぶ
[11]心エコー図検査の前に考える
[12]1拍保存・1拍計測の限界を知る
索引