書籍を検索します。雑誌文献を検索する際には「雑誌文献検索」を選択してください。
慢性臓器障害の診かた、考えかた
筆頭著者 佐藤 健太 (著)
札幌医科大学 総合診療医学講座
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2021年2月4日
ページ数 311
判型 A5判
印刷版ISBN 978-4-498-01410-7
印刷版発行年月 2021年2月
書籍・雑誌概要
慢性臓器障害とは,慢性心不全,慢性肺疾患,慢性腎臓病などのCommon diseaseをひとくくりにした呼称であり,本書が初めて提唱する概念です.個々の病態はよくみるものばかりですが,これらを総合診療の現場で臓器群(横軸),進行度(縦軸)ごとに評価することで全く新しい診療スタイルが見えてきます.総合医と専門医の協同を促進する診療フレームワークでもある本概念の実用性と面白さを詳細に解説します.
目次
1 はじめに
よくある事例×臓器別診療
■事例1:感染症をきっかけに心不全を繰り返し衰弱した75歳男性
■事例2:心・腎不全終末期に過ごせる病棟を確保できず,最期の苦しみが長引いた92歳女性
■事例3:圧迫骨折の治療は適切だったが,Polypharmacyを整理できず退院後寝たきりになった82歳女性
目標・メッセージ
本書の概要,対象読者と用語の定義
2 慢性臓器障害診療の現状と展望
1専門医からの慢性臓器障害の見えかた,その限界
各学会ガイドラインから読み解く問題
■臓器が異なっても共通する特徴
■各変化ごとの問題点
2総合医からの慢性臓器障害の見えかた
総合医の専門性とは
総合医はCommon diseaseのエキスパート
総合医の診療対象
■厚生労働省人口動態統計の死亡数・死亡率のデータから
■WHOの「寿命と健康への負荷の大きさ=DALY」の統計データから
総合医が関わる5大Common disease
■慢性疾患のBig 3
■急性疾患のBig 2
総合医の診療場面
3総合医と専門医の理想的な協働
主役が総合医,サポート役が専門医
日本版総合医の強み
専門医と総合医との連携パターンConsultationとRefferal
■1.Consultation
■2.Referral
総合医と専門医の望ましい連携
3 慢性臓器障害の捉えかた
1慢性臓器障害の定義
2慢性臓器障害の特徴
疫学的特徴
横断的特徴
縦断的特徴
研修上の特徴
3よくある事例×慢性臓器障害診療
事例1のハッピーエンド
■事例1:感染症をきっかけに心不全を発症したが,早期対応で軽症にとどめ,長期間自宅生活を維持できた75歳男性
事例2のハッピーエンド
■事例2:心・腎不全終末期になっても,疾患改善よりQOL維持を優先することで最期まで自宅で過ごせた92歳女性
事例3のハッピーエンド
■事例3:重篤な合併症を起こす前にPolypharmacyの整理と慢性筋障害の治療が間に合い,骨折後も旅行を楽しめている82歳女性
4 慢性臓器障害の横軸「臓器群アプローチ」
1慢性臓器障害の6臓器・3群
2慢性臓器障害の呼称
3各論1 臓器別アプローチ
第1群 心肺障害
第2群 肝腎障害
第3群 脳筋障害
4各論2 Multimorbidity(多重疾患)へのアプローチ
Multimorbidityの疫学,特徴
Multimorbidityの全体を扱うために
■Multimorbidityにおける問題リストの作り方
Multimorbidityの診療の進め方
■Multimorbidityへの対応の原則
■実際の診療の手順
5 慢性臓器障害の縦軸「ステージアプローチ」
1各ガイドラインにおける「ステージ」の捉え方
2慢性臓器障害のステージアプローチ
3慢性臓器障害の疾病軌道
4パターンの疾病軌道
疾病軌道のバリエーション
4慢性臓器障害の担当医
5ステージと介入の呼称
ステージの呼称
介入の呼称
■予防
■薬物療法
■非薬物療法
6 ステージアプローチ各論─ステージごとの評価と介入
ステージごとの評価と介入
1ステージA:リスク期と健康増進
2ステージB:不顕性期と疾病予防
3ステージC:有症候期と複数臓器障害
4ステージD:非代償期と急性増悪
5ステージE:終末期と非がん終末期ケア
7 慢性臓器障害の拡張「5大Common diseaseへ」
臓器別・ステージ別から,慢性臓器障害全体像へ
慢性臓器障害から,5大Common diseaseへ
個別疾患から,多重疾患へ
Diseaseから,health problemへ
全体像を学んだあとの,専門領域の深め方
あとがき
索引
【コラム】
1.本を書いてみたい人へ 佐藤流執筆ツールと参考書籍 前編
2.本を書いてみたい人へ 佐藤流執筆ツールと参考書籍 後編
3.PBCも原発性胆汁性“肝硬変”から“胆管炎”へ
4.De-novo
5.簡易的な禁煙指導(Ask&Advice)についてのエビデンス
6.終末期心不全における医療デバイスの停止
7.認知症終末期での人工栄養
8.終末期の金銭的問題をクリアするために