画像診断 39巻12号 (2019年9月)

特集 苦手克服!よくわかる膜・間隙の画像診断

序説 松木 充
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近年,遺伝子診断の進歩,それによる新しい疾患概念が報告され,WHO分類が多くの分野で改訂され,画像診断医もこれらに対応しなくてはならない.一昔前なら,橋に発生するグリオーマといえばpontine gliomaと診断したところ,今ではヒストンH3 K27M変異によるdiffuse midline gliomaと呼び,midlineといいながらmidline以外の部位からも発生する.また,大脳皮質基底核症候群(CBS),前頭側頭型認知症(FTD),認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症[ALS(ALS-D)]と似たような運動ニューロン徴候や認知症を示すglobular glialtauopathyがしばしば研究会などで取り上げられている.筆者が研修医の頃,多血性肝腫瘍で,若年女性,経口避妊薬,腫瘍内出血といえば,肝細胞腺腫を鑑別に挙げていたが,今では肝細胞腺腫は,①HNF1α不活化型,② β-catenin活性化型,③inflammatory HCA,④分類不能型の4型に分類され,その画像診断が求められる.胸部領域ではplacental trans mogri fi ca tion,dendriformpulmonary ossifi cationなど,泌尿器領域ではMiTファミリー転座型腎細胞,粘液管状紡錘細胞癌(mucinous tubular and spindle cell carcinoma),管状嚢胞腎細胞癌(tubulo cystic RCC)など,今まで馴染みのなかった疾患を研究会でしばしば聞いたり,本で読んだりする.

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肝膵脾領域の間膜や靱帯は,主としてそれぞれの臓器を支持する役割を有する一方,炎症や腫瘍の進展経路となり,日常臨床で,それらを詳細に画像診断することは重要である.間膜や靱帯自体は,通常CTでは同定困難な場合が多いが,ランドマークとなる血管などによって把握することができ,また腹水貯留,炎症波及や腫瘍浸潤によって顕在化し,指摘することができる.膜,靱帯の病変の広がりに対する画像診断は単に所見を拾い上げるだけでなく,正確な局在診断やいかに膜,靱帯,間隙に病変が及んだのかなどの病態把握に必要で,そのためにはこれらの複雑な走行,広がりを,主に2次元表示であるCT画像から頭の中で3次元構築することが求められる.本稿では,肝膵脾に関与する間膜・靱帯の解剖と画像を解説し,臨床上注目すべき点についても述べる.

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消化管領域では,断層画像により脂肪組織内の脈管をランドマークとして間膜を認識する.これは炎症,出血,腫瘍,消化管外ガスが間膜内を進展する経路を理解・診断する際に有効である.間膜の折り返しや後腹膜へ癒合する際に,複数の間隙(recess),腹膜窩(peritoneal fossa)が存在するが,これらは内ヘルニアの原因となる.

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古典的には後腹膜腔は,前腎傍腔,腎周囲腔,後腎傍腔に区分され,その境界となるのは前腎筋膜(Gerota筋膜),後腎筋膜(Zuckerkandl 筋膜),および外側円錐筋膜である.これらの筋膜は単なる隔壁ではなく,interfascial planeと呼ばれる潜在腔でもあり,同じく隔壁であり潜在腔でもある腎周囲腔のbridging septaと交通し,液体やガスの貯留腔や伝導路となる.

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女性骨盤領域には,重要な臓器として子宮,卵巣,卵管があり,それを覆う間膜や支持する靱帯,また支配する血管,神経が存在する.画像上直接同定できる靱帯や血管あるいは尿管などをランドマークとして走行を推定する間膜,靱帯がある.これら間膜,靱帯,血管の解剖学的な知識は,我々放射線科医にとって非常に重要で,病変の占拠部位,広がり,あるいは病態を把握する上で,必要不可欠なものである.

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膜や間隙は,正常の場合,画像上ではその存在を認識できないことが多いが,構造を理解することで,腫瘍や炎症などの病変の進展を評価しやすくなる.また,膜や間隙への悪性腫瘍浸潤の評価は,病期を決定する時のキー所見となることが多い.骨盤部では骨盤内腹膜腔と骨盤内腹膜外腔に大きく分けられ,それらはさらに筋膜や靱帯などにより複数の領域に分けられる.本稿では,男性骨盤腔の正常構造について概説し,さらに,前立腺癌や膀胱癌などの頻度の高い男性骨盤部悪性腫瘍における病期や,治療方針の決定に関わる構造への病変の進展評価について解説する.

すとらびすむす

Thank you for calling 宇都宮 大輔
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平成2 年に医学部に入学し,卒業してから多くの病院に勤務してきた.思い返せば長い道のりであるが,とても約30 年も経ったとは思えない.時代は令和に入り,これからは“働き方改革”が我々の前にも立ちはだかる.これまで寝食を忘れて患者さんのため,病院のためと働いてきた医師は,これからは“働き方改革”に逆行するという点で“病院のお荷物”とされてしまうかもしれない.その一方で様々な規制や医師の業務量増加も明らかであり,増え続ける業務量と勤務時間の関係について解決していくことは容易ではないであろう.

画像診断と病理

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60歳台,女性.前医で膵腫瘤を指摘され,精査目的に来院.造影MRI検査では,造影前の脂肪抑制T1強調像(非提示)で膵鈎部に背景膵より軽度低信号を呈する腫瘤を認め,ダイナミックMRI動脈優位相で腫瘤は背景膵に比して全体的に低信号を呈し,弱い造影効果を認め,門脈相,後期相にかけて漸増性の造影効果を認めた(図1;→).腫瘤の境界は比較的明瞭で,T2強調像(非提示)では背景膵に比して軽度低信号を示し,MRCP(非提示)では腫瘤による主膵管の狭小化と末梢主膵管の軽度の拡張を認めた.

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Q1大腿骨寛骨臼インピンジメントの診断と治療において,放射線科のMRIの読影レポートに求める内容はどのようなものでしょうか?

Q2疲労骨折とシンスプリントはどのように線引きをして,画像診断や読影レポートを記載すればよいのでしょうか?

Picked-up Knowledge from Foreign Journals

婦人科悪性三大腫瘍 高濱 潤子
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・FIGO2018年版における子宮頸癌病期分類:画像診断の導入

・子宮体癌のMRI 病期診断: 最新ESURガイドライン

・卵巣・付属器腫瘍の超音波診断における用語:ACR・O-RADSに関する研究白書

CASE OF THE MONTH

Case of October 影山 咲子 , 高瀬 圭
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症例 70歳台,男性.主訴:排尿困難,残尿感. 既往歴:食道癌に対して化学放射線療法,胃癌に対して手術後(いずれも8年前).

他科のエキスパートにお尋ねします−ここを教えていただけますか?

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・成人扁平足と後脛骨筋腱機能不全症には密接な関連があり,病期によって手術療法を含めて治療方針が異なるとされますが,実際にMRI所見で重要視される点があれば,教えてください.

・距腿関節部の骨軟骨損傷は日常診療で遭遇する頻度の高い疾患ですが,MRI/CT所見の病期分類としてAnderson 分類がよく用いられると思います.臨床におけるAnderson 分類での手術適応と術式(骨髄刺激法や骨軟骨片固定術,自家骨軟骨柱移植術など)の選択について教えてください.

・捻挫後の足関節の外側靱帯・内側靱帯損傷において,治療方針を検討される際に,重要視される画像所見やポイントがあれば教えてください.また,実際の手術療法ではどのような術式を選択されるのか教えてください.

General Radiology診断演習

Tumor or not tumor ? 中井 雄大 , 黒川 遼
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4か月前から腹痛を自覚していた.近医で造影CTを撮影したところ,多発膵腫瘍を指摘され,当院に紹介となった.膵酵素,CEA,CA19-9,IgG4などは正常.

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てんかんの正確な知識に基づく画像診断は,適切な治療法の選択や予後の予測に大きく貢献する.MRI,FDG-PETと脳血流SPECTが難治性てんかんの画像診断の中心となるが,各検査個別の読影のみでは得られる情報が少ないことも多く,広い視野に立った統合的な画像診断が望まれる.

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39巻12号 (2019年9月)
電子版ISSN:2432-1281 印刷版ISSN:0285-0524 学研メディカル秀潤社

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