海外文献紹介
抗菌薬投与により腸内細菌叢が変化すれば,肥満者の耐糖能は改善するか?
細井 雅之
1
,
薬師寺 洋介
1
,
上野 宏樹
1
1大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター 糖尿病内科
pp.966-968
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200570
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腸内細菌が肥満や心血管代謝疾患と関連があると示唆されてきています.無菌マウスが,食事性肥満にならないことや,若干の炎症を呈しており,耐糖能も低下していることや,便移植により腸細菌を投与すると体重やインスリン感受性が変化することが,げっ歯類動物や人間でも示されました.腸内細菌叢は,プレバイオティクスや抗菌薬により変化し,腸内細菌からつくられる胆汁酸,短鎖脂肪酸も変化しえます.特に,生まれて早期の抗菌薬投与は代謝障害をきたしやすいとされていますが,これらは主に動物実験のレベルです.ヒトでのエビデンスはまだ乏しい現状です.少数の肥満者に抗菌薬投与でインスリン感受性が改善することが示されましたが,プラセボ投与の二重盲検ではありません.この論文では,二重盲検ランダムコントロール試験で行われました.
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