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先天性心疾患は出生100人に1人の割合で発症し,毎年国内で1万人を超える新生児が先天性心疾患に罹患している。致死的となり得る先天性の臓器異常としては最も頻度の高い疾患群である。このなかには,自然に縮小し閉鎖する小さな欠損孔も含まれるが,先天性心疾患の手術件数は年間9,000例を上回っている1)。先天性心疾患の心臓外科手術の特徴は,対象とする患者の心臓が極めて小さいことと,その立体構築がきわめて複雑であり個人差が大きいこと,以上の2点に集約される。したがって,患者の外科手術の成否は,小児科医が心臓大血管の複雑な立体構造を正確に診断し,その情報を的確に心臓外科医に伝達することにかかっている。多列検出器型CT(multi detector row CT;MDCT)やMRによる3次元画像診断が発達し,さまざまな医療分野で広く応用されるようになった。特にマルチスライスCT(multislice CT;MSCT)は,撮影時間の短縮とそれに伴う被曝量の軽減により,先天性心疾患の診療にも広く活用されるようになってきた。しかしながら,これらの3次元画像診断は,先天性心疾患の診断と手術情報の提供に十分かというと,決してそうではない。平面モニターに映し出される立体画像は,心臓の表面や内部構造に影をつけただけの見かけ上の3次元画像(volume rendering像)に過ぎない。実際の手術では,外科医は心臓を手で触れて構造を確認し,限られた狭い視野から心内の修復を行うため,3次元の視覚情報とともに,外科医の触覚にも訴える情報手段が不可欠である。「KEY WORDS」3Dプリンティング,精密心臓レプリカ,光造形法,手術シミュレーション
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