Fetal & Neonatal Medicine 12巻2号 (2020年10月)

目で見る胎児・新生児の病態 Visualized Fetal & Neonatal Disease

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周産期管理の進歩で超早産児の予後は大幅に改善されたが,脳室内出血(IVH)は児の予後にとって依然として重要な病態である。日夜ハイリスク新生児の医療に携わっている山田直史先生と児玉由紀先生に,超早産児のIVHに関する自験例をもとに,最近新たにわかった超早産児のIVHの病態に関する知見を解説していただく。

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心臓カテーテル治療の歴史は,1966年にWilliam J. Rashikindによる完全大血管転位症の乳児に対する心房中隔裂開術から始まる1)。その後,動脈管開存症(patent ductus arteriosus;PDA)に対するカテーテル治療法が開発され,臨床に用いられるようになった。小児PDAは,出生体重が2.5kg以下の低出生体重児を除き,ほぼカテーテル治療による閉鎖のみで根治が可能で,小児PDAの小さい動脈管にはコイル,やや太い動脈管にはAMPLATZER™ Duct Occluder(ADO)とADOⅡが使用される。低出生体重児PDAはプロスタグランジン阻害薬により手術を回避できる例が多いが,薬物抵抗性PDAに対して開胸による動脈管結紮術に替わる新しいカテーテル治療機器の開発が望まれてきた。2020年4月に日本で初めて,PDAを有する700g以上の低出生体重児・新生児向けの低侵襲性の経カテーテル治療機器であるAMPLATZERピッコロオクルーダー(図1)が臨床導入・保険適応された。今回は,総合病院 聖隷浜松病院小児循環器科主任医長の杉山先生に,PDAを有する700g以上の低出生体重児・新生児に対するAMPLATZERピッコロオクルーダーを用いたカテーテル治療の現状と今後の展望をうかがった。

注目のTopics

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適切な栄養摂取は,母体の健康維持や胎児の健全な発育にとって重要であるのみならず,次世代の将来の健康や疾病発症リスクに長期的な影響をもたらす。妊娠前の段階から始まり,胎生期,新生児期,乳幼児期といったライフステージの最も初期段階における栄養状態が将来の肥満,糖尿病,心血管疾患などの非感染性疾患(non-communicable diseases;NCDs)発症リスクと関連することが明らかとなってきている。この現象は,1986年にBarkerらが,英国の一地方での後方視的疫学研究において,低出生体重児では将来の虚血性心疾患による死亡率が高いことを報告したことに端を発し1),その後多くの疫学研究や動物実験により支持され発展し,今日ではdevelopmental origins of health and disease(DOHaD)の概念として提唱されている2)。少子高齢化の進む現代日本において,DOHaDの概念は予防医学や先制医療の観点からも今後ますます重要性を増すものと考えられる。本稿では,妊娠と栄養に関する国内外の研究成果を交え,最近の話題を中心に述べる。「KEY WORDS」肥満,低出生体重児,DOHaD,子宮内環境,やせ,妊娠中の適正体重増加量

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周産期医療の進歩により,わが国の早産・極低出生体重児の救命率は世界的にみても高い水準にある。より未熟性が強く,体格の小さい早産児が,新生児集中治療室(NICU)から退院することが可能になった一方で,これらの児の長期的な神経発達予後は必ずしも良好であるとはいえず,わが国の周産期医療における重要な課題となっている。胎児の脳発育において,妊娠中期から後期は脳容積が急激に増大するとともに,大脳皮質および白質の形態的・機能的発達が急激に促される重要な期間である。この期間を経ることなく出生し,胎盤からの継続的な栄養の供給を絶たれた早産児においては,出生後の栄養管理と身体発育が脳発育および神経発達に多大な影響を与える可能性がある。「KEY WORDS」早産児,母乳,母乳強化療法,子宮外発育不全,積極的栄養管理

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心不全の患者には栄養不良がみられることが多く,慢性心不全患者において栄養不良[悪液質:cachexia(カヘキシア)]は心不全の重症度とは独立した死亡率に影響するリスク因子とされている1)。そのため心不全の患者の栄養療法を行ううえで,患者の栄養状態を把握する必要がある。栄養評価のためのスクリーニングツールの多くは体重の増減を最も重視しているが,うっ血による体液貯留で体重が増え,利尿薬の投与などの治療で体重が減少するなど,栄養以外の要因で体重の増減が起こりうる心不全患者では,体重を栄養評価の指標として単純に用いることができないため,多面的に栄養状態を評価し,必要な栄養管理を行う必要がある。本稿では,小児の心不全患者の病態とそれに伴う代謝の変化,栄養管理について述べる。「KEY WORDS」悪液質,小児心不全,先天性心疾患,体筋肉量

国内学会・研究会報告 Conference Report

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第64回日本新生児成育医学会・学術集会が,2019年11月27日(水)~29日(金)の3日間,鹿児島市の桜島が一望できるSHIROYAMA HOTEL kagoshima(旧 城山観光ホテル)にて,約1,000名の参加を得て開催されました。本学術集会のテーマは「Intact Survival」(障害なき生存)であり,これまで生存不可能だと考えられていた低出生体重児や病的新生児の生存が可能となってきた要因として以下のようなものが挙げられます。各地での周産期医療施設の整備(regionalization:地域化)と周産期搬送体制の整備,体温管理の進歩,低出生体重児における脳室内出血,脳室周囲白質軟化症の予防,呼吸窮迫症候群に対する肺サーファクタント補充療法,人工呼吸器管理の進歩(高頻度振動換気法,患者同調型人工換気,Nasal CPAP,Nasal High Flow,INSUREなど),各種生体モニターの進歩(tcpO₂,tcpCO₂,SpO₂,EtCO₂など)[招待講演Cherry C. Uy先生(米国カリフォルニア大学アーバイン校医学部教授)],膜型人工肺を用いた呼吸循環補助(ECMO)の進化,一酸化窒素による新生児遷延性肺高血圧症の治療,低酸素性虚血性脳症に対する低体温療法,敗血症に対する血液浄化療法の進歩,災害対策などが挙げられます。本学術集会では,それらと今後の発展に関して討議を深めました。

私のモチベーション My Motivation

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1979年,昭和大学医学部を卒業後,研修1年目は同大学病院 小児科教授の奥山和男先生のもと一般小児診療を中心に,最後の数ヵ月間は未熟児室(現在の新生児集中治療室;NICU)で新生児医療を学びました。新生児用人工呼吸器の取り扱いや採血に難渋する日々でした。当時はまだ人工肺サーファクタント補充療法導入前でしたので,呼吸窮迫症候群の児が入院すると最低でも3日間の泊まり込みを余儀なくされるなど,大変厳しい領域であるため自分には向かないと思っていました。それでも,2年目の研修先の周産期専門の葛飾赤十字産院である程度の手技ができるようになると,命を助けるだけではなく,家族ととも小さな児を育てていく新生児医療に夢中になっていました。

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目次

奥付

基本情報

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Fetal & Neonatal Medicine
12巻2号 (2020年10月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1884-555X メディカルレビュー社

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