特集 苦手克服!よくわかる膜・間隙の画像診断
序説
松木 充
1
1近畿大学医学部放射線診断学部門
pp.1245-1245
発行日 2019年9月25日
Published Date 2019/9/25
DOI https://doi.org/10.15105/GZ.0000001370
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近年,遺伝子診断の進歩,それによる新しい疾患概念が報告され,WHO分類が多くの分野で改訂され,画像診断医もこれらに対応しなくてはならない.一昔前なら,橋に発生するグリオーマといえばpontine gliomaと診断したところ,今ではヒストンH3 K27M変異によるdiffuse midline gliomaと呼び,midlineといいながらmidline以外の部位からも発生する.また,大脳皮質基底核症候群(CBS),前頭側頭型認知症(FTD),認知症を伴う筋萎縮性側索硬化症[ALS(ALS-D)]と似たような運動ニューロン徴候や認知症を示すglobular glialtauopathyがしばしば研究会などで取り上げられている.筆者が研修医の頃,多血性肝腫瘍で,若年女性,経口避妊薬,腫瘍内出血といえば,肝細胞腺腫を鑑別に挙げていたが,今では肝細胞腺腫は,①HNF1α不活化型,② β-catenin活性化型,③inflammatory HCA,④分類不能型の4型に分類され,その画像診断が求められる.胸部領域ではplacental trans mogri fi ca tion,dendriformpulmonary ossifi cationなど,泌尿器領域ではMiTファミリー転座型腎細胞,粘液管状紡錘細胞癌(mucinous tubular and spindle cell carcinoma),管状嚢胞腎細胞癌(tubulo cystic RCC)など,今まで馴染みのなかった疾患を研究会でしばしば聞いたり,本で読んだりする.
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