検査と技術 47巻1号 (2019年1月)

病気のはなし

てんかん 國井 尚人
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Point

●てんかんは,大脳の神経細胞の異常活動によりてんかん発作を慢性的に繰り返す病気です.診断時は,急性症候性発作,失神,心因性発作などを鑑別から除外する必要があります.

●適切な治療を行うためには,てんかんを正しく分類することが重要です.発作型(焦点,全般)や病因(素因性,構造的/代謝性)に基づき,てんかん症候群分類を行います.

●てんかんの診断において脳波検査は最も重要な検査です.脳波の波形の判読では,異常所見だけではなく,アーチファクトや正常亜型についての幅広い知識が必要となります.

技術講座 生化学

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Point

●総蛋白測定はビウレット法の普及率がほぼ100%であるが,測定試薬は1試薬系試薬と2試薬系試薬が共存し,両者で共存物質の影響が大きく異なる課題がある.

●アルブミン測定は,BCG法(1試薬系試薬)と改良BCP法(2試薬系試薬)の2つの検査法が普及し,両者でアルブミンに対する特異性が大きく異なる課題がある.

●自動分析法による分析条件は,1試薬系試薬では1ポイント−二波長法,また2試薬系試薬では2ポイント−二波長法に設定される.

●二波長法は光量補正,また2ポイント法は検体盲検の除去が可能となり,標準化の実践のためには,2ポイント−二波長法が好ましい.

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Point

●図譜とCT画像を比較しながら肝区域を理解する(基本知識).

●門脈と肝静脈を端から端まで追う(視覚的追跡).

●上記血管の断面を変える(認識反復練習).

●区域や脈管を形や文字に単純化して記憶する(単純化作業).

●自分の撮った画像を何度もリプレイし,基本形を頭に入れる(初期設定インプット).

●目を閉じて代表断面の基本画像を思い出せるようにする(イメージトレーニング).

●断面描出時の手の動きをよどみなくできるよう訓練する(エアー走査).

シリーズ 脳神経外科分野における術中神経モニタリング・2

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Point

●波形低下時のシミュレーションを行い対応に備える.

●クリップ直後の急激な波形上昇は,虚血の反応の可能性(低下,消失の前兆)があるので注意が必要である.

●術操作と関係のないCMAPコントロールが肝となる.

●筋弛緩剤の投与状況により,①TOF値の確認,②拮抗剤の使用確認が必要となる.

技術講座 微生物

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Point

●尿の塗抹検査でグラム陽性球菌を認めた場合,クラスター状か連鎖状かの情報はAerococcus属菌を同定するうえで重要である.

●複雑性尿路感染症が疑われる日常生活動作の低下した高齢者の尿培養は,Aerococcus属菌を念頭に置く.

●Aerococcus属菌は,泌尿器疾患のある高齢者に敗血症,感染性心内膜炎,腹膜炎,椎体炎などの侵襲性感染症を起こすことがある.

●Aerococcus urinaeにおけるSTの薬剤感受性は,尿中葉酸濃度が治療効果に影響を及ぼすため報告すべきではない.

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はじめに

 糖尿病とは,“インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群”と定義される.糖尿病治療の目標は,“健康な人と変わらない日常生活の質(quality of life:QOL)の維持,健康な人と変わらない寿命の確保”と位置付けられており,この目標を達成するためには,血糖値はもとより体重,血圧,血清脂質を良好にコントロールし,糖尿病細小血管合併症および動脈硬化性疾患の発症と進展を防ぐことが重要となる1).そのコントロール,いわゆる自己管理を行ううえでの主役は患者自身であり,生涯続く糖尿病治療において,患者と医療側の密接な連携は必要不可欠である.

 糖尿病療養指導とは,われわれ医療従事者が,さまざまなデータや最新の情報,食事,運動などの日常生活におけるアドバイスなどを適切に患者に伝え,自己管理が行えるように支援するものである.

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はじめに

 腎・尿路系疾患を診断・治療するうえで尿沈渣検査が重要であることは周知の事実である.尿沈渣検査は,日本臨床衛生検査技師会と日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards:JCCLS)による尿沈渣検査の標準化事業の「イエローブック」の発刊により検査技術は向上し,単なるスクリーニング検査ではなく,より診断に結びつく成分を臨床へ報告可能になってきた.

 今回,「尿沈渣検査法JCCLS GP1-P4」の未掲載成分のうち,臨床的意義が高い成分について解説する.

FOCUS

治験におけるCRCの役割 鈴木 広美
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はじめに

 治験は,治験実施計画書(プロトコル)を忠実に守り実施していかなくてはならない.治験成功のための重要な役割を担うのが治験コーディネーター(clinical research coordinator:CRC)である.CRCは臨床検査技師のスキルを発揮でき,達成感を感じることのできる仕事である.

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はじめに

 ヒトパピローマウイルス(human papilloma virus:HPV)は小型DNAウイルスの一種で,現在,200タイプ以上が同定されている.本来,皮膚や陰部の疣贅(イボ)の原因と考えられてきたHPVが,子宮頸癌,腟癌・外陰部癌,陰茎癌,肛門癌,頭頸部癌の原因であることが明らかになりつつある.

 子宮頸癌の約7割はHPV16,18型の感染によるため1),一次予防として,中学・高校生世代の女子や男子に対してHPV16,18型感染予防ワクチンを接種することによって癌の発生が防止できるようになった.二次予防の子宮頸がん検診では,これまで細胞の異常を捉える細胞診が主流であったが,最近はHPV検査によるprimary HPV検診が主流になりつつある.欧米に比べ,日本ではこれら一次,二次予防の普及は大きく遅れている.

過去問deセルフチェック!

微生物検査
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 過去の臨床検査技師国家試験にチャレンジして,知識をブラッシュアップしましょう.以下の問題にチャレンジしていただいたあと,別ページの解答と解説をお読みください.

解答と解説
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 現在市販されている迅速診断キットの反応原理は,①イムノクロマト法(immunochromatography assay:ICA),②ラテックス凝集法(latex agglutination test:LA),③酵素免疫測定法(enzyme immunoassay:EIA)あるいは酵素結合免疫吸着反応(enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA),④蛍光抗体法(immunofluorescence technique:IF)などが主流である.特に,抗原抗体反応とペーパークロマトグラフィーとを組み合わせたICAが頻用されている.検体中の抗原(ウイルスや細菌)と金コロイドで標識した抗体を反応させた後,その反応液をメンブレン(ニトロセルロース膜)に流すと,抗原と抗体が複合体を形成しながら毛細管現象によってメンブレン中を進む.この免疫複合体はメンブレン上の適当な位置のライン上に固定された抗体に捕捉されて,目視可能な着色ラインとなって陽性像を呈することになる.

 重症肺炎で重要な起炎菌であるStreptococcus pneumoniae(肺炎球菌)やLegionella pneumophila(レジオネラ)の検出には,ICAを用いた尿中の抗原検出キットが使用されている.肺炎球菌は莢膜多糖抗原を,レジオネラではリポ多糖体(lipopolysaccharide:LPS)を主成分とする可溶性の特異抗原を検出する.所要時間は15分と短く,迅速性に優れている.小児では鼻咽頭に肺炎球菌を保菌している場合に偽陽性を示すことがあるので,グラム(Gram)染色像や培養結果と併せて総合的な判断が大切である.

臨床医からの質問に答える

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細胞診断報告様式

 細胞診の報告様式としてわが国で最もよく知られているのがパパニコロウ(Papanicolaou)分類である.これは子宮頸部細胞診の実現に大きな功績を挙げた米国の病理学者ジョージ・ニコラス・パパニコロウ(1883〜1962年)が子宮頸部癌の観察のために使用した分類法で,判断の表現を表1のとおりⅠ〜Ⅴに区分をし,日本では子宮頸部以外の各臓器領域の細胞診においても広く用いられてきた.氏は今日でも標準の染色法として用いられているパパニコロウ染色を開発したことでも知られる.

 しかし,パパニコロウ分類は,あくまでも判断の表現であって,細胞所見や形態学的な定義ではないことから,国際的にはすでに用いられなくなっている.日本でも子宮頸部細胞診のベセスダシステム(国際基準)をもとにした新報告様式,日本臨床細胞学会の細胞診ガイドライン,その他いくつかの癌取扱い規約において,クラス分類ではない判定区分を推奨している.

臨床検査のピットフォール

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はじめに

 近年,精製HLA(human leukocyte antigen)抗原を結合したビーズを用いた高感度抗HLA抗体検査法(蛍光ビーズ法)が広く使用されているが,感度が高い反面,従来の細胞を使用した検査法に比べ非特異反応と考えられる例が散見される1).蛍光ビーズ法の検査結果だけでは非特異的な反応を区別することは困難であるため,参考になる検査,情報について自験例を含めて紹介する.

Q&A 読者質問箱

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Q 血液培養陽性の第一報で何を伝えればよいですか?

A 血液培養陽性は,微生物検査におけるパニック値の1つです.本題に入る前にパニック値の定義について少し触れます.パニック値の概念は1972年に米国で考案されました1).その定義は,“生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常値で,直ちに治療を開始すれば救命しうるが,その診断は,臨床的な診察だけでは困難で,検査によってのみ可能である”というものです.血液培養陽性は,菌血症あるいは敗血症という状態を示唆しており,適切な治療が早期に施されなければ生命の危機にかかわりますので,パニック値の概念にまさに符合します.

Laboratory Practice 〈生理〉

シリーズ 超音波検査の導入奮闘記・6

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甲状腺

医師:臨床検査技師さんに甲状腺超音波検査をお願いしようかと思っています.

技師:ここ最近よく聞くようになりましたが,なぜいま甲状腺の検査なのでしょうか?

ワンポイントアドバイス

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はじめに

 クロスミキシング試験〔別名:交差混合試験,ミキシング試験,mixing test,保険収載名:凝固因子インヒビター定性(クロスミキシング試験)〕は,凝固時間延長の原因を探るスクリーニング検査(鑑別診断のヒント)である.ここではクロスミキシング試験の対象となりやすい活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)延長を中心に述べる.

 本検査はスクリーニング検査であり,陰性は次の精密検査を実施しないことを意味するため,偽陰性は患者の不利益を招く.この検査が偽陰性となる要因として,血漿中の残存血小板数がかかわるため,患者血漿のみならず,試薬として用いる正常血漿の品質は重要である1〜3).以上の観点からクロスミキシング試験成功のポイントを概説する.

連載 生理検査のアーチファクト・21

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MRIにおけるアーチファクトとは?

 MRIにおけるアーチファクトとは,意図せずして画像上に発生する障害陰影を指す.アーチファクトには数種類が存在し,発生要因で分類すると大きく3種類に分けられる(表1).

 アーチファクトが発生すると,画質が低下し診断の妨げとなるが,発生要因を知っておくことで対策が可能となる.もし発生してしまっても発生要因を逆手に取ってMRI検査上有用な情報として提供できる場合もある.

ラボクイズ

尿沈渣 石田 容子

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臨床医に役立つ手元に置きたい一冊

 臨床現場において「病変の質的診断」は治療方針の決定に直結するため極めて重要である.特に,消化管,肝胆膵領域では悪性病変の頻度が低くなく,常にがんを念頭に置いて鑑別診断していく必要がある一方,がん以外の腫瘍や良性病変も存在するため慎重な診断が求められる.質的診断は画像診断と生検や細胞診などの病理診断の両者によって行われるが,ここに「落とし穴」があることを知っておく必要がある.臨床側では生検や細胞診の検体を病理に提出さえすれば確定診断が得られると考えている「勘違い」の医師が多いが,種々の理由によるサンプリングエラーがあること,肝生検やEUS-FNAの場合には腫瘍細胞の播種の危険性があることも忘れてはならない.片や,病理側では病理医の中でも専門性に差があること,HE染色だけでは確定診断ができない病変があること,病理判定の中にもグレーゾーンがあること,そしていまだわかっていない病態や病変も存在する.この「落とし穴」を埋めるために臨床医も病理を学ぶ必要があり,かつ病理医との連携を深めることが重要となる.

 『臨床に活かす病理診断学—消化管・肝胆膵編(第3版)』が医学書院から出版された.本書には,病理医だけではなく,臨床医が知っておくべき内容が満載である.入門編,基礎編,応用編で構成されており初学者にも理解しやすい.中でも入門編の「Q&A」,基礎編の「特殊染色の基礎知識」,見返しの「使用頻度の高い組織化学染色」は臨床医,研修医に大いに役立つ.「抗体早見表」や資料編として「病理診断用語集」も読者にはありがたい.

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現場で不可欠な知識を移植の流れに沿って記載

 循環器内科や消化器内科のように,内視鏡やカテーテルを駆使して消化管出血や血管閉塞を治療する外科的内科と異なり,血液内科は内科的内科である.中でも造血幹細胞移植は,感染症,免疫,その他多くの分野のさまざまな知識を必要とする,最も内科らしい治療法である.しかし一方で,初めて造血幹細胞移植の臨床を学ぶ医師・コメディカルにとって,移植は“とっつきにくい”“敷居が高い”と感じられることも少なくない.そのような印象を持って移植チームをローテートされる方々には,ぜひこのポケットマニュアルをお勧めしたい.

 造血幹細胞移植に関するガイドラインや教科書とは大きく異なり,このマニュアルでは,日常の移植現場で不可欠な知識が,移植の流れに沿って記載される構成となっており,研修医やコメディカルの方々が,必要な情報にすぐにアクセスできるよう配慮されている.また,移植後の合併症の予防・診断・治療に関しても,単なる羅列ではなく,直面する問題の頻度や重要性に合わせて重みを付けて記載されており,このマニュアルを携えて移植患者さんの診療に当たれば,移植についての知識が自然と積み上がっていくのではないかと思う.

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目次

『臨床検査』1月号のお知らせ

あとがき・次号予告 大楠 清文
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 読者の皆さま,新年明けましておめでとうございます.本年も「検査と技術」をご愛読賜りますよう,よろしくお願い申し上げます.

 2018年を振り返ってみますと,喜ばしいニュースとして,まずスポーツ分野では冬季五輪で過去最高のメダル13個を獲得,とりわけ女子カーリングチーム“そだねージャパン”に高い関心が集まったことを挙げたいと思います.その他,テニスでは大坂なおみ選手の大活躍,野球ではエンゼルス大谷翔平選手の華々しいMLB二刀流デビューと甲子園での金足農業フィーバー,サッカーではW杯で日本が決勝トーナメントに進出し,盛り上がりました.また,ベテランボランティアの尾畠春夫さんが山口県で行方不明になった2歳男児を捜索20分で発見して脚光を浴びました.そして,ノーベル医学生理学賞の受賞者に,免疫の働きを抑えるブレーキ役“PD-1”を発見し,癌に対して免疫が働くようにする新たな治療薬“オプジーボ®”の開発に貢献した本庶佑先生が選ばれました.

基本情報

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検査と技術
47巻1号 (2019年1月)
電子版ISSN:1882-1375 印刷版ISSN:0301-2611 医学書院

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