FOCUS
ヒトパピローマウイルス感染の実態
笹川 寿之
1
1金沢医科大学産科婦人科学
pp.22-26
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207453
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はじめに
ヒトパピローマウイルス(human papilloma virus:HPV)は小型DNAウイルスの一種で,現在,200タイプ以上が同定されている.本来,皮膚や陰部の疣贅(イボ)の原因と考えられてきたHPVが,子宮頸癌,腟癌・外陰部癌,陰茎癌,肛門癌,頭頸部癌の原因であることが明らかになりつつある.
子宮頸癌の約7割はHPV16,18型の感染によるため1),一次予防として,中学・高校生世代の女子や男子に対してHPV16,18型感染予防ワクチンを接種することによって癌の発生が防止できるようになった.二次予防の子宮頸がん検診では,これまで細胞の異常を捉える細胞診が主流であったが,最近はHPV検査によるprimary HPV検診が主流になりつつある.欧米に比べ,日本ではこれら一次,二次予防の普及は大きく遅れている.
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