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災害薬学
筆頭著者 名倉 弘哲 (編)
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科救急薬学講座 教授
その他の著者等 山内英雄 編
南山堂
電子版ISBN 978-4-525-98299-7
電子版発売日 2019年5月27日
ページ数 232
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-525-77761-6
印刷版発行年月 2019年4月
書籍・雑誌概要
災害時における薬剤師のニーズが,近年高まっている.被災地で,薬剤師は何ができるか,限られた患者情報や医療資源の中,薬をどう使うのか,災害時の医薬品供給や法律・制度等,本書では災害時の薬剤師業務についての基礎知識から災害時における薬物治療の考え方までをまとめた.「いざ」というときに備え,薬剤師として読んでおきたい一冊.
目次
第1章 災害と薬剤師に関する基礎知識
1.災害薬学とは(名倉弘哲)
2.災害に関する基礎知識(山内英雄)
A.災害の定義
B.災害の種類
C.災害の種類に応じた疾病構造
D.災害の時系列別サイクル
3.災害時における薬剤師の役割(渡邉暁洋)
A.薬剤師の支援活動の基本
B.活動場所ごとの支援活動
Column
・薬剤師の災害医療研修(涌嶋判之助)
4.災害時に求められる医薬品 -災害時処方箋の解析結果から-(名倉弘哲)
A.災害時の医薬品の動向
B.災害時の理想の医薬品管理
C.熊本地震で使用された医療用医薬品
第2章 災害医療支援に関する基礎知識
1.災害医療の基本(井原則之)
A.災害医療の原則 -CSCATTT-
B.メディカル・マネージメント(医療管理)-CSCA-
C.メディカル・サポート(医療支援)-TTT-
D.ファーマシューティカル・サポート(薬事支援)
2.災害時の医療救護体制 (A~E:山内英雄,F:柴田隼人,G:北川航平,H:江川 孝)
A.災害拠点病院
B.広域災害救急医療情報システム:EMIS
C.広域医療搬送
D.災害派遣に関連した医療救護団体・組織
E.災害派遣医療チーム:DMATとロジスティック業務
F.DMAT活動の実際
G.DPAT活動の実際
H.国際緊急援助隊活動の実際
3.災害時の医薬品ニーズと供給体制(縄田幸裕)
A.災害時の医薬品ニーズに影響を与える要因
B.災害時の医薬品供給
C.災害時の医薬品供給ルート
D.備蓄医薬品とその活用
E.Push型支援とPull型支援
F.災害支援医薬品への対応
G.医薬品卸の対応
4.災害時の関連法規・薬事関連措置と倫理(高木春佳)
A.災害対策基本法
B.災害救助法
C.医療法
D.医療品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧薬事法)
E.災害時の麻薬の取り扱い
F.災害時の医薬品代と健康保険
G.災害時の薬剤師としての倫理と責務
5.災害時の情報収集・伝達(藤江直輝)
A.災害時の情報収集・伝達の基本
B.災害時の連絡ツール
C.避難者・避難所情報の収集・伝達
6.災害医療におけるコミュニケーション(野呂瀬崇彦)
A.被災者のストレスへの反応
B.患者・避難者との関わり方の基本姿勢
C.医療支援におけるコミュニケーションの実際
第3章 災害時の薬剤師業務の実践
1.平時の備え (木本国晴)
A.災害時に備えておくべきこと
B.災害時に備えた患者へのはたらきかけ
2.災害時の対応の基本 (丹野佳郎)
A.災害への備え
B.自らの施設が被災した場合の対応
3.薬局運営に関わる薬剤師業務 (小林祐司)
A.調剤過誤を防ぐための医薬品の整理・配列
B.医薬品の仕分け・在庫管理
C.薬歴の管理方法
4.ファーマシューティカルトリアージ(安藤和佳子)
A.薬剤師の行うトリアージとは
B.薬を必要としている患者を対象としたトリアージ
C.薬剤投与の判断,薬剤選択において考慮すべきポイント
D.患者情報の収集(問診)のポイント
E.フィジカルアセスメントの基本
F.薬のトリアージ
5.調剤業務(丹野佳郎)
A.災害時処方箋なしでの調剤
B.薬局以外の場所での調剤
C.災害時の調剤
6.災害時の薬事衛生管理(A~F:古田精一,G:丹野佳郎)
A.感染症予防のための衛生管理における薬剤師の役割
B.避難所アセスメント
C.薬剤師が行うべき感染予防対策の指導
D.消毒・滅菌に用いられる薬剤の代替法
E.食品衛生
F.一酸化炭素中毒予防のための衛生指導
G.災害時の学校薬剤師の役割
Column
・居住区域の衛生管理(名倉弘哲)
・避難所での食事配給(名倉弘哲)
7.災害時における粉塵とアレルギー疾患への対策 (難波弘行)
A.被災地における粉塵の実際と粉塵対策
B.アレルギー・気管支喘息の管理
Column
・東日本大震災時の浮遊物質・堆積物調査(難波弘行)
8.モバイルファーマシーにおける薬剤師業務 (伊藤裕子)
A.モバイルファーマシー開発の経緯
B.モバイルファーマシーの仕様
C.モバイルファーマシーの導入・運用
D.モバイルファーマシーの活動の実際
第4章 災害時の薬学的管理の考え方
1.避難所での薬学的管理(A~E:大森眞樹/名倉弘哲,F:坂井美千子)
A.お薬手帳の活用
B.医薬品の鑑定と持参薬の活用
C.災害時要配慮者への対応
D.医薬品の使用に注意が必要な患者
E.保存方法に注意が必要な薬
F.在宅療養を受けている患者への対応
Column
・避難所の状況(薬学的管理が必要なポイント)(松元享平/名倉弘哲)
・医療機器を使用している在宅患者の救急対応(浅野 直)
2.外傷治療薬,輸液製剤の薬学的管理 (佐藤栄一)
A.重症外傷と出血性ショック
B.災害初期の外傷患者に使用する輸液等の使い分けと薬学的注意点
C.外傷時の抗菌薬の予防投与
D.破傷風予防のための(追加)免疫療法
E.広範囲熱傷の治療
F.クラッシュ症候群の治療
3.循環器疾患患者の薬学的管理(A~E,G:坂田祐樹,F:名倉弘哲)
A.災害時循環器疾患増悪の機序
B.東日本大震災時の循環器疾患発症
C.災害高血圧
D.DCAP リスクスコア・予防スコア
E.定期薬休薬の影響,手に入らない場合の対応,災害時注意すべきこと
F.代替薬選択のポイント
G.災害時に押さえておくべき服薬指導のポイント
4.災害時の糖尿病治療(名倉弘哲)
A.災害時の糖尿病患者への対応
B.薬物療法の原則
C.低血糖対策
D.シックデイ対策
E.服用していた血糖降下薬がわからない患者さんへの対応
5.気管支喘息・COPD患者の薬学的管理 (佐々木順一)
A.定期薬の休薬の影響
B.定期薬がない場合の対応
C.代替薬選択のポイント
D.災害時に押さえておくべき服薬指導のポイント
6.抗てんかん薬の薬学的管理 (安藤和佳子)
A.定期薬の休薬の影響
B.定期薬を継続できない場合の対応
C.代替薬選択のポイント
D.災害時に押さえておくべき服薬指導のポイント
7.認知症患者の薬学的管理 (斉藤忠男)
A.定期薬の休薬の影響と再開方法
B.定期薬がない場合の他剤への切り替え方法
C.避難生活におけるBPSDへの対応
D.災害時に押さえておくべき服薬指導のポイント
8.向精神薬の薬学的管理
―抗不安薬・睡眠薬,抗うつ薬,抗精神病薬,気分安定薬,精神刺激薬?(今村弘樹)
A.定期薬の休薬の影響
B.定期薬がない場合の対応
C.代替薬選択のポイント
D.災害時のメチルフェニデート製剤の取り扱い
E.災害時に押さえておくべき服薬指導のポイント
9.副腎皮質ステロイド薬の薬学的管理 (林 秀樹)
A.定期薬の休薬の影響
B.定期薬がない場合の対応
C.代替薬選択のポイントと用量換算
D.災害時に押さえておくべき服薬指導・薬学的管理のポイント
10.鎮痛薬・麻薬の薬学的管理 (和泉邦彦)
A.災害時における麻薬使用の現状
B.定期薬の休薬の影響
C.定期薬がない場合の対応
D.代替薬選択のポイント
E.オピオイドが入手できない場合のNSAIDsの使用
F.災害時の麻薬の薬局での管理
Column
・災害時のオピオイド使用(村上雅彦)
11.OTC医薬品の活用(金田崇文)
A.OTC医薬品の特徴と使用に関する留意点
B.臨床判断・薬剤選択のポイント
C.感冒・咳嗽
D.消化管疾患(腹痛・便秘・下痢)
E.打撲・外傷
F.皮膚疾患
G.眼疾患
H.口腔疾患
Column
・災害時の被災地における眼疾患への対応(名倉弘哲)
12.CBRNE災害と関連医薬品 (山内英雄)
A.CBRNE災害とは
B.Chemical(化学)
C.Biological(生物)
D.Radiological(放射性物質)/Nuclear(核)
E.Explosive(爆発)
13.エコノミークラス症候群の対応 (大森眞樹/名倉弘哲)
A.エコノミークラス症候群とは
B.災害時のエコノミークラス症候群に対する薬剤師の役割
Column
・感染症を回避するための環境整備(名倉弘哲)
文献
索引