糖尿病診療マスター 14巻7号 (2016年7月)

特集 見たい,知りたい,取り入れたい—糖尿病療養支援の工夫

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POINT

・患者さんの一生に付き合う覚悟で,ライフステージに合わせたケア,合併症のケアを行っている.

・糖尿病センターの医師とかかりつけ医との主治医2人制であるとともに,センター内では糖尿病内科と糖尿病眼科との主治医2人制である.

・9つのサブスペシャリティ外来より構成され,相互に流動的に運用している.

・サブスペシャリティ外来の連携により,術前・術後管理や糖尿病合併妊娠,透析導入,重症足壊疽治療などをセンター内で一貫して行うことができる.

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POINT

・チーム医療をベースとした診療システムと指導ツールの整備.

・糖尿病診療に特化した電子カルテを中心とした情報インフラの整備.

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POINT

・糖尿病の治療の根幹は,療養指導.

・チーム医療での患者教育.

・かかりつけ医と専門医が連携—糖尿病教育外来.

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POINT

・必要最低限の項目を指導する.

・できるだけ患者さん本人に操作してもらう.しかし,必要のない操作は医療者側で行う.

・持効型インスリンの重複には気を付ける.

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POINT

・患者が主体的に糖尿病治療に取り組むことができるようになることを目指して,管理栄養士と看護師はコーチングを継続する.

・栄養・看護外来を受診したことによって行動変容をきたした患者は多く,望ましいアウトカムが得られている.

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POINT

・関電病院における糖尿病教育入院について

・チーム医療の効果とその重要性

・カンバセーション・マップTMの活用

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POINT

・糖尿病性腎症の進展・増悪を防ぐには,チーム医療が必須である.

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POINT

・糖尿病フットケア外来は施設の規模や地域での役割により,予防的フットケアを主に行う外来と重症病変に対する専門診療を行う外来(入院)に分かれる(図1).地域での両者の密接な連携が,今後ますます重要となってくると予想される.

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はじめに

 当院は福岡県久留米市に位置し,総病床数1,097の総合病院である.外来糖尿病患者数は約2,500人,糖尿病を専門に活動している医療スタッフは,専門医4人,専攻医2人,地域糖尿病療養指導士(CDEL)38人である.20年以上にわたり地域の糖尿病診療を牽引し,CDELの育成や日本糖尿病協会との共同で行う各種事業を積極的に実施している1).このような地域に密着した取り組みに加え,コーディネートナースを専属で配置し,かかりつけ医との連携を強化した.また,隣接する聖マリア学院大学(看護大学)の慢性疾患看護専門看護師も糖尿病チームに加わり,臨床研究の推進や,看護モデルを活用した療養支援を始めた.その後,ホスピタルマネージメント&ケアチームを結成,2015年から糖尿病センターへと発展し,病院内だけではなく地域に広げる糖尿病療養支援を展開している.

 本稿では,当院の糖尿病センターの概要について述べるとともに,その取り組みや地域に向けた活動について紹介する.

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 糖尿病療養支援のため,各地でさまざまな取り組みやシステムづくりがなされています.そうした取り組みを学会等で見聞きして,“あの施設のあの取り組みをぜひとも見学してみたい!”と思うことも多々あるのではないでしょうか.“どのようにすればあのようなことができるのだろう”,“ぜひとも実際の様子を見てみたい!”とスタッフカンファレンスなどで盛り上がることもあるかもしれません.スタッフの強い希望などを受けて実際に見学に出かけられるケースもあるかと思います.しかしながら,チームとして出向くには費用もかかりますし,多忙な日常業務のなかでそのような時間をつくり出すのはかなり困難です.その施設が遠方であればなおのこと,実現は難しくなります.

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 インクレチン関連薬(DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬)は低血糖のリスクが少なく,体重増加をきたしにくいといわれています.一方で,2011年に,米国食品医薬品局のデータベースを利用した解析で,エキセナチドとシタグリプチンの2剤がその他の経口血糖降下薬〔ロシグリタゾン,ナテグリニド,レパグリニド,グリピジド(スルホニル尿素(SU)薬)〕に比較し,それぞれ2.9倍,2.7倍の膵癌発症があったという報告が発表されました.以来,インクレチン関連薬が膵癌に及ぼす影響への関心が高まっており,その後さまざまな研究報告はありますが,一貫した結論は得られていません.そこで今回は,2型糖尿病患者において,SU薬と比較してインクレチン関連薬が膵癌のリスクを上昇させるのかを大規模コホートにて検討した論文をご紹介します.

こんな時どうする!? 糖尿病患者によくみられる皮膚症状

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■内科医からのQuestion 1

 「44歳,女性.頸部などに圧痛を伴う丘疹(図1)が多発しています.鑑別すべき疾患と,今後の方針について教えてください」

■皮膚科医からのAnswer

 「毛包に一致した感染症は毛包炎という診断でもよいのですが,個疹が大きく(結節),しっかりと圧痛を伴ってくる場合はせつ(furuncle)と診断します.さらに,せつが多発している場合はせつ腫症(furunculosis)と診断します.この場合,背景に糖尿病または免疫機能が低下する基礎疾患がないかどうかという観点から,スクリーニング検査を実施しておくことが推奨されます.この症例では,HbA1cが11.8%と著明に上昇しており,ご本人が自覚されていない糖尿病と,さらに眼科紹介受診にて糖尿病網膜症が指摘されました.

 鑑別すべき疾患は毛包炎,ざ瘡などですが,さらに合併する基礎疾患としてベーチェット病,膠原病,HIV感染症などを想定すべきこともあります.口内炎,陰部潰瘍,結節性紅斑(下腿に好発)などの皮膚症状についても問診,視診などで確認しておくほうがよいでしょう.

 治療は抗菌薬(ロキシスロマイシン300mg 2×)内服で,20日ほどにて略治となりました.コントロール不良の糖尿病患者でも,通常の抗菌薬治療で改善が望めますが,治療はやや遷延する傾向かと思われます.外用は抗菌薬を内服するなら不要ですが,外用するなら抗菌薬軟膏(ゲンタマイシン軟膏など)を使用します.」

糖尿病診療トレーニング問題集

内科医レベル 新田 洋介
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症例 80歳,男性.

既往歴 膠原病,糖尿病の既往なし.

専門医に訊くCommon Disease最新の知識

C型肝炎 海老沼 浩利
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Question①

新薬が発売されましたが,治療がどのように変わってきているのでしょうか.

Answer①

 C型肝炎の治療はペグインターフェロン・リバビリン併用療法が主流であったが,相応の副作用を認めるうえに,満足いく治療成績でなかった.近年,直接作用型抗ウイルス薬の登場により,これらとPEG-IFN・RBVの併用療法,あるいはインターフェロンフリー治療に移行し,より副作用が少なく高率にC型肝炎ウイルスの駆除が可能となった.

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 症例は43歳男性.小児期より肥満,28歳時に2型糖尿病と診断された.インスリン療法が開始されたが,通院自己中断,食事療法ができず血糖コントロールは不良であった.血糖コントロール目的に当院に計4回入院した.メトホルミン2,250mg,アカルボース300mg,インスリン4回法(総インスリン量56単位)でHbA1c 13.0%と血糖コントロール不良であり,43歳時当科第5回入院となった.入院中,運動療法を重点的に行い,それに食事療法・薬物療法を組み合わせた.運動療法は,ストレッチ・レジスタンス運動・有酸素運動を組み合わせた運動プログラムである.高度肥満のため,下肢筋力増強を中心とした運動療法を行った.最終的にインスリン療法を中止しても血糖値が良好化し,9.4kgの減量に成功した.運動療法の併用により達成感も高く,退院後の運動療法継続にも意欲的であった.退院後5カ月経過した今も経過は良好である.

Caseの教訓:肥満2型糖尿病への運動療法の効果は高い.継続実施のために個々の生活習慣・病状に応じたオーダーメイド指導が重要である.

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 内科系外来診療の場面において,糖尿病は最も頻度の高い慢性疾患の一つであり,治療によって予後を大幅に変えることが可能な疾患としても特別重要な位置にあると言える.家庭医療の世界では“糖尿病は慢性疾患ケア支援に関する全てがあり,慢性疾患を学ぶには糖尿病を学べ”と言われるほどである.そして,現代日本は超高齢社会となり,糖尿病に加えて多数の併存疾患を持つ高齢患者も多く,治療はより複雑になる傾向がある.したがって,糖尿病専門医だけで日本の糖尿病患者をカバーするのは不可能であり,慢性疾患に取り組むあらゆる医師,特に家庭医の糖尿病診療の質の向上が必須である.

 そして,多面的アプローチを必要とする糖尿病診療では,患者-医師関係の中だけで診療が完結するのはもはや困難であり,看護師や管理栄養士,各種セラピストなどによるチーム医療,専門職連携実践(interprofessional work : IPW)が必要である.

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糖尿病診療マスター
14巻7号 (2016年7月)
電子版ISSN:1347-8389 印刷版ISSN:1347-8176 医学書院

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