書籍を検索します。雑誌文献を検索する際には「雑誌文献検索」を選択してください。
医療者のための結核の知識 第5版
筆頭著者 四元 秀毅 (編)
その他の著者等 山岸 文雄/永井 英明/長谷川 直樹
医学書院
電子版ISBN 978-4-260-63825-8
電子版発売日 2019年7月8日
ページ数 226
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-260-03825-6
印刷版発行年月 2019年5月
書籍・雑誌概要
実践的でわかりやすい記述に定評があるロングセラー書籍の待望の改訂第5版。結核の疫学、病態生理、検査、治療、感染対策、発病予防に必要な知識がコンパクトにまとめられている。今改訂により非結核性抗酸菌症(NTM症)が増ページとなり充実した。感染症診療・管理の必携書。加えて、結核感染・発病リスクの高い免疫不全患者、高齢者、がん患者等の医療、ケア、リハビリテーションにかかわるすべての職種にも有用な1冊。
目次
I 結核の今と昔
A 世界と日本の結核の現状
1.世界の結核の現状
2.日本の結核の現状
B 結核の歴史と現在の課題
1.ミイラにみる古代の結核
2.人口の密集化で増加した中世の結核
3.産業革命に伴い世界各地でまん延した近代の結核
4.まん延から衰退へ――しぶとく残る現代の結核
C 疫学的観点からみた結核の特徴と根絶への道程
1.結核疫学の指標――死亡率・罹患率と背景にある感染率
2.結核は大都市圏で多く発生する――罹患率の国内地域差
3.結核の発病には種々の因子が影響する――個体の抵抗力が重要
4.結核は若年者疾患として始まり高齢者疾患へ移行する
5.人口流動化は結核発生を増加させる――外国人結核の関与
6.結核の根絶には感染率の徹底低下が必要
D 結核の分子疫学
1.結核菌の遺伝子タイピング法
2.分子疫学で得られた知見
II 結核はどんな病気か
A 結核の起こり方――結核菌と結核
B 結核菌の特徴
C 結核の感染と発病
1.感染の成立
2.結核の感染から発病へ
3.感染に連続的に起こる発病(一次結核)と間をおいて起こる発病(二次結核)
D 結核の病理所見
1.滲出性反応
2.繁殖性反応
3.増殖性反応
4.硬化性反応
5.空洞病変
E 結核はどんなときに起こりやすいか
1.結核感染が起こりやすい環境
2.結核の発病に関与する因子
F 結核の臨床像
1.慢性の経過をとり,時に致死的となる結核
2.肺結核の広がり方
3.肺結核の症状
4.肺外結核の症状
G 肺結核後遺症
III 結核の検査のすすめ方
A どんなときに結核を疑い,どのように検査をすすめるか
1.肺結核の診断
2.肺外結核の診断
B 肺および胸郭内結核の画像所見
1.結核病理像の画像イメージ
2.結核の肺病変はどのように広がるか
3.結核の病理はどのように画像に反映されるか
4.肺結核でどのような画像パターンがみられるか
5.結核の胸部画像所見はどのように分類され用いられるか
C 結核菌の検査法
1.検体
2.塗抹検査
3.培養検査
4.同定検査
5.薬剤感受性検査
D 生検法
1.経気管支肺生検
2.リンパ節生検
3.胸膜生検
E 感染の検査法
1.ツベルクリン反応(ツ反)
2.インターフェロンγ遊離試験(IGRA)
IV 結核をどのように治すか
A 結核治療の流れ
1.結核治療薬発見の歴史
2.リファンピシン(RFP)を中心とする化学療法の確立
3.結核治療と感染症法
B 治療を始める前の手続き
1.結核患者の発生届
2.感染症法による公費負担制度
3.指定医療機関への入院
C 治療を始めるにあたって――「結核医療の基準」に関連した一般的事項
1.治療の際に行う検査
2.治療の基本方針
3.患者指導
D 化学療法の一般的事項
1.抗結核薬
2.副腎皮質ステロイド
E 化学療法の実際
1.抗結核薬の細菌学的因子
2.結核の治療に多剤投与が必要な理由
3.治療のすすめ方
4.ピラジナミド(PZA)の特徴
5.ピラジナミド(PZA)を含む治療法の利点
6.初回標準治療法
7.ピラジナミド(PZA)の使用頻度
8.再治療
9.抗結核薬の副作用
10.多剤耐性結核の治療
11.超多剤耐性結核の治療
12.抗結核薬のこれまでとこれから
F 治療を成功させるためのDOTS
1.DOTSとは
2.都市部における結核対策の強化――日本版21世紀型DOTS戦略から
3.日本版21世紀型DOTS戦略とこれを推進する体系図
4.DOTSの位置づけ
5.感染症法におけるDOTS
G 入・退院基準
1.感染症法による結核患者の管理
2.入院基準
3.退院基準
H クリティカルパス
V 結核の広がりをどのように抑えるか
A 結核の発病をどのように抑えるか
1.BCG接種の効果と限界
2.結核感染者の発病を抑えるための治療
3.結核発病のリスクファクターとその対処法
4.接触者健診
5.結核ワクチン
B 医療従事者の結核集団感染防止のために
1.院内感染対策の必要性
2.集団発生と集団感染
C 患者の早期発見と院内感染対策
1.結核患者をどのようにして発見するか
2.施設内の結核感染対策
3.結核患者が発生したときの処置
4.職員の健康管理
5.院内感染対策委員会の役割
D 感染症法に結核予防はどのように位置づけられているか
1.感染症分類
2.感染症法における結核対策
3.感染症の診査に関する協議会
VI 免疫不全と結核
A 免疫不全に合併する結核の特徴
B 免疫不全に合併する結核の診断
C 免疫不全に合併する結核の治療
1.HIV感染症合併結核の治療
2.腎障害時の結核の治療
3.悪性腫瘍に合併する結核の治療
4.糖尿病合併結核の治療
5.副腎皮質ステロイド投与中の結核の治療
D 免疫不全における結核の発病予防
VII さまざまな結核――症例提示
症例 1 腰背部痛を主訴に長期間整体に通った女性
──結核性脊椎炎,流注膿瘍,肺結核
症例 2 咳,食欲低下,体重減少とびまん性の小粒状影をみた高齢の男性
──気道散布型病変
症例 3 発熱が初発症状の東南アジア出身の女性──粟粒結核
症例 4 喘息として治療されていた女性──気管・気管支結核
症例 5 市中肺炎と診断された高齢の男性──結核性肺炎
症例 6 誤嚥性肺炎として治療が続けられていた高齢の男性──高齢者結核
症例 7 5か月間嗄声が続いた女性──喉頭結核
症例 8 呼吸困難,発熱で発症した高齢の男性──肺気腫に合併した肺結核
症例 9 手関節と足関節の腫脹,疼痛がみられた男性──骨関節結核
症例 10 膝関節結核,粟粒結核の治療中に頭痛・悪心が出現した男性──脳結核
症例 11 視力障害のため眼科受診した男性──脳結核,粟粒結核,副腎結核
VIII 非結核性抗酸菌症
A 非結核性抗酸菌とは
B 非結核性抗酸菌症の起こり方と臨床像
1.NTM症の発症機序
2.NTM症の臨床像
C 疫学と診断基準
D 主な肺非結核性抗酸菌症の治療
1.化学療法
2.外科治療
症例 1 少量の喀血を繰り返す中年の女性──肺MAC症
症例 2 手術療法にて排菌が陰性化した女性──肺MAC症
付録 参考資料
A 結核発生届(記入例)
B 入退院結核患者届出票
C 入院勧告書
D 入院延長勧告書
E 医療費公費負担申請書①(感染症法第37条)
F 医療費公費負担申請書②(感染症法第37条の2)
G 結核入院患者調査書
●参考文献
●索引
コラム
・結核病棟は不採算
・治療による悪化,治療中断後の治療期間
・人権への配慮は適正か?