論評
これからの基礎年金を考える(下)―基礎年金に少子化対策加算を組み込む
喜多村 悦史
1
1東京福祉大学名誉教授・元内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官
pp.18-22
発行日 2025年10月11日
Published Date 2025/10/11
DOI https://doi.org/10.57527/JUNPO2978005
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
前号「上」から続く) 年金と少子化 少子化が止まらない。その一因は年金制度にもあることは否定できないと思われる。年老いた親は子や孫が扶養するのが習いであった。そこに年金制度が普及して、老後の生計費の不安がかなり解消されることになると、自身の老後のために子をたくさん育てておこうという動機はなくなるからだ。 もちろんそれが少子化の最大要因などと主張する気はない。だが年間出産数が70万人を割り込み、合計特殊出生率が1に近づくとなると国難あるいは有事と呼ばざるを得ないであろう。平均寿命を85歳として人口1億人を維持しようとすれば、単純計算で年間120万人の出生数が必要であるし、合計特殊出生率に関しては長期的人口維持のためには2・07が必要値とされている。

Copyright © 2025 Syakaihokennkennkyuujo All Rights Reserved.