Japanese
English
- 有料閲覧
PPV購入案内
2,200円 (2,000円+税10%) こちらは、595ページから599ページの文献です。購入には医書.jp本会員登録が必要です。
会員登録完了後に改めて上記「購入サイトへ」を選択してください。
または「購入サイトへ」選択後に「購入ログイン」、「新規会員登録」の順に進んでください。
会員登録について詳しくはをご確認ください。
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
I はじめに
筆者は東京郊外にある精神科単科病院(447床)で,児童・青年期の外来・入院を担当している精神科医師である。今年度(2026年6月)から新たに19歳以下を対象とした青年期病棟(36床)が開設され,「今」のニーズに合うような病棟創りに取り組んでいる。想定以上に急速にベッドが埋まり,特に希死念慮を訴える女性の入院依頼が多く,コロナ禍以降に日本の19歳までの女性の自殺率が多い傾向が続いている状況(いのち支える自殺対策推進センター,2024)とリンクしている。
もともと当院は,今から10年以上前(2012年8月)に,中学校卒業までの子どもを対象とした児童精神科病棟(33床)を開設していた。平均入院期間は300日を越え,中学3年生の退院に伴って病床が空く年度はじめ以外での入院は難しかった。それが,年々,中学生以下であっても激しい暴力や危険な自殺企図などから成人病棟に緊急入院せざるを得ないケースが増え,高校生年代で入院治療を受ける若者も増えてきた。2024年度には常時15〜20名の児童青年期患者が,成人病棟に分散して入院していた。成人病棟での治療環境では青年らしい体験の提供など年齢相応の治療の場にするには限界があり,児童青年期サポートルーム「すこやか」に所属する看護師・心理士・精神保健福祉士が各成人病棟を訪問し,青年期への対応経験豊富なスタッフとの一対一の関わりや同年代のグループ活動の提供などの工夫を継続してきた(伊東ほか,2025)。これらの現状から新たに青年期病棟を整えるニーズが高まり,今年度,新たに病棟を立ち上げることとなった。
児童・青年期の入院治療のニーズが増えてきた背景には,「みんなとどこか違う」という感覚を抱えた若者の「生きにくさ」を,精神科病院の「外」にある地域の受け皿だけでは受け止めきれなくなってきていることが影響しているのかもしれない。当院を受診する子どもたちは,虐待を含め小児期逆境体験(ACE)を多く経験し(2022〜2024年度に当院児童病棟を退院した児童生徒のACEスコア平均は3.6±2.8),神経発達症を併存していることも珍しくない(2022〜2024年度に当院児童病棟を退院した児童生徒のうち,自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)を合併している割合は68%)。また,青年期発症の治療抵抗性統合失調症に対し,当院で抗精神病薬クロザピン注1)導入を行うことも数例ある。
学校との連携が必要なケースも少なくない。家族には打ち明けられない希死念慮や自傷を教諭に相談する子どももおり,学校でリストカットや過量服薬(OD)が起きることもある。こうした場合,病院でケース会議を開くこともある。連携の前提として保護者の了解を得ることは当然であるが,保護者の協力が得られない場合に要保護児童対策協議会を開催することもある。学校の担任,主任,校長,副校長,養護教諭,スクールカウンセラー(SC),ユースソーシャルワーカー,スクールソーシャルワーカー(SSW),教育センター職員に加え,子ども家庭支援センター,児童相談所,保健所,市区町村障害福祉課,地域若者サポートステーション,放課後デイサービス事業所,訪問看護ステーションなど,多様な支援者と情報を共有して役割分担しながら支援を進める。また,不登校の場合や義務教育終了後に進学せず所属がない場合には教育分野との連携が難しくなり,支援を届けることがより困難になる。18歳を過ぎ,子ども家庭支援センターや児童相談所の伴走が得られなくなった後,どうやって若者を支えたら良いかと悩むことも多い。

Copyright© 2026 Kongo Shuppan All rights reserved.

