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2019年に勃発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行は,グローバルヘルス・ガバナンスの脆弱さを露呈させた.第一次トランプ政権下で勃発したこともあり,各国は自国主義に終始し,国際協調は困難で,国連や世界保健機関(WHO)の無力さが目立った.2022年2月のロシアのウクライナ侵略,2023年10月のイスラエルのガザ侵略も重なり,各国の対立が際立ち,結局,「国益重視」の世界であることが再認識された.核兵器についても国益が優先され,廃絶への道のりは遠い.日本は国連総会で可決された核兵器禁止条約(TPNW)締約国会議にオブザーバー参加もしない.「唯一の被爆国」を謳っているわりには情けない状態が続く.結局,私たちは20世紀から継続する「古い世界」にとどまっているように思える.しかし,そうではない.時代は動いている.冷戦後の状況は変化しつづけ,移民は増加し,貧富の差は拡大し,行き過ぎたグローバリズムやポリコレ(political correctness)の「正義」と,ルサンチマンに基づくグローバリズムやポリコレを主張する(似非)知性主義の嘘くささを嫌悪する「正義」が激しく対立し,両者間の和解が不可能な状態に悪化している.さらに両陣営のなかでも思想・信条は多岐に渡り,分断は絶えない.両陣営とも自分たちに都合の良い「証拠」は盲信して疑わず,都合の悪い「証拠」は陰謀論として検証もせず却下するか無視する.一部の科学・学問は劣化している.SNSによる情報の多様化が返って自分に都合の良い情報だけを選択する状況をつくり,建設的な議論を阻害している.地球規模の環境問題や健康問題に関しても両陣営間の対立と政治化は続く.AIによってフェイクニュースのレベルも向上している.日本でもこの対立は世界各国よりやや遅れて顕在化してきた.

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