こんな時どうする!? 糖尿病患者によくみられる皮膚症状
せつ腫症,癰(よう)
五十棲 健
1
,
末木 博彦
2
1東京警察病院 皮膚科
2昭和大学医学部皮膚科学講座
pp.552-554
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200463
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■内科医からのQuestion 1
「44歳,女性.頸部などに圧痛を伴う丘疹(図1)が多発しています.鑑別すべき疾患と,今後の方針について教えてください」
■皮膚科医からのAnswer
「毛包に一致した感染症は毛包炎という診断でもよいのですが,個疹が大きく(結節),しっかりと圧痛を伴ってくる場合はせつ(furuncle)と診断します.さらに,せつが多発している場合はせつ腫症(furunculosis)と診断します.この場合,背景に糖尿病または免疫機能が低下する基礎疾患がないかどうかという観点から,スクリーニング検査を実施しておくことが推奨されます.この症例では,HbA1cが11.8%と著明に上昇しており,ご本人が自覚されていない糖尿病と,さらに眼科紹介受診にて糖尿病網膜症が指摘されました.
鑑別すべき疾患は毛包炎,ざ瘡などですが,さらに合併する基礎疾患としてベーチェット病,膠原病,HIV感染症などを想定すべきこともあります.口内炎,陰部潰瘍,結節性紅斑(下腿に好発)などの皮膚症状についても問診,視診などで確認しておくほうがよいでしょう.
治療は抗菌薬(ロキシスロマイシン300mg 2×)内服で,20日ほどにて略治となりました.コントロール不良の糖尿病患者でも,通常の抗菌薬治療で改善が望めますが,治療はやや遷延する傾向かと思われます.外用は抗菌薬を内服するなら不要ですが,外用するなら抗菌薬軟膏(ゲンタマイシン軟膏など)を使用します.」
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.