皮膚病診療 45巻7号 (2023年7月発行)

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特集　にきびに関連する皮膚病

Editor's eye 向井　秀樹 45巻7号 , 2023年7月 , pp.569-569

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総説1

便秘と痤瘡玉井　昌和 , 松岡　悠美 45巻7号 , 2023年7月 , pp.570-574

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●尋常性痤瘡は脂腺性毛包を主座とする慢性の炎症性皮膚疾患である．

●日本人女性の中で便秘によって尋常性痤瘡が増悪するという感覚は存在し，両者の間に炎症波及のメカニズムがあることが推測されてきた．

●便秘患者のみならず尋常性痤瘡の患者においても，腸内の細菌叢の乱れ（dysbiosis）がおこっており，その特徴は部分的に合致している．

●便秘患者にみられるdysbiosisを起点とした免疫細胞の活性化や，細菌叢由来の代謝産物の変化によって尋常性痤瘡の発症や増悪をひきおこす因子が誘導されている可能性が指摘されている．

（「ポイント」より）

Topics

痤瘡とストレス～皮脂腺のストレス応答機構～佐藤　隆 45巻7号 , 2023年7月 , pp.576-581

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●痤瘡患者では不安感の強さに応じて視床下部－交感神経－副腎髄質軸（SAM axis）が活性化し，病巣部毛包内にノルメタネフリンが存在する．

●ノルメタネフリンを含めカテコールアミンは脂腺細胞の皮脂産生・分泌や表皮細胞の分化調節に関与する．

●アセチルコリンは表皮細胞の細胞分化や皮脂の産生促進に関与する．

●紫外線や温熱刺激は視床下部－下垂体－副腎軸（HPA axis）の活性化を介して皮脂産生・分泌を促進する．

（「ポイント」より）

総説2

痤瘡と関節炎山本　俊幸 45巻7号 , 2023年7月 , pp.582-588

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●顔面や体幹に重症の痤瘡を伴い，骨関節炎を呈する症例がまれにある．

●痤瘡と関節炎だけの症状しかみられない場合もあり，SAPHO症候群との鑑別を要する．

●自己炎症性症候群において重症の痤瘡（syndromic acne）がみられる疾患群があり，さらに無菌性関節炎を伴うこともある．

●骨関節生検組織からアクネ菌が培養で検出されたり，遺伝子発現が認められたとする報告がある．

●近年アクネ菌にはさまざまな炎症性サイトカインを誘導したりTh17タイプの炎症をひきおこすことがわかっており，これらを介して関節炎の発症にも関与しているのかもしれない．

（「ポイント」より）

臨床例

プレドニゾロンとジアフェニルスルホンの併用内服でコントロールできた電撃性痤瘡中西　佑以子 , 竹治　真明 , 宮野　恭平 , 常深　祐一郎 , 中村　晃一郎 45巻7号 , 2023年7月 , pp.589-593

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・顔面，前胸部，背部の痤瘡治療中に生じた電撃性痤瘡に対し，プレドニゾロンおよびジアフェニルスルホン（DDS）の併用で改善が得られた．

・電撃性痤瘡は通常の痤瘡治療には反応せず，好中球皮膚症や自己炎症性疾患として対応する必要がある．

（「症例のポイント」より）

劇症型痤瘡金田　一真 , 森脇　真一 45巻7号 , 2023年7月 , pp.594-597

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・劇症型痤瘡（acne fulminans：AF）は電撃性痤瘡とも呼ばれ，急性に発熱，関節痛などの全身症状を伴って痤瘡様皮疹が出現する，痤瘡の最重症型である．

・AFは若年男性に多くみられ，顔面，胸部，背部に突然，有痛性の紅色丘疹や膿疱が出現し，しばしば結節，囊腫，膿瘍，壊死性潰瘍を形成する．早期に治療しなければ瘢痕を残すこともある．

・AFは，通常の尋常性痤瘡に対する治療は無効であり，ステロイド全身投与を必要とする．

・今回われわれはステロイド全身投与を行い，治療したAFの1例を経験した．

（「症例のポイント」より）

デュアック^®配合ゲルによるアレルギー性接触皮膚炎李　殷先 , 小林　香映 , 北見　由季 , 渡辺　秀晃 , 中田　土起丈 , 松永　佳世子 45巻7号 , 2023年7月 , pp.598-601

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・デュアック^®配合ゲル［クリンダマイシン（CLDM）リン酸エステル水和物1％―過酸化ベンゾイル（BPO）3％ゲル］によるアレルギー性接触皮膚炎（allergic contact dermatitis：ACD）の1例を経験した．

・成分パッチテストの結果より，原因物質はBPOとCLDMリン酸エステルの両者と同定した．

・痤瘡治療薬は成分が重複するので，使用可能な薬剤を指導するためには，成分パッチテストが不可欠である．

（「症例のポイント」より）

棘状苔癬髙地　由奈 , 松澤　高光 , 松坂　恵介 , 猪爪　隆史 45巻7号 , 2023年7月 , pp.602-604

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・棘状苔癬は，棘状の角質突起（棘状突起）を伴う毛孔一致性の小丘疹が集簇した臨床像を呈する，まれな疾患である．

・臨床像や病理組織学的所見が毛孔性苔癬と類似するため，両者の鑑別点を検討した．

（「症例のポイント」より）

ジアフェニルスルホンが奏効した好酸球性膿疱性毛包炎関　太樹 , 古川　史奈 , 要藤　歩美 , 三澤　恵 , 千代　恵里子 , 清水　忠道 45巻7号 , 2023年7月 , pp.606-609

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・インドメタシンで改善せず，ジアフェニルスルホン（diaphenylsulfone：DDS）が奏効した好酸球性膿疱性毛包炎（eosinophilic pustular folliculitis：EPF）を経験した．

・インドメタシン抵抗例やNSAIDs禁忌症例などではDDSが有用な代替治療薬となりうる．

（「症例のポイント」より）

禿髪性毛包炎川村　飛翔 , 坪井　良治 , 蒲原　毅 45巻7号 , 2023年7月 , pp.610-613

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・診断確定までに5年を要した禿髪性毛包炎の1例を経験した．

・毛孔性扁平苔癬との鑑別を要したが，毛包組織の破壊と毛包周囲に多数の好中球とリンパ球が混在する細胞浸潤がみられ，真皮表皮境界部への浸潤パターンが苔癬様ではなかったことから禿髪性毛包炎（folliculitis decalvans：FD）と考えられた．

・クラリスロマイシン内服とステロイド局所注射による治療により症状の改善が得られた．

（「症例のポイント」より）

口囲皮膚炎の4例赤坂　俊英 , 菊池　里奈子 , 前田　文彦 45巻7号 , 2023年7月 , pp.614-618

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・口囲皮膚炎は若年成人女性の口囲に好発する慢性の多発性紅色丘疹を特徴とし，膿疱や小紅斑，落屑を伴うことがあり，原因不明で，治療に難渋することが多い．

・治療はミノサイクリン少量内服やメトロニダゾールの外用治療が効果を示したことから，顔面の毳毛の毛包脂腺系の抗酸化療法が効果的である．

・口囲皮膚炎と酒皶および酒皶様皮膚炎，あるいは顔面播種状粟粒性狼瘡のオーバーラップがみられ，毳毛毛包脂腺系だけの発症機序も含めこれら4疾患は同一範疇の疾患であると考える．

（「症例のポイント」より）

Cutibacterium acnesを検出しえたサルコイドーシス渡邊　美樹 , 平田　央 , 林　恵理子 , 大迫　順子 , 三浦　圭子 , 鶴田　大輔 45巻7号 , 2023年7月 , pp.620-623

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・PAB抗体による免疫組織化学によりCutibacterium acnes（C. acnes）を検出しえたことで，サルコイドーシスの診断の一助となった．

（「症例のポイント」より）

局所皮弁にて再建した再発毛巣洞の2例下地　志月 , 白瀬　春奈 , 粟澤　剛 , 山口　さやか 45巻7号 , 2023年7月 , pp.624-627

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・毛巣洞は主に臀裂部に毛髪が迷入することで，瘻孔や囊腫，異物肉芽腫を形成し，感染を繰り返す．

・根治療法は外科的手術が一般的だが，治癒の遅延や再発を繰り返すなど治療に難渋することがある．

・今回，単純縫縮で閉創した毛巣洞の再発例に対し，症例に応じた局所皮弁を選択し術後再発を予防できた2例を経験した．

（「症例のポイント」より）

顔面の痤瘡様皮疹が唯一の臨床症状であった結節性硬化症（TSC）の成人例坂口　裕美 , 金子　高英 , 髙森　建二 , 須賀　康 45巻7号 , 2023年7月 , pp.628-633

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・顔面の痤瘡様皮疹を主訴に初診となった結節性硬化症（tuberous sclerosis complex：TSC）の1例を報告した．

・幼小児期から本症状がみられていたが痤瘡として加療されていた．

・痤瘡様皮疹を手がかりに皮膚生検，CT検査，遺伝子検査などでTSCの確定診断を行うことができた．

・難治性の痤瘡様皮疹を伴った患者では，ほかの身体徴候がなくともTSCを鑑別として想起する必要がある．

（「症例のポイント」より）

臨床研究

尋常性痤瘡の新たな皮疹～炎症後丘疹（仮称）の提案とその臨床的意義～乃木田　俊辰 , 野村　有子 , 黒川　一郎 45巻7号 , 2023年7月 , pp.634-639

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●炎症後丘疹（postinflammatory papule：PIP)は急性炎症期から維持期に過渡的に生じる丘疹である．

●PIPは急性炎症性皮疹ではないので，内服抗菌薬，外用抗菌薬は不要である．

●炎症後丘疹の治療はエピデュオ^®ゲル（アダパレン/過酸化ベンゾイル配合剤）を推奨する．

（「ポイント」より）

治療

尋常性痤瘡に対するパルス幅可変式ロングパルス色素レーザーによる治療経験山本　晴代 45巻7号 , 2023年7月 , pp.640-645

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●痤瘡の難治例に対してケミカルピーリング，レーザー，intense pulsed light（IPL）治療などの自由診療の併用による有効例が報告されている．

●われわれは既存の治療に抵抗性であった痤瘡患者に595nmの波長を有するパルス幅可変式ロングパルス色素レーザー（long-pulsed dye laser：LPDL）を用い，良好な治療成績が得られた．

●痤瘡の難治例に対して，LPDLも選択肢の1つとして考慮すべき治療法であると考える．

（「ポイント」より）

Editorial

心に響く言葉，再び浅井　俊弥 45巻7号 , 2023年7月 , pp.567-567

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皮心伝心

脊髄損傷と皮膚疾患谷田　宗男 45巻7号 , 2023年7月 , pp.646-646

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診察室の四季

夏山斉藤　隆三 45巻7号 , 2023年7月 , pp.651-651

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リレーエッセイ　私のワークライフバランス

異動を繰り返す中でも続けている小さなこと種瀬　啓士 45巻7号 , 2023年7月 , pp.652-653

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皮膚科のトリビア

第217回浅井　俊弥 45巻7号 , 2023年7月 , pp.654-655

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目次 45巻7号 , 2023年7月 , pp.564-565

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次号予告 45巻7号 , 2023年7月 , pp.656-656

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基本情報

皮膚病診療
45巻7号
(2023年7月発行)

電子版ISSN：2434-0340 印刷版ISSN：0387-7531 協和企画

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