皮膚病診療 44巻6号 (2022年6月発行)

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特集　新規治療―炎症性―

Editor's eye 山本　俊幸 44巻6号 , 2022年6月 , pp.457-457

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展望

天疱瘡に対する新しい治療山上　淳 44巻6号 , 2022年6月 , pp.458-463

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●2021年12月に難治性天疱瘡に対するリツキシマブ（rituximab：RTX）の保険適用拡大が承認された．

●RTXが保険診療で使用可能になったことにより，難治性天疱瘡の治療戦略が大きく変わる可能性がある．

●診療ガイドラインに基づいた天疱瘡の治療の概要を理解しつつ，新しい治療法を導入していくことが望ましい．

（「ポイント」より）

Hailey-Hailey病の治療におけるアプレミラストの可能性牧野　輝彦 , 要藤　歩美 , 清水　忠道 44巻6号 , 2022年6月 , pp.464-470

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●Hailey-Hailey病はATP2C1遺伝子の変異で生じる遺伝性疾患であり，間擦部に水疱・びらんを繰り返し生じる．

●Hailey-Hailey病の皮疹の発症にはATP2C1遺伝子変異に加え局所の炎症反応による正常アレルからのATP2C1の発現の低下の関与が示唆される．

●アプレミラストはphosphodiesterase4（PDE4）を阻害することにより炎症反応を抑制する薬剤であり，Hailey-Hailey病の治療薬の1つになることが期待される．

●Hailey-Hailey病へのアプレミラストの投与は適用外使用であるが，既報告14例中9例（64.3％）で皮膚症状の改善がみられ，改善までの期間は平均4週であった．

（「ポイント」より）

全身性強皮症の新規治療浅野　善英 44巻6号 , 2022年6月 , pp.472-477

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●全身性強皮症（systemic sclerosis：SSc）の病態は臓器横断的基本病態と臓器別病態修飾因子に分けて理解する必要がある．

●全身性強皮症に対してリツキシマブ（RTX）が新たに保険適用となり，皮膚硬化と間質性肺疾患に対する治療の選択肢が増えた．

●RTXの治療効果を推測する指標が提案されており，その有用性が期待されている．

●病変部皮膚の遺伝子発現様式に基づく層別化により，将来的にprecision medicineの導入が期待されている．

（「ポイント」より）

臨床例

多血小板血漿の局所投与により治療した難治性皮膚潰瘍の3例牧野　輝彦 , 鹿児山　浩 , 三澤　恵 , 清水　忠道 44巻6号 , 2022年6月 , pp.478-482

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・多血小板血漿は自己末梢血中の血小板を濃縮した血漿液であり，再生医療の1つとしてさまざまな疾患の治療に用いられている．

・2020年4月より褥瘡を含む難治性皮膚潰瘍に対して多血小板血漿による治療が保険収載された．

・livedo血管症，熱傷，褥瘡のため生じた難治性皮膚潰瘍に対して多血小板血漿による治療を行い奏効した．

（「症例のポイント」より）

デュピルマブが奏効した結節性痒疹青木　奈津子 , 中島　英貴 , 中島　喜美子 , 佐野　栄紀 44巻6号 , 2022年6月 , pp.484-487

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・種々の治療に抵抗性であった結節性痒疹に対して，デュピルマブが奏効した．

（「症例のポイント」より）

デュピルマブ投与によりアトピー性皮膚炎に併発した円形脱毛症が改善した例内田　秀昭 , 鎌田　昌洋 , 林　耕太郎 , 石川　武子 , 大西　誉光 , 多田　弥生 44巻6号 , 2022年6月 , pp.488-491

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・デュピルマブはアトピー性皮膚炎に対し臨床試験と同様，実臨床でも高い有効性と安全性を示している．

・アトピー性皮膚炎にはしばしば円形脱毛症が合併することが知られている．

・デュピルマブ投与によりアトピー性皮膚炎に併発した円形脱毛症が改善した1例を経験した．

（「症例のポイント」より）

アプレミラストが奏効した爪乾癬森　龍彦 , 山本　俊幸 44巻6号 , 2022年6月 , pp.492-495

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・アプレミラストにより両手足の爪乾癬の改善を認めた．

・爪病変の改善はアプレミラスト投与3カ月後よりみられ，1年後にはほぼ正常な爪甲になった．

・爪乾癬は乾癬の代表的な難治性病変だが，アプレミラストは効果的な治療法の1つに位置づけられる．

（「症例のポイント」より）

リサンキズマブで足趾炎が改善した乾癬性関節炎小濱　望 , 宮城　拓也 , 高橋　健造 44巻6号 , 2022年6月 , pp.496-498

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・軽症ではあるが，足趾炎を伴った乾癬性関節炎の1例を経験した．

・足趾炎はメトトレキサート抵抗性であったが，リサンキズマブで軽快した．

・リサンキズマブの乾癬性関節炎に対するエビデンスも報告され，IL-23阻害薬は関節炎，指趾炎に有効と考えた．

（「症例のポイント」より）

アプレミラストが化膿性汗腺炎にも奏効したダウン症合併尋常性乾癬十河　香奈 44巻6号 , 2022年6月 , pp.500-503

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・ダウン症のある化膿性汗腺炎（hidradenitis suppurativa：HS）を合併した尋常性乾癬患者に対し，アプレミラストによる治療を開始したところ，乾癬病変とHS双方に奏効し，大きな副作用もみられなかった．

（「症例のポイント」より）

HIV感染症に合併した化膿性汗腺炎に対するアダリムマブの使用経験山田　尚人 , 植田　麻理子 , 竹田　さゆり , 椙村　有里子 , 嘉陽　織江 , 清水　真 44巻6号 , 2022年6月 , pp.504-507

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・HIV感染症を合併した化膿性汗腺炎に対してアダリムマブを投与した症例は，調べたかぎりでは本邦初である．

・HIV感染症に対する生物学的製剤の使用について，結核などの重症感染症の報告が複数あり注意が必要である．

・アダリムマブ投与後8週以降hidradenitis suppurativa clinical response（HiSCR）を達成しており，HIV感染症患者に対してもアダリムマブは有効だと考えられる．

（「症例のポイント」より）

膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎に対してアダリムマブを用いた例廣瀬　梓 , 岡﨑　布佐子 44巻6号 , 2022年6月 , pp.508-510

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・2019年2月にアダリムマブの適応症として化膿性汗腺炎（hidradenitis suppurativa：HS）が追加された．

・膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎（perifolliculitis capitis abscedens et suffodiens：PCAS）はHSと同一の慢性膿皮症という疾患群に含まれる．

・内服加療で難治であったPCASに対してアダリムマブが効果を示した症例を経験したので報告する．

（「症例のポイント」より）

アダリムマブが有効であった陰茎壊疽性膿皮症山田　勝裕 , 山川　岳洋 44巻6号 , 2022年6月 , pp.511-515

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・亀頭部から陰茎に有痛性の硬結，潰瘍を生じた．

・基礎疾患はなかった．

・尿道瘻を形成した．

・アダリムマブが奏効した．

（「症例のポイント」より）

グセルクマブが著効した掌蹠膿疱症平岩　朋子 , 山本　俊幸 44巻6号 , 2022年6月 , pp.516-518

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・効果的な治療法が少ない掌蹠膿疱症に対してIL-23を標的としたグセルクマブが奏効した．

・前立腺癌の治療歴があるため，慎重なフォローアップを行った．

（「症例のポイント」より）

免疫チェックポイント阻害薬投与中に生じた急性汎発性発疹性膿疱症後藤　彩 , 田中　菜々子 , 中谷　祥子 , 八尋　知里 , 高井　利浩 44巻6号 , 2022年6月 , pp.520-523

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・免疫チェックポイント阻害薬投与中に発熱を伴う全身性皮疹が出現したときは，重症薬疹を念頭に，各種の精査や慎重な経過観察が必要である．

・自験例では免疫チェックポイント阻害薬投与が継続可能であったが，免疫チェックポイント阻害薬投与の中止の必要性があるかについては今後の症例の蓄積が必要である．

（「症例のポイント」より）

Editorial

病院勤務医の危機向井　秀樹 44巻6号 , 2022年6月 , pp.455-455

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日常診療に役立つ豆知識

円形脱毛症へのステロイド局所療法の上手な使い方新山　史朗 44巻6号 , 2022年6月 , pp.524-524

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専門医試験のための実践ダーモスコピー

③良性腫瘍と炎症性疾患の鑑別にもダーモスコピーは有用である！外川　八英 44巻6号 , 2022年6月 , pp.525-527

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リレーエッセイ　私のワークライフバランス

どうやってバランスとっていますか……？増澤　真実子 44巻6号 , 2022年6月 , pp.528-529

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私の視点

副腎不全はやはり怖い！名嘉眞　武國 44巻6号 , 2022年6月 , pp.530-531

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学会ハイライト

第51回日本皮膚免疫アレルギー学会総会学術大会を終えて佐藤　貴浩 44巻6号 , 2022年6月 , pp.532-534

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私の歩んだ道

皮膚免疫学から発汗生理学へ横関　博雄 44巻6号 , 2022年6月 , pp.535-541

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皮心伝心

Bedside to Bench, Bench to Bedside 沖山　奈緒子 44巻6号 , 2022年6月 , pp.542-542

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診察室の四季

梅雨入り斉藤　隆三 44巻6号 , 2022年6月 , pp.543-543

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皮膚科のトリビア

第204回浅井　俊弥 44巻6号 , 2022年6月 , pp.544-545

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声

洗浄剤の適切な使用は……？／リフィル処方箋について吉田　正美 , 馬場　直子 , 石川　博康 , 矢口　均 44巻6号 , 2022年6月 , pp.546-548

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目次 44巻6号 , 2022年6月 , pp.452-453

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次号予告 44巻6号 , 2022年6月 , pp.550-550

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基本情報

皮膚病診療
44巻6号
(2022年6月発行)

電子版ISSN：2434-0340 印刷版ISSN：0387-7531 協和企画

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Editorial

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専門医試験のための実践ダーモスコピー

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