作業療法 17巻3号 (1998年6月)

◆特集 治療形態としての集団

特集にあたって 本誌編集委員会
  • 文献概要を表示

 ボストンの内科医Prattの結核患者学級(1905)が,集団を治療に用いたはじまりといわれている.集団力動というより,集団教育による時間の節約であったようだ.そしてサイコドラマを創設したMorenoが,売春婦や非行少年を対象に集団精神療法を開始し(1910),その後精神障害者だけでなく,企業や学校などで訓練や教育の手段として一般の人たちにも広く用いられるようになった.作業療法においても,様々な形で用いられている.

 「治療形態としての集団」という今回の特集では,作業活動を介する治療形態としての集団の基本的な特性や効果,集団の用い方を示し,臨床の場で行われている実践とそこで得られた知見の一部を紹介する.

  • 文献概要を表示

はじめに

 人が集まり,また人を集めることにより生まれる力をどのように生かすか.本稿では,作業活動を介する治療形態としての集団の基本的な特性や,作業療法の臨床でみられる効果を示し,精神的障害を主対象に老人や発達障害などにも応用できる集団の利用について紹介する.

  • 文献概要を表示

はじめに

 筆者は個人の能力を高めることに主眼をおき,「なおす」ことと「即効性」,「主体的に生きる」という視点で,集団を活用した訓練法の体系化を模索してきた.

 本稿では,今までに経験した集団を顧みながら,身体障害領域における集団の利用について報告する.

  • 文献概要を表示

はじめに

 発達障害領域では,個別教育計画(IEP)の視点の普及とともに個別的配慮に対する理解は高まっているが,集団をどのような意図や仮説のもとに用いるかは,今後の課題である.

 本稿では集団を治療手段として意識的に用いた筆者の経験から得た知見を報告する.

  • 文献概要を表示

はじめに

 老人を対象とした予防,治療あるいは維持を目的としたリハビリテーションにおいて,グループアプローチは作業療法の手段として一般的にしかも折衷的に実施されている.集団の活用は,経済的そして機能的効果が得られるという利点がある.

 本稿では,加齢と環境の関わりという高齢者の特性を考慮した集団プログラムの実際と作業療法士の役割について報告する.

  • 文献概要を表示

要旨:この調査研究の目的は,阪神・淡路大震災が在宅虚弱・障害老人に与えた影響を知ることにあった.我々は対象者宅を直接訪問し,日常生活活動能力(Barthel Index)と社会的機能(ESCROW Profile)を調査した.対象者を一人暮らしの独居群と家族と同居する同居群に分けて比較したところ,独居群は常に同居群より高い日常生活活動能力を示し,同居群は常に高い社会的機能を有していた.しかし,ESCROW Profileを補正(家族構成の項目を除外)した場合は,独居群と同居群の高低が逆転した.これらのことから,独居群は高い潜在能力を有していることが暗示され,両群の特徴を知る必要性と今後の災害時における医療従事者の留意すべき点が示唆された.

  • 文献概要を表示

要旨:本研究は発症後に排泄の問題を生じ,何らかの排泄用具を導入した高齢障害者のその後の排泄状況の変化に着目し,排泄の自立に影響を与える要因を明らかにし,排泄の自立促進のための指導の一助とすることを目的とする.対象は都内で機能訓練事業などに参加している在宅高齢障害者である.要因として,本人の基本属性,排泄用具導入直前の排泄コントロールなどの状況,導入した排泄用具,日常生活活動(以下ADL),便器の形式等の家屋環境,介護者の属性などを取り上げ,これらの諸要因と調査実施時の排泄の自立または介助の関係を検討した結果,便座を導入した人,ADLでは整容動作の自立している人に有意に自立する人が多いという結果が得られた.便座の多くは温水洗浄便座であり,用便後の後始末が簡単なことおよび整容動作の自立は社会活動参加の維持が関連していることが推測される.

  • 文献概要を表示

要旨:研究の目的は,摂食の予後を予測し,効率的な治療計画を立てるために,摂食・嚥下の自立に関与する因子を特定することである.方法は初期評価時の9因子と,訓練終了時の摂食能力を比較した.結果,終了時の摂食・嚥下の自立は,咽頭期の問題,誤嚥,意識,痴呆,坐位保持能力と有意に関連することを示した.この結果は,これらの5因子が摂食・嚥下の予後予測や治療計画立案に重要であることを示唆する.

  • 文献概要を表示

要旨:精神障害患者の多くが運動能力の低下,肥満傾向にあり,リハビリテーションの障害要因の一つになっている.今回,入院精神障害者の肥満度を調査し,約40%が肥満傾向にあることを認めた.そこで,患者の運動機能の向上,肥満の軽減を目的に運動プログラムを作成し,施行した.運動プログラム施行5ヶ月後,運動機能の柔軟性は有意に向上し,患者の運動プログラムに対する参加意識も好意的なものが多かった.しかし,患者の体重は変化しなかった.患者のリハビリテーションをすすめるには,運動プログラムにより改善した柔軟性および患者の好意的な参加意識を維持させ,食物摂取量の調整による肥満軽減をはかることが重要であると思われた.

  • 文献概要を表示

要旨:手指の突き指や関節にかからない骨折などにより,手指PIP,DIP関節屈曲制限が比較的軽度の症状を有する事例に対して,在宅訓練用簡易装具の使用例と製作方法をまとめた.この装具は市販のゴムベルトを使い製作したため,材料入手が容易かつ安価であり,製作が単時間で可能という特徴をもつ.また,装着が簡単で場所も選ばず使用可能であり,継続的な訓練が期待できるため,在宅訓練用装具として優れていた,という結果を1症例を通して報告した.

  • 文献概要を表示

要旨:脳出血による左片麻痺の慢性期の症例に,カナダ作業遂行測定(Canadian Occupational Performance Measure:COPM)を使用した.クライエントが取りあげた問題に対応することで,本人がより主体的に関わるプログラムが実施できた.作業遂行の問題におけるクライエントの認識を評価するCOPMは,作業遂行に焦点を当てたクライエント中心の実践を導くための具体的枠組みを提供するものであった.さらに,COPMはクライエントの認識の経時的変化を数字で示すことができるので,作業療法の効果を示す評価手段としても利用できる.

基本情報

02894920.17.3.jpg
作業療法
17巻3号 (1998年6月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0289-4920 日本作業療法士協会

文献閲覧数ランキング(
10月11日~10月17日
)