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子どものための精神医学
筆頭著者 滝川 一廣 (著)
医学書院
電子版ISBN 978-4-260-63037-5
電子版発売日 2022年9月12日
ページ数 464
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-260-03037-3
印刷版発行年月 2017年3月
書籍・雑誌概要
発達障害? アスペルガー症候群? 知的障害? 自閉症? ADHD? LD? ところでスペクトラムって何?-本書を読めば、錯綜する診断名を「認識と関係の座標軸」のもとに一望できるようになる。読めば分かるように書いてある、ありそうでなかった児童精神医学の基本書。事例の機微をすくい上げる繊細な筆さばき、理論と実践の生き生きとした融合、そして無類の面白さ! マニュアルでは得られない「納得」がここに。
●新聞で紹介されました!
《463ページにも及ぶ分厚い専門書なのに、興奮しながら一気に読み切った。タイトルには精神医学とあるが、内容は「何かにつまずく全ての子ども」についての考察と助言だ。》―鈴木大介(ルポライター)
(共同通信社配信、『熊本日日新聞』2017年5月14日 書評欄、ほか)
《著者は、日本を代表する児童精神科医の一人。育つ側の難しさを語りつつ、育てる側の難しさも平等にフォローした。》
(『読売新聞』2017年4月26日より)
《〈疾患〉ではなく〈障害〉と言われる概念の理解に主眼をおき、教員・保育士・看護師・心理士向けにわかりやすく解説する。》
(『東京新聞』2017年6月18日より)
●雑誌で紹介されました!
《児童精神科医学者である著者は五十年間の研究の末、子どもの「精神発達の座標軸」を発見した。その原理と実践をつないで体系化したのが本書だ。》―本田哲也(toBe塾主宰)
(『児童心理』2017年8月号 BOOK REVIEWより)
《この書物は、児童精神医学の教科書ではない。しかし、その道へ進みつつある臨床家に向けての教導書ではある。》―清水將之(三重県立看護大学理事)
(『こころの科学』2017年7月号、BOOKS ほんとの対話より)
目次
第I部 はじめに知っておきたいこと
第1章 〈こころ〉をどうとらえるか
1 哲学にとっての〈こころ〉、科学にとっての〈こころ〉
2 精神医学にとっての〈こころ〉
3 日常生活にとっての〈こころ〉
4 〈こころ〉は共同の世界
5 「精神障害」という〈こころ〉のあり方
第2章 「精神医学」とはどんな学問か
1 精神医学の誕生
2 精神医学の黎明期
3 精神医学は「理系」か「文系」か
4 正統精神医学
5 力動精神医学
6 児童精神医学のはじまり
第3章 精神障害の分類と診断
1 分類とはどういうものか
2 伝統的な診断分類
3 操作的診断分類
4 児童精神医学における診断分類
5 精神医学での「診断」とは何か
6 「診断」のもつ意味
第4章 「精神発達」をどうとらえるか
1 なぜ決定版がないのか
2 認識の発達、関係の発達
3 「認識」と「認知」の区別
4 精神発達の基本構造
第5章 ピアジェの発達論
1 同化と調節
2 知性の発達
3 シェマ
4 発達の4段階
5 精神発達の最終段階
第6章 フロイトの発達論
1 小児性愛
2 リビドー
3 発達の5段階
第7章 精神発達の道筋
1 精神発達の歩み
2 精神発達を推し進める力
3 なぜ個人差が生じるのか
第8章 「共有」の発達としての精神発達
1 まどろみとほほえみ
2 啼泣とマザリング
3 マザリングとアタッチメント
4 感覚の共有(分化)
5 首のすわりと探索行動
6 安心の共有と探索
7 バブリングと情動の共有
8 関心の共有
9 模倣の行為(しぐさ)の共有
10 しつけと意志の発達
11 言葉のはじまり
12 認識の社会化
13 関係の社会化
第II部 育つ側のむずかしさ 発達障害をもつ子どもたち
第9章 発達障害とは何か
1 この本での定義
2 全般的な発達のおくれ-知的障害と自閉症スペクトラム
3 発達の分布図
4 外因・内因・心因
5 必要条件・負荷条件・決定条件
6 発達障害と外因
7 発達障害と内因
8 発達障害と環境因(心因)
第10章 発達障害における体験世界
1 発達の領域分け
2 不安・緊張・孤独
3 発達のおくれと言葉のおくれ
4 認識発達のおくれと孤独
5 関係発達のおくれと孤独
6 高い感覚性の世界
7 感覚世界の混乱性
8 感覚の混乱性への対処努力
9 高い衝動性の世界
10 情動的混乱と対処努力
11 自閉症スペクトラムと知的能力
12 発達の歩みのスペクトラム
13 アタッチメントと自閉症スペクトラム
14 ひとへの関心、ものへの関心
15 C領域における体験世界
第11章 関係発達のおくれにどう支援するか
1 乳児期における支援
2 幼児期における支援
3 学童期における支援
4 思春期における支援
5 現代社会と自閉症スペクトラムの増加
第12章 部分的な発達のおくれ
1 学習障害とはどういうものか
2 学業不振のとらえと支援
3 ADHDとはどういうものか
4 落ち着きのない子どもたち
5 ADHDへの支援
第III部 育てる側のむずかしさ 親や支援者はどうかかわるか
第13章 子育てをめぐる問題
1 親が育てるわけ
2 子育ての歴史
3 現代日本の子育て
第14章 子育て困難の第一グループ
1 家庭内暴力~ひきこもり
2 摂食障害
3 問題の背景
4 問題への対処と支援
第15章 子育て困難の第二グループ
1 不備な子育てはなぜ生じるか
2 「児童虐待」という概念の誕生
3 虐待防止法制定後
4 子育ての失調への家族支援
5 子どもへの支援-3つの困難
6 心理的な問題がもたらすもの
7 PTSD的な問題がもたらすもの
8 PTSDの症状にどうかかわるか
9 発達的な問題がもたらすもの
10 子育ての失調の予防
第IV部 社会に出てゆくむずかしさ
第16章 児童期~思春期をめぐる問題
1 児童期とその発達課題
2 思春期とその発達課題
3 思春期の〈性〉の問題
4 不登校現象のはじまり
5 不登校現象の増加
6 学校へ行く意味
7 現代社会の不登校
8 不登校への具体的対応
9 子ども同士の関係の失調(いじめ)
10 伝統的な「いじめ」と80年代からの「いじめ」
11 「いじめ」の変化とその社会的背景
12 規範意識と「いじめ」
13 学校ストレスと「いじめ」
14 「いじめ」への対処
第17章 その他の精神医学的な問題
1 子どものうつ病
2 子どもの「神経症性」の障害
文献
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索引
あとがき
著者紹介