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背景
不適切な食習慣と肥満はいずれも,世界的に主要な公衆衛生上の課題である.2017年の世界推計(Global Burden of Disease Study)によれば,食事因子は1,090万人の死亡と2億5,500万年の障害調整生命年(DALYs;病的状態,障害,早死により失われた年数を意味する,疾病負荷を総合的に示す指標)に関与しており,これは成人全体のそれぞれ22%および15%に相当する1).一方,body mass index(BMI;体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値)が高いことは,472万人の死亡(全体の8.4%)および1億4,800万年の障害調整生命年(全体の5.9%)の原因となっていた2).
このような世界的課題に対処するための適切かつ効果的な政策として,単純または唯一の解決策が存在しないことが,近年ますます認識されている3,4).その理由として,食行動や食習慣はきわめて複雑であり,個人的要因,社会文化的要因,環境要因など,幅広い要因の影響を受けることがあげられる5,6).したがって,食行動や食習慣の形成にかかわる要因をより深く理解することが不可欠である7,8,9).
現状の食システムでは,巧みなマーケティング戦略も相まって,嗜好性が高く入手しやすく,価格も手頃な,エネルギー密度が高く栄養価の低い食品が広く流通している.これは,人々が食事摂取の推奨基準を満たすような健康的な食事をとることや,肥満にならないようにするのがむずかしい環境と言える10).このような肥満誘発的な環境では,食物摂取を,個々人が認知的に動機付けられて行う孤立した行動としてとらえるのではなく,複数の社会生態学的レベルの要因の影響を受ける集合的な実践としてとらえることが重要である6).

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