最近の外國外科
—America—破傷風の治療法,他
H. M. Smathers
,
M. R. Weed
pp.594-553
発行日 1949年10月20日
Published Date 1949/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200550
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スマサース及びウイードの両氏は86例の破傷風患者に就て最近研究した結果から,その治療法を次の様な形式で施すべきことを識つたと報告している.
患者が入院した時は直ちに1%破傷風抗毒素液を以て皮膚並に結膜試驗を施すが,その結果,もし患者が血清に対する感作を有するのを認めた時には,先づ脱感作処置を施すか或は非感作性抗毒素血清を使用する.又破傷風菌が感染している創が発見された場合には抗毒素(血清)を創の周囲に局所的に1万單位,靜脈内に5万單位注射する.感染創を発見し難い場合には6万單位の抗毒素を全部靜脈内に往射する.又前に述べた感作試驗を施すや直ちに油蝋性d-tubocurarineを筋肉内に注射する.なお痙攣の直接の処置としてはintocostrin(精製したクラーレの有効成分の製剤)の靜脈内注射をしてもよい.しかし,著者たちはその場合にエーテル麻醉を施すことゝし,なおそのために患者を手術室に移し,麻醉後に2万單位の破傷風抗毒素血清を脊髄硬膜内に注射する.又この際に感染創の手術的清掃もする.手術の際には勿論,酸素,喉頭鏡管,気管挿入管,吸引装置も同時に準備しておく.ペニシリンは破傷風菌の毒素に対して,又全身的破傷風の病症治療上に於ては直接の臨床的効果はないが,気道の感染を防ぎ,創の化膿に作用せしめる意味で,毎3時間法注射を施す.
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