作業療法 25巻2号 (2006年4月)

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要旨:平成17年4月1日,「個人情報の保護に関する法律」が施行された.本法では経済協力開発機構(OECD)の個人情報8原則に則り,個人情報の目的外利用や第三者提供に当たっては本人の同意を得ることなどが定められた.医療分野は別途厚生労働省から医療・介護ガイドラインが定められ,個人情報について特に適正な取り扱いの厳格な実施を確保する必要がある分野とされている.作業療法士は今後,臨床,学会発表,臨床実習受け入れなどの諸場面において,個人清報について,個人の人格尊重の理念の下,より個人としての権利を尊重しての対応が求められよう.

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要旨:ウイリアムズ症候群児6名に対し,K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー(以下,K-ABC)と図形位置判別課題を実施し,情報処理過程の特徴の抽出,視空間情報の判別と記憶機能との関連を検討した.その結果,K-ABC「位置さがし」における個人内差に低さが認められ,図形位置判別課題では斜めの図形配置を誤る者が6名中3名存在した.そのため,ウイリアムズ症候群では視空間情報の一時的な記憶,モデルの再生における情報処理過程の問題とともに,傾きを伴う視空間情報の判別に困難性を示しやすい者も存在していると考えられた.

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要旨:様々な要因が影響して発症する摂食障害に対する治療は,包括的な対処が必要であるが,作業療法の役割は十分検討されていない.本稿は摂食障害の神経性無食欲症に的を絞り,文献分析により病気の特性,主な治療法をまとめ,作業療法の役割を検討した.作業療法は,①自尊心の育成促進,②対人関係の改善,③自己表現の機会,④自己愛充足,⑤集中力改善,⑥食を忘れて楽しむ時間の提供,⑦自己コントロール力育成,⑧ストレス対処法学習(適応的行動化を含む),⑨歪んだ自己概念の改善(ボディイメージ改善を含む),⑩自己同一性確立の促進,⑪生活技能学習(回復期),⑫試行錯誤の機会提供,⑬健康な機能の強化という役割を果たすと考えられる.

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要旨:「入院患者の身体機能は低下している」が,「身体感覚に焦点をあてた作業療法は生活の狭小化した長期入院患者に新たな関心を引き起こす好機となる」という仮説を立て,統合失調症を中心とする入院患者145名を対象に身体性プログラム(身体機能測定・ストレッチ体操・手足のツボ押し)を実施した.その結果,患者の7割以上に肥満傾向がみられ,標準値と比較した握力・背筋力・立位体前屈・肺活量・視力の低下傾向が認められた.呈示した症例は,長期入院患者が身体に意識を向け,新たな活動に興味・関心を拡げていく過程,心身の柔らかさを取り戻していく過程を示しており,身体感覚に焦点をあてた本プログラムの治療的意義が確認された.

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要旨:精神科作業療法士の精神障害者に対する否定的態度に影響を与える要因の検討を目的に,基本属性(医療機関属性・個人属性),職場環境満足度,職務遂行度を自己記入式アンケートにより調査した.重回帰分析の結果は,基本属性,職場満足度,職務遂行度の3領域14変数により,62.1%の説明率が示された.特に影響を与える要因は医療機関風生の「OTR人数」,個人属性の「最終学歴」,職務遂行度の「一般プログラム」であった.職場環境満足度の「他職種との連携」,職務遂行度の「研鐙」は弱い影響要因として示された.これらの要因のうち,「OTR人数」以外は,否定的態度を減弱する要因として示された.

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要旨:半側空間無視(USN)に関してthe Catherine Bergego Scaleに一部改変を加えたADLチェックリストを作成し,その有用性と患者の障害認識の状態を検討した.脳卒中後の左片麻痺患者21例にチェックリストとBITを実施し,担当療法士からもチェックリストに回答を得た.チェックリストとBITによるUSN評価および各評価得点間の関連を検討した.結果,チェックリストは担当者の観察評価によるUSNと患者の自己評価による障害の自己認識を捉えられる可能性が示された.USN患者の自己の障害の捉え方は活動によって異なることが確認され,障害認識の評価にはより詳細な検討が必要であると考えられた.

基本情報

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作業療法
25巻2号 (2006年4月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0289-4920 日本作業療法士協会

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