言語聴覚研究 15巻3号 (2018年9月)

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 本研究では,嚥下能力改善に影響を与える要因について検証した.対象は当院回復期リハビリテーション病棟入棟の脳血管疾患により嚥下障害を呈した107名のうち,入院時藤島式嚥下グレード(以下,嚥下Gr)7〜10の患者および入院期間30日未満を除外した47名とした.退院時嚥下Grから入院時嚥下Grを減じたものを嚥下Gr改善度とし,嚥下Gr改善度を従属変数,年齢,疾患名,入院時GNRI(Geriatric Nutritional Risk Index),入院時FIM運動項目合計点,入院時FIM認知項目合計点を独立変数としてステップワイズ重回帰分析を実施した.回帰分析の結果,入院時GNRIとFIM運動項目合計点が抽出され(回帰係数0.31,0.49),入院期間を投入しても同じ項目が抽出された(p<0.05,R2=0.316).

 本研究の結果より,嚥下能力改善には,入院時の栄養状態や身体機能が関与することが示唆された.

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 本研究はシート状ストレッチセンサを喉頭隆起部の体表面に巻き付けて装着し,喉頭挙上時に波形の変化が認められるか確認し,得られた波形変化から安静仰臥位における嚥下回数を測定できる可能性があるか検討した.被験者は健常成人男性1名,女性1名とし,ストレッチセンサを喉頭隆起部に巻き付け,安静仰臥位で2分の測定時間内に任意のタイミングで唾液を嚥下した.得られた嚥下回数を被験者のセンサの波形,自己申告,検査者の視認の3つの項目から一致率を求めた.結果は,嚥下にともない電圧が嚥下前のベースラインから急速に減少し,再びベースライン付近まで増加する特徴的な波形変化が男女ともに得られた.嚥下回数は3つの項目で一致し,一致率は100%であった.実験の結果は,喉頭隆起部の高さに巻き付けたストレッチセンサの波形が安静状態にある仰臥位時の嚥下回数の測定へ応用できることを示している.

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 口腔ケアによる摂食嚥下機能や発声発語機能の改善効果の解明のための基礎資料を得ることを目的に,言語聴覚士(以下,ST)に対し口腔ケア実施状況を調査し,口腔ケアに対する期待や課題などについて考察を行った.その結果,多くのSTは臨床において,摂食嚥下機能向上,誤嚥性肺炎予防,口腔衛生・保清,構音機能向上などを目的に口腔ケアを実施していた.また,法律上,歯科医師や歯科衛生士以外が行えない歯石除去などの行為を行っている可能性があることがわかった.これらから,STに対する口腔ケア教育の必要性と緊急性が浮き彫りになった.

学会記録

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会期:2018年6月22日(金)・23日(土)/会場:富山県民会館・富山国際会議場

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目次

投稿規定

執筆要綱

投稿誓約書

編集後記 藤田 郁代
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 今年は災害が多く,7月に西日本を襲った豪雨は住民の方々の日々の暮らしを大きく破壊してしまいました.被災された方々に心からお見舞い申し上げますとともに,できるだけ早い時期での復旧を祈念いたします.

 西日本では,厳しい残暑の中での復旧作業がまだ続いており,日本言語聴覚士協会も大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(JRAT;Japan Disaster Rehabilitation Association Team)のメンバーとして復旧を支援しています.JRATは,2011年3月11日に発生した東日本大震災を機に結成された組織で,日本リハビリテーション医学会,日本理学療法士協会,日本作業療法士協会,日本言語聴覚士協会,日本義肢装具士協会,日本介護支援専門員協会など13団体が加盟し,大規模災害時の組織的な支援に備えて全国規模の体制づくりを進めています.人々の生活機能の維持・向上に専門的に対応するリハビリテーション専門職は,被災された方々の健康の維持,被災された障害のある方や高齢者の活動性の維持・向上に専門的な知識や技能を活用することができると思われます.当協議会は,災害時に多職種が連携して適切な対応がとれるよう,都道府県単位で多職種災害リハビリテーション・コーディネーター育成のための研修会も開催しています.

基本情報

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言語聴覚研究
15巻3号 (2018年9月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1349-5828 日本言語聴覚士協会

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