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看護の力,会話の力

寄り添うコミュニケーションの考え方と実践

看護の力,会話の力
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筆頭著者 川名 典子 (著)

南江堂

電子版ISBN 978-4-524-21318-4

電子版発売日 2023年12月4日

ページ数 208

判型 A5

印刷版ISBN 978-4-524-20452-6

印刷版発行年月 2023年12月

DOI https://doi.org/10.15106/9784524204526

書籍・雑誌概要

患者-看護師関係の特徴とよくある看護師の悩みを整理し,患者との相互作用を促進するための対応例(言葉かけ)を具体的に紹介した実践書.看護師のもつ自然な会話の力を解説.看護師の会話が続かなくなる場面を挙げ,臨場感をもって読むことができる.看護師が困難な場面に対処でき,看護師自身のストレスフルな状態を緩和する一助となる一冊.

目次

【内容目次】
第Ⅰ章 看護師にとって,患者さんとの会話は難しいのでしょうか
1.会話は,立場や相手によってかわります
2.マニュアル対応だけでは不十分な看護師の会話 ―患者さんの隠れたニードと個別性―
3.看護師はこんなときちょっと対応に困らないでしょうか
  A.会話を切りあげたいとき
  B.患者さんから個人的な親密さを求められたとき
  C.患者情報の共有と,守秘義務のはざまで悩むとき
  D.患者さんとの会話に家族が入ってしまい,患者さんの話を聞けないとき
  E.患者さんと家族の意見が違うとき
4.看護は感情労働でしょうか

第Ⅱ章 看護師と患者さんの関係を,一度よく考えてみましょう
1.医師と患者さんの関係とは,看護師とのそれとは違うのです
2.医師と患者さんの関係性の特徴はなんでしょう
  A.1 対1…主治医は一人
  B.医師に備わった権威
  C.良くも悪くもパターナリズム
3.看護師と患者さんの関係性の特徴はなんでしょう
  A.暗黙のうちに期待される心のケア
  B.1 対1 ではなくチーム対応
  C.24 時間誰かがそばにいる交代制勤務
  D.逃げられない関係
  E.療養時の日常生活の援助を通じてのかかわり
  F.医師と患者さんの中間の立場
4.あいまいさがもたらす看護師の困りごと
  A.患者さんの期待に応えようとがんばってしまう
  B.患者さんに対して,受身すぎないでしょうか ―受動性―
5.患者さんに寄り添うために

第Ⅲ章 職務だけではない,隠し味の看護の重要性があります―環境の一部であることと,あたりまえの会話が持つ意味―
1.治療的・発達促進的環境の構成要素としての看護師
  A.生理的欲求の満足と信頼性
  B.療養生活の援助を通じての母性的養育的機能の提供
  C.その場その場での,瞬時の患者さんとの交流
  D.一定の時間に決まったことを時計のように行うこと
  E.付き添うなどの日常的な看護師の行為があること
2.会話の力とはなんでしょう
  A.患者さんの孤独感が低減する
  B.現実的な問題の明確化が図れる
  C.自己洞察が深まる
  D.不合理な怒りが沈静する
  E.患者さんが精神的に安心・安定する
  F.会話は心地よいもの,楽しいもの
3.隠し味のメンタルケアは会話から

第Ⅳ章 コミュニケーションをあらためて考えてみましょう
1.コミュニケーションとは
  A.重要なのは双方向性
  B.目的はお互いを理解すること
2.日本人のコミュニケーションの特徴
  A.気遣いと思い込み
  B.断ることができない
3.看護師のコミュニケーションの特徴
  A.説明が多い
  B.患者さんの問題解決を図ろうとしてしまう
  C.看護師からのメッセージの発信が少ない
  D.看護師ならではの非言語的コミュニケーションもある
4.看護師が会話で陥りやすい落とし穴
  A.傾聴はコミュニケーションといえるでしょうか
  B.説明で患者さんは安心すると思い込んでいないでしょうか
  C.つい励ましたくなる
  D.アセスメントしなくてはという焦り

第Ⅴ章 双方向性のある会話は,どうしたらうまくできるでしょう
1.まずは言葉のキャッチボールを心がけること
  A.ひとつひとつのメッセージにひとつひとつ応える
  B.大切なアイ・メッセージ ―自分の気持ちや考えを伝えること―
  C.会話の目的は相手を知ること
2.看護師が患者さんのことをわかるとは
  A.患者さんに寄り添うにはどんな情報が必要でしょう
  B.日常生活を知ることが,患者さんをわかること
3.看護師の会話とナラティヴ・アプローチ
  A.ナラティヴ・アプローチとは
  B.ナラティヴ・アプローチが適した職種
  C.ナラティヴ・アプローチの特徴
    1) 問題の外在化
    2) 無知のアプローチ
    3) オルタナティヴ・ストーリー
  事例:「死ぬことばかり考え,原因不明の身体症状を訴えていた脳腫瘍術後患者」

第Ⅵ章 看護師の会話はカウンセリングとは違うのでしょうか
1.カウンセリングは治療
2.カウンセリングと看護師の会話の違い
  A.目的
  B.治療契約
  C.プライバシーと守秘義務
  D.自己開示と身体接触
  E.料金
3.カウンセリングで使われる技法を,看護師が使ったら
  A.患者さんの言葉をそのまま繰り返す
  B.傾聴
  C.共感的理解
  D.その他の技法

第Ⅶ章 こんな場面で看護師はどう会話を続けたらよいのでしょう
1.死とか,最期とか,看護師が緊張するような話題が出てきたとき
  A.治療法がないことや予後の話題を患者さんが出したとき
  B.患者さんが自分の死を悟って語るとき
  C.看護師から死にまつわる話題を出すとき
  D.死の話題で,看護師が感じる不安
    1) 死の話をしたら,余計に患者さんの不安をあおるのでは
    2) 死に関する話題は,患者さんの役に立つのか
    3) そんな深刻な話題,私には無理…と思う気持ち
2.患者さんが看護師よりも自分の病気をよく知っているとき
3.医師と話すべき問題を患者さんからたずねられたとき
4.医師への苦情を言われたとき
5.患者さんからの要求が多いとき

第Ⅷ章 会話が難しい患者さんにはどう寄り添ったらよいのでしょう
1.同じ話・同じ質問を繰り返す患者さん
2.説明のつかない身体症状を訴える患者さん
  A.まずはきちんと必要な検査をする
  B.症状には淡々と対処する
  C.そして日常生活や人生についての会話をする
3.用件や訴えがはっきりしないナースコールを繰り返す患者さん
  A.能動的に患者さんのベッドサイドを訪問する
  B.日常生活の会話をする
4.怒りが強い患者さん
  A.謝罪と傾聴だけでは解決が難しい
  B.ここでも会話が役立ちます

第Ⅸ章 どうして対応が難しい患者さんがいるのでしょうか
1.ストレスが精神面・認知面に及ぼす影響
  A.仕事の生産性の低下
  B.学習能力の低下
  C.対人関係能力の低下
2.患者さんがケアを求めても,周囲の人々が足を遠ざけるという悪循環
3.ストレス・バランス・モデルによるメンタルケアの考え方
  A.ストレス・バランス・モデルとは
  B.バランスが変化すると,その人らしさが変化する
  C.看護師にとって対応が難しい患者さんへの理解
  D.ストレス・バランス・モデルによる看護ケア
    1) ストレスの軽減を図る
    2) 対処力を上げる
    3) ストレス・バランス・モデルによる看護ケア
  事例「 病状を否認していた肺がん患者」

第Ⅹ章 精神疾患のある患者さんに対して苦手意識がありますか
1.精神疾患と対人関係
2.統合失調症患者
  A.その対人関係の特徴 ―敏感で傷つきやすくとても怖がりなのです―
  B.対応の原則 ―驚かせないこと,怖がらせないこと―
    1) 驚かせない,怖がらせないために
    2) 心の壁を壊さないように,患者さんとの物理的な距離をとる
    3) 患者さんの恐怖感を想像してみる
    4) 安心できる環境をつくる
3.抑うつ状態の患者
  A.その対人関係の特徴 ―エネルギーが枯渇し疲れ切っています―
  B.対応の原則 ―エネルギーを消費させない,温存する,蓄積を待つ―
    1) 励まさないでねぎらう
    2) 変化を避ける
    3) 決断を急がせない
    4) 休養を多くとる
4.発達障害の患者
  A.成人の発達障害の患者さんの特徴 ―世間のルールに合わせられないのです―
  B.対応の原則 ―患者さんの特徴を知ってそれに合わせる―
5.境界型パーソナリティ障害の患者
  A.対人関係の特徴 ―他者をなかなか信頼できず,人間関係のトラブルでつらい思いをしているのです―
  B.対応の原則 ―患者さんの不安定さに振り回されず,安定した対人
    関係をつくること―
    1) 対人関係の恒常性をめざす
    2) 付き合い方のルール( 枠組み) をつくる

第ⅩⅠ章 その場限りの救急場面では寄り添うってどういうことでしょう ― 一期一会の看護―
1.被害者について知ることから始めましょう
  A.被害者と救急医療機関
  B.被害者ケアの提供者
  C.被害者の種類
  D.被害という心的トラウマへの反応症状
    1) 反復・再体験
    2) 無感覚・無関心・回避
    3) 過覚醒
    4) 症状の現れ方
  E.看護師は被害者にどう寄り添ったらよいのでしょう
    1) 災害・事件・事故の被害者 ―ある日突然に―
      a.安心・安全な環境の提供
       ①安全な場所にいることを伝える
       ②被害者を一人にしない
       ③被害者が他のひん死患者を目撃しないよう配慮する
       ④被害者が,被害者であることをしっかり受け止める
       ⑤正義感を示す
      b.養生法とPTSD 予防のための情報提供
    2) 虐待被害者 ―被害を認めたがらない被害者―
      a.DV 被害者への対応
      b.子供や高齢者の虐待被害者への対応
2.自殺未遂患者・自傷行為患者に寄り添うにはどうしたらよいのでしょう
  ―会話することが最大のケア―
  A.患者さんを気にかけていることを,言葉で伝える
  B.死なないでほしいと伝える
  C.裏表のない態度で,真剣に聞く
  D.再燃予防のリスク判断を看護師だけで抱えない
  
索引

場面目次
場面1 夕刻,消灯前の病棟にて
場面2 会えない家族の話題
場面3 患者さんから個人的なことを聞かれた
場面4 あなただけに…患者さんの打ち明け話
場面5 家族が患者さんの代弁をしてしまう
場面6 看護師が患者さんに朝食の好みを確認する
場面7 気持ちが落ち込んでいるという患者さん
場面8 自分の病気を嘆く若い患者さん
場面9 正月に外泊するか悩む患者さん
場面10 患者さんを励ましたいとき
場面11 退院に向けて家族のサポート力を評価したいとき
場面12 あなただったらどうする? と聞かれたとき
場面13 落ち込んでいるように見える患者さん
場面14 眠れない患者さんとの会話
場面15 自分の死を話題にするがん患者さん
場面16 治療しないなら家に帰ろうかと考える患者さん
場面17 死ぬことを悟った患者さん
場面18 看護師から死にまつわる話題を出すとき
場面19 看護師が死の話題に困惑したとき
場面20 看護師の知識不足を非難する透析患者さん
場面21 治療経過を看護師にたずねる患者さん
場面22 主治医に対する苦情を言う患者さん
場面23 ナースコールへの即座の対応を要求する患者さん
場面24 特別扱いを要求する患者さん
場面25 治療法が尽きても治療の継続を希望するがん患者さん
場面26 怒り続ける患者さん
場面27 患者さんと看護師がルールについて話し合う
場面28 救急搬送された被害者との会話
場面29 救急搬送の被害者にここは安全だと伝える
場面30 被害者を一人にしないと伝える
場面31 被害にあったことをいたわる
場面32 事件被害者に正義感を示す看護師
場面33 PTSD 予防のための情報提供をする看護師
場面34 DV 被害者との会話
場面35 自殺未遂をした患者さんとの会話
場面36 自殺未遂をした患者さんに死なないでほしいと伝える
場面37 自殺未遂をした患者さんの話を聞く

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