社会保険旬報 25巻2978号 (2025年10月発行)

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目次／視点

給付削減一本槍でない社会保険料の軽減 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.3

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社会保険旬報の今号の「目次」と、時事の話題に対して意見・解説する「視点」です。

座標

医療保険　病床転換助成事業全一般病床に拡大／厚労省　小児周産期医療提供体制を議論／適用拡大　昨年10月は企業６割適用方針社保加入が回避を上回る／大学病院　2024年度の経常利益が▲508億円本来の機能の維持が難しい状況に 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.4-5

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厚生労働行政の動向を中心とする最新の情報約４点をシンプルに、コンパクトにお伝えする「座標」です。

特別鼎談

医薬品の安定供給と創薬力強化に向けて～国民・患者が求める医薬品を提供するために～遠藤　久夫 , 安川　健司 , 安中　健 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.6-16

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2018年度から実施された薬価制度抜本改革により、魅力が失われたと言われる日本の医薬品市場。毎年薬価改定の導入をはじめ、市場拡大再算定や費用対効果評価の厳格化は結果としてドラッグ・ラグ／ロスを再燃させることになった。一方で、ジェネリックを中心とする医薬品の安定供給が社会問題に発展している。国や製薬産業はこれらにどう向かい合うべきなのか、元中医協会長の遠藤久夫・学習院大学学長、安川健司・日本製薬団体連合会長（アステラス製薬代表取締役会長）、安中健・厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課長に、新薬アクセスの最大化と持続可能な社会保障制度について語ってもらった。

ジュネーヴからの便り(26)

モンブラン・トンネル中谷　祐貴子 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.17

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　「ボンジュール」。微笑みを浮かべた警察官が私に話しかけてきた。高速道路をフランス側の国境に入ったところで側道に誘導され、最初は何事かと焦ったが、あまりにも嬉しそうな警察官の顔を見てすぐに緊張が和らいだ。そういえば、トンネルの途中で何か光ったような気がしたが、どうやらあれは速度カメラだったようだ。うっかり制限速度を超えてしまっていたのだろう。案の定、10キロ超のスピード違反を指摘され45ユーロの罰金をその場で支払わされた。

論評

これからの基礎年金を考える（下）―基礎年金に少子化対策加算を組み込む喜多村　悦史 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.18-22

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前号「上」から続く）年金と少子化　少子化が止まらない。その一因は年金制度にもあることは否定できないと思われる。年老いた親は子や孫が扶養するのが習いであった。そこに年金制度が普及して、老後の生計費の不安がかなり解消されることになると、自身の老後のために子をたくさん育てておこうという動機はなくなるからだ。　もちろんそれが少子化の最大要因などと主張する気はない。だが年間出産数が70万人を割り込み、合計特殊出生率が１に近づくとなると国難あるいは有事と呼ばざるを得ないであろう。平均寿命を85歳として人口１億人を維持しようとすれば、単純計算で年間１２０万人の出生数が必要であるし、合計特殊出生率に関しては長期的人口維持のためには２・07が必要値とされている。

潮流

賃金・物価対応の新たな仕組みを提案次期診療報酬改定で松本・日医会長 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.23

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　日本医師会の松本吉郎会長は10月１日の会見で、次期診療報酬改定における賃金・物価対応の新たな仕組みを発表した。物価・賃金上昇分について２年目の推計値を含めた水準とする改定と、２年目の分を２年目に上乗せして期中改定を行う２つの案を提案。今後、中医協などで主張していく。

中医協・入院医療等分科会の検討結果令和８年度改定に向け18項目を報告 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.24-25

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　中医協の入院・外来医療等の調査・評価分科会（尾形裕也分科会長）は９月25日、令和８年度診療報酬改定に向けた同分科会の検討結果をまとめた。10月１日の総会に報告された。令和６年度改定の答申書附帯意見に沿って、技術的な課題に関して専門的な調査と検討を行ったものだ。すでに７月31日の中間とりまとめは総会に報告している。その後の議論について、「令和７年度入院・外来医療等における実態調査」の結果も踏まえ、追記する形となっている。

在宅医療等ワーキンググループが初会合在宅医療提供体制を議論して計画に反映 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.26-27

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　厚労省の「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」（ＷＧ）の初会合が９月24日に開催された。増大する在宅医療のニーズに対応するため、第８次医療計画（後期）の在宅医療分野の指針見直しに必要な事項を議論する。在宅医療を担う医療機関の整備や多職種連携、災害時の対応などが検討課題となる。座長は野口晴子氏（早稲田大学政治経済学術院教授）が選任された。　２０４０年に向けて85歳以上高齢者が増加していく中で、医療と介護の複合ニーズをもつ人が増えて、在宅医療や訪問介護等の需要の増加が見込まれる。在宅医療では、人材の確保・医療資源の地域差・質の高い提供体制の確保等といった課題がある。

基本的視点に「物価・賃金への対応」医療保険部会が改定の基本方針を議論 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.28-29

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　社会保障審議会の医療保険部会（田辺国昭部会長）は９月26日、令和８年度診療報酬改定の基本方針について議論した。厚労省は、基本方針に記載する「基本認識」や「基本的視点」を例示。４つの基本的視点のトップに、「物価や賃金、人手不足などの医療機関等を取り巻く環境の変化への対応」をかかげた。部会では医療保険制度改革や高額療養費制度についても議論した。

健保組合６年度決算は１４５億円の黒字「ポスト２０２５」の提言も発表 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.30-32

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　健保連は９月25日、「令和６年度健康保険組合決算見込みの集計結果」と「『ポスト２０２５』健康保険組合の提言」を発表した。令和６年度決算では、経常収支は賃金上昇や保険料率引上げによる保険料収入の増加などで１４５億円の黒字となった。提言では、負担の公平性の確保や保険給付の見直しなどを求めている。

６年度決算は２３０億円の黒字に全国総合健康保険組合協議会が総会 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.33

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　全国総合健康保険組合協議会（鈴木一行会長）は９月24日、都内で定例総会を開き、令和６年度事業報告や収支決算等を承認した。会員組合の令和６年度決算状況は、保険料収入の伸びなどによって経常収支差引額は２３０億円の黒字となった。　冒頭挨拶で鈴木会長は、会員組合の令和６年度決算状況について「収入面では多くの業種で賃上げが行われたが、平均標準報酬月額は期待ほど伸びずに前年度比１・98％増にとどまった。一方、被保険者数は約12万人増え、平均標準賞与額は３・02％増となった。加えて27組合が保険料率を引き上げたこともあり、保険料収入は５・61％増だった。他方、支出面では後期高齢者支援金が５・13％増など高齢者医療制度への支援金・納付金は依然として増大を続けているが、保険給付費比はコロナ禍前の自然増程度の２・00％にとどまり、ほぼ収入に見合う支出総額となった」と説明した。

医療事故調の課題への対応策で方向性センター報告書の公表で意見分かれる 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.34

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　厚労省は10月１日の医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会（山本和彦座長）に、平成27年に施行され10年が経過する医療事故調査制度の課題に対する対応策について、各項目の方向性を示した。その中で、医療機関の管理者に同制度に関する研修を求めることや、医療事故調査・支援センターが作成し当事者に交付する個別事例の報告書を全国の医療機関に公表することなどに関して、構成員の意見が分かれた。

健保連が高額レセプトを集計高薬価の医薬品で医療費が上昇 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.35

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　健康保険組合連合会が９月25日に発表した２０２４年度の「高額レセプト上位の概要」で、高薬価の医薬品によって医療費が上昇する傾向に歯止めがかからない現状が改めて浮き彫りになった。がんや希少疾患の治療薬が全体を押し上げており、創薬イノベーションにより患者が恩恵を受ける一方で、医療保険財政の圧迫が懸念されている。

電子処方箋の導入補助、来年９月まで電カルとの一体的な導入促進を検討へ 25巻2978号 , 2025年10月 , pp.36

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　厚労省は、医療情報化支援基金（ＩＣＴ基金）による電子処方箋の導入補助を２０２６年９月に終了する。９月29日、「電子処方箋推進会議」で明らかにした。補助の取扱いについては今後、電子カルテ（電カル）を含む医療情報の共有サービスとの一体的な導入が進むよう、改めて検討する方針だ。一方、補助金による電子処方箋の導入支援として最後の１年となる２０２５年10月以降は、これまで補助対象だった「院外処方機能」に加えて新たに「院内処方機能」も対象に追加する（下図参照）。