画像診断 41巻2号 (2021年1月発行)

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特集　院内発症の肺病変―感染症 vs. 非感染症―

序説岡田　文人 41巻2号 , 2021年1月 , pp.141-141

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神戸から赴任された杉村和朗先生に勧誘され，大学6年5月に放射線科入局を決めた．放射線科の授業に出席したことがなかったが，何らかの手技を身につけたかった．当時，島根医科大学（現：島根大学医学部）放射線科では，気管支鏡検査，上・下部内視鏡検査，ERCPを含めた数多くの検査・治療を行っていた．初代教授の故石田哲哉先生は，医局員は平等であること，公私混同をしないこと，そして約束を守ることを基本方針としており，全く無知な私でもとても楽しく，充実した医師生活が始まった．立派な先輩方から本当に親切に丁寧に多くのことを教わった．仲良しの同級生や素敵な後輩たちにも恵まれた．杉村先生が神戸大学の教授に就任された時と同じくして，大分医科大学（現：大分大学医学部）放射線科に入局したのは医師10年目のことであった．森宣教授のもと，新しい放射線科生活が始まった．時には深夜に及ぶカンファレンス，海外での学会活動や論文作成など，新しい教育現場に携わることとなった．好きなことを自由に研究させていただいている中で，胸部画像診断に興味をもち，研究・学会発表することを楽しみに過ごしてきた．令和2年2月，浅山良樹教授が赴任され，新しい風の中，みんなに感謝しながら医師生活を過ごしている．今までご教授いただいた先生への感謝の気持ちを決して忘れないこと，そして同僚や後輩たちにその恩返しをすることを私の信念として，毎日を大切に生きている．

細菌性肺炎序論岡田　文人 , 佐藤　晴佳 , 馬場　博 , 柏木　淳之 , 板谷　貴好 41巻2号 , 2021年1月 , pp.142-145

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造血幹細胞移植と免疫不全石川　和宏 , 森　信好 41巻2号 , 2021年1月 , pp.146-158

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免疫不全には“バリア破綻”，“好中球減少”，“液性免疫不全”，“細胞性免疫不全”がある．造血幹細胞の移植後，生着前は好中球減少により，アスペルギルスやムーコルによる肺炎のリスクとなる．生着後早期は細胞性免疫不全により，ウイルス肺炎やニューモシスチス肺炎などのリスクとなる．生着後後期は液性免疫不全があるが，退院しているため肺炎球菌性肺炎のリスクとなる．

肺真菌症芦澤　和人 , 岩野　佑介 , 芦澤　信之 , 筒井　伸 41巻2号 , 2021年1月 , pp.159-167

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肺真菌症は，免疫不全患者に発症する日和見感染症の代表である．いかに早期に診断できるかが患者の予後を左右し，早期診断に果たす画像診断の役割は大きい．しかし，胸部単純X線写真では，病変の存在を指摘できないことがあり，質的診断を含めてCTを用いた診断が必要である．

ニューモシスチス肺炎とウイルス肺炎田中　伸幸 , 小林　大河 , 國弘　佳枝 , 伊東　克能 41巻2号 , 2021年1月 , pp.168-177

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ニューモシスチス肺炎（PCP）とサイトメガロウイルス肺炎（CMV-P）はHRCT上，いずれも広範なすりガラス影が高頻度であるが，前者ではコンソリデーションや結節の頻度は低いのに対して，後者ではいずれも少なからずみられる．特に結節の頻度は高く，小葉中心性，ランダム分布のいずれもありうる．また病変分布も，前者が上肺野優位であるのに対し，後者では下肺野優位の分布を呈する．

肺癌治療に伴う肺病変 −薬剤性肺障害を中心に− 負門　克典 , 佐藤　嘉尚 , 中野　祥子 , 鈴木　涼子 41巻2号 , 2021年1月 , pp.178-188

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薬剤性肺障害の画像は多彩であり，非特異的なことも多いが，画像パターンに当てはめることが鑑別の手がかりになる．対処が急がれるびまん性肺胞傷害（DAD）の診断が重要である．除外診断であることから，それぞれに鑑別すべき病態を理解する必要がある．放射線肺障害の診断では，線量分布図の確認が何よりも重要である．

新型コロナウイルス感染症（COVID-19）とインフルエンザウイルス感染症田中　健之 , 泉川　公一 41巻2号 , 2021年1月 , pp.189-198

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新型コロナウイルス感染症（COVID-19）とインフルエンザウイルスによる肺炎像は，どちらも呼吸器ウイルスとして，細菌性肺炎とは異なるすりガラス影を主体とするため，画像上の鑑別は容易ではない．臨床経過，身体所見，画像所見，病原体検査のタイミングなどを総合的に組み合わせた診断・治療アプローチが重要である．

新型コロナウイルス（COVID-19）肺炎 −鑑別診断を含めて− 杉浦　弘明 41巻2号 , 2021年1月 , pp.199-209

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新型コロナウイルス（COVID-19）肺炎はSARS-CoV-2感染によって引き起こされる肺炎である．比較的若年者では不顕性感染や感冒様症状で終わることが多いが，高齢者や基礎疾患を有する患者ではしばしば重篤化し，時に致死的である．COVID-19肺炎では，初期にすりガラス影を主体とした所見を呈し，両側下葉末梢優位の分布を示す．時間経過とともに病変が拡大し，すりガラス影に網状影が重畳し，“crazy-paving pattern”を呈する．また，すりガラス影にコンソリデーションが重畳し，経過とともにコンソリデーションが拡大する．COVID-19肺炎と鑑別すべきびまん性病変を呈する疾患として，非定型肺炎，薬剤性肺炎，筋炎関連間質性肺炎，びまん性肺胞傷害が重要である．

感染症と区別すべき肺疾患上野　碧 , 栗原　泰之 41巻2号 , 2021年1月 , pp.211-221

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院内発症の非感染性肺疾患の鑑別は多岐にわたる．本稿では院内発症の非感染性肺疾患として，肺水腫，薬剤性肺障害，肺出血，肺梗塞，間質性肺炎の急性増悪，膠原病の増悪や治療と関連した変化など，代表的な病態と典型的な画像所見について述べる．

すとらびすむす

ご当地名字藤本　肇 41巻2号 , 2021年1月 , pp.137-137

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放射線科医として36年あまり，千葉，東京，山梨，静岡で勤務し，再び千葉に舞い戻ってきた．それぞれ日帰り圏内にある近隣の都県であるが，病院のスタッフや患者さんの名字を並べてみると，どの地域の病院なのか容易に見当がつく．静岡県は東西に長く，複数の河川により地域が分かれていることもあり，名字分布もそれに沿っている．勝又，芹澤は御殿場〜沼津にかけての一帯，栗田，宮城島，清などは富士川流域〜静岡市あたり，袴田，河合，野末などは愛知県との県境に近い浜松市界隈といった具合である．これらのなかには全国的にメジャーなものもあるが，ごく狭い地域に偏在しているものもある．例えば，進士は伊豆半島先端の下田市に圧倒的に多い．私の前任地の沼津市立病院近隣には一杉，大嶽，羽切などが一部集積して認められるが，それ以外の地域で遭遇することは滅多にない．

画像診断と病理

悪性Wolff 管腫瘍角　明子 , 横地　美哉 , 内田　政史 , 牛嶋　公生 , 真田　咲子 41巻2号 , 2021年1月 , pp.138-139

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50歳台，女性，6年前に閉経．下腹部痛を主訴に受診し，触診で下腹部〜臍上部に達する弾性硬・可動性良好な腫瘤を触知した．CTでは骨盤内に充実成分と嚢胞成分が混在する約15×10×14cm大の辺縁分葉状の腫瘤を認めた．腫瘤は拡張した右卵巣静脈と連続しており，右卵巣腫瘍を疑った．充実成分は，MRIのT1強調像で筋肉と等信号，T2強調像で不均一な淡い高信号，造影後脂肪抑制T1強調像で不均一な造影効果を認めた．拡散強調像で高信号，ADC値は0.7×10-3mm2/secであった．また，T2強調像では腫瘍右側辺縁に低信号を示すrim様構造を認め，造影で強く増強されていた．卵巣由来の悪性間葉系腫瘍を疑い，腫瘍摘出術を施行した．

ここが知りたい！

画像診断2020年9月号特集「時系列から学ぶ中枢神経疾患の画像診断−MR Retroscopy−」木村　有喜男 , 岡本　浩一郎 41巻2号 , 2021年1月 , pp.226-228

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Q1.神経軸索スフェロイドを伴う遺伝性びまん性大脳白質脳症（HDLS）と多発性硬化症（MS）の鑑別で，ADC値は参考になるのでしょうか？

Q2.頭蓋内胚腫（germinoma）の自然縮小に関連して，① 自然縮小はよくあるのでしょうか？② 他に自然縮小する腫瘍について教えてください．③ ステロイドで縮小するのはなぜでしょうか？　

Picked-up Knowledge from Foreign Journals

肺COVID-19の放射線診断小野　修一 41巻2号 , 2021年1月 , pp.230-232

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・DeepCOVID-XR：胸部単純X線写真でのCOVID-19検出における大規模な米国の臨床データベースを用いて訓練・テストされた人工知能アルゴリズム

・COVID-19入院患者のCT視覚的重症度スコアの予後的価値と経時変化の多施設研究

・COVID-19の胸部CT画像徴候：科学的エビデンスを求めて

CASE OF THE MONTH

Case of February 石橋　愛 , 藤井　進也 41巻2号 , 2021年1月 , pp.233-233

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症例　30歳台，女性．主訴：なし．　現病歴：人間ドックの腹部超音波検査で後腹膜腫瘍を指摘された．精査目的に当院消化器内科受診となった．　既往歴：2型糖尿病にて通院加療中．考えられる診断は？

The Key to Case of December 船越　麻衣 , 中井　豪 , 山本　和宏 , 大須賀　慶悟 41巻2号 , 2021年1月 , pp.234-237

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5歳．男児．主訴：発熱，頸部痛，頸部腫脹．　現病歴：4日前より38℃の発熱，頸部腫脹，疼痛あり．頸部リンパ節炎を疑われ，2日前，当院小児科に紹介．　既往歴：特記事項なし．　血液検査所見：WBC 18900/μl（Neut 86％，LYM 7.0％，MON 5.0％，EOS 0％），CRP 8.8mg/dl，Hb 12.6g/dl，Ht 36.6％，Alb 4.0g/dl，PLT 292×103/μl，AST（GOT）20U/l，ALT（GPT）12U/l ，尿中白血球（−），NTpro-BNP 330pg/ml（≦125），Na 134mmol/l．炎症反応が高値のため，扁桃周囲膿瘍除外目的で造影CTが施行された．考えられる診断は何か？

新連載　AI画像診断は，いま

第1回連載序説−AI時代を迎えて− 陣崎　雅弘 41巻2号 , 2021年1月 , pp.238-239

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ここ数年，人工知能（artificial intelligence；AI）は第3次ブームを迎え，医療業界においても人工知能に関する論文が増加の一途をたどっている．放射線科領域でもAIの有効活用に期待がもたれているが，論文レベルでの研究が盛んであるわりに，身近に実装されているAIは意外に少ないように思う．振り返ってみると，放射線科領域の読影支援ソフトは20年も前から機械学習を使って高精度をうたったものが多くありながら，実臨床でそれほど普及してこなかった．深層学習になって診断精度は向上し，ビッグジャーナルに「専門家の診断精度を越えた」という内容の論文が掲載されたりするが，海外も含めて放射線科の現場ではAIを活用した診断はほとんど行われていない．

第2回 AIの歴史と課題−なぜこれまでのAIはブームで終わったのか− 木戸　尚治 41巻2号 , 2021年1月 , pp.240-243

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●第1次AIブームは探索と推論，第2次AIブームでは知識処理の研究が行われたが，いずれも研究が行き詰まり，冬の時代を迎えた．

●現在は第3次AIブームで機械学習の時代であり，核心的技術は深層学習である．深層学習では特徴量の設計が自動的に行われ，様々な画像診断AIが開発されている．

●深層学習を基盤とするAIにおいては，少数症例対策や診断根拠明確化などの課題があり，今後の研究で解決されなければならない．

General Radiology診断演習

気にしていくべきもの黒川　遼 41巻2号 , 2021年1月 , pp.245-247

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これまで数か月おきにCTを撮影されていたが，今回初めて右腎に腫瘤を指摘された．発熱やその他の自覚症状なし．患者は11年前に肺結核の治療歴があり，現在は肺癌に対して通院治療中である．血液・尿検査結果は腫瘍マーカーも含めて特記すべき異常所見なし．あなたの診断は？

Refresher Course

頭頸部癌病期分類の画像診断馬場　亮 , 尾尻　博也 41巻2号 , 2021年1月 , pp.248-256

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頭頸部癌の病期分類では造影CTが標準的モダリティだが，舌骨上頸部病変の局所評価にはMRIが必要な場合が多い．T分類は病変の大きさや隣接する構造への浸潤の有無・程度によって規定され，それらの画像所見の理解が重要となる．頸部リンパ節転移は，大きさによる基準の診断精度は必ずしも高くなく，focal defectがより正確で特異的である．

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目次 41巻2号 , 2021年1月 , pp.135-135

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英文目次 41巻2号 , 2021年1月 , pp.136-136

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編集顧問・編集委員 41巻2号 , 2021年1月 , pp.140-140

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KEY 画像 41巻2号 , 2021年1月 , pp.222-223

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写真一覧 41巻2号 , 2021年1月 , pp.224-225

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Information 41巻2号 , 2021年1月 , pp.237-237

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投稿規定 41巻2号 , 2021年1月 , pp.257-257

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Back Numbers 41巻2号 , 2021年1月 , pp.258-259

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奥付 41巻2号 , 2021年1月 , pp.260-260

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基本情報

画像診断
41巻2号
(2021年1月発行)

電子版ISSN：2432-1281 印刷版ISSN：0285-0524 Gakken

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