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出生と死をめぐる生命倫理
連続と不連続の思想
筆頭著者 仁志田 博司 (著)
医学書院
電子版ISBN 978-4-260-62401-5
電子版発売日 2016年6月6日
ページ数 256
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-260-02401-3
印刷版発行年月 2015年11月
書籍・雑誌概要
40年にわたり日本の新生児医療を牽引してきた著者が、臨床で経験した事例や海外の事例を交えつつ、周産期における生命倫理の考え方を述べる。1970年代はじめの日本において、臨床倫理の素地を関係者たちと固めていった歴史的な観点も踏まえて倫理観を語り、出生をめぐる生命倫理を考える道筋を読者に示す。
目次
第1章 私がなぜ生命倫理を学ぶようになったか
慢性肺疾患で長期人工換気を受ける超低出生体重児の弥生ちゃん
わが国の生命倫理の萌芽に立ち会う
生命倫理学に欠かせない「ともに生きるあたたかい心」
第2章 なぜ生命倫理が医療・看護において重要になってきたか
NICUから在宅医療となった18トリソミーの琴美ちゃん
なぜ生命倫理が医療において重要となってきたか
第3章 予後不良の児に対する倫理的対応
予後不良児とは
東京女子医科大学NICUにおける予後不良の新生児に対する
倫理的考察からの治療方針:いわゆる「仁志田の基準」
日本的な考えに基づくクラス分け
「仁志田の基準」の各クラスの解説
倫理的考察から治療方針を判断する基本的ステップ
予後不良児の倫理的意思決定の実際:髄膜瘤の美樹ちゃん
「重篤な疾患を持つ新生児の家族と医療スタッフの
話し合いのガイドライン」の誕生
第4章 臨床現場における子どもをめぐる生命倫理の特殊性
なぜ子どもの倫理は特殊なのか
ベビードゥ事件とその歴史的意義
子どもとは何か
子どもの権利と親権
子ども虐待をめぐる親権と子どもの最善の利益の相克
子どもを対象とする医療・研究の倫理的配慮
第5章 胎児と超低出生体重児の生きる権利をめぐる生命倫理
妊娠21週に母体搬送されて22週3日で出生した美鈴ちゃん
法的観点からの成育限界
医学的な成育限界(viability limit)
臨床の場で成育限界をどのように考えるか
胎児はいつから人とみなせるか
第6章 出生前診断のもたらす倫理的問題
出生前診断とは
高齢妊娠で生まれて十二指腸閉鎖を合併したダウン症候群のかすみちゃん
出生前診断の方法とそれに伴う倫理的問題
出生前診断にかかわる生命倫理的問題
第7章 遺伝子をめぐる生命倫理
遺伝子とDNA
ハンチントン病の母親をもつ40歳の妊婦,さやかさん
遺伝相談をめぐる倫理的問題
組み換えDNA技術の発展と科学者たちの倫理的対応
遺伝子治療および幹細胞治療をめぐる生命倫理
クローン人間の非倫理性
第8章 生殖補助医療をめぐる倫理的問題
生殖補助医療のもたらすもの
ダウン症候群の第1子を出産したあとに,
第2子妊娠目的で不妊治療を行なった玉緒さん
不妊症および不育症
ARTの医学的解説
ARTのもたらす医学的問題
ARTのもたらす社会的問題
ARTをめぐる倫理的問題
性同一性障害とARTによる出産
急速なARTの進歩を前に立ち止まって議論するべき時
第9章 生と死をめぐる生命倫理:死生学
死生学とは
無脳児を出産した40歳の春美さん
死とは何か
生命とは何か
生命体を保つための死:アポトーシス
生と死の連続性
Baby Kから学ぶ生命倫理的教訓
第10章 周産期医療における脳死をめぐる生命倫理
脳死の医学的意味と法的意味
新生児期に脳死(脳死状態)と判定されたゆみちゃん
脳死臓器移植の歴史と日本での展開
脳死にかかわる倫理的考察
日本の脳死臓器移植の未来
第11章 性と命の誕生をめぐる生命倫理
性の誕生
性の変容
女性の妊娠・分娩と社会の対応
第12章 生命倫理の背景にある「連続と不連続の思想」
臨床の葛藤から生まれた思想
私たちを取り巻く連続性とは
私とあなたの連続性
人間の一生の縦糸と横糸の連続性
物質と生命体の連続性
人間とすべての生物との命の連続性
生と死の連続性
異常と正常の連続性
「連続と不連続の思想」と「あたたかい心」が支える生命倫理
別章 生命倫理の基礎
生命倫理とは何か
生命倫理の基本原則
追記
初出一覧
索引