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特集 周産期診療コツと落とし穴
Ⅰ.母体・胎児編
(3)妊娠初期〔胎児〕
24.多胎妊娠;うすくてもしなやかで強い,切れ目のない支援に向けて―妊娠初期からの支援者の確認を忘れるべからず
高橋 雄一郎
1
Yuichiro Takahashi
1
1岐阜県総合医療センター産科・胎児診療科
キーワード:
多胎
,
家族支援
,
産後うつ
,
虐待
Keyword:
多胎
,
家族支援
,
産後うつ
,
虐待
pp.80-83
発行日 2026年10月10日
Published Date 2026/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002839
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はじめに―多胎妊娠における虐待リスク
多胎妊娠は,さまざまな要因の重なりにより容易に虐待のハイリスクとなりうる。一見,社会背景的には恵まれた環境でも,過酷なストレスが閾値を超えた“瞬間”に不幸な事件は起こりうる。一度に複数の新生児を養育する難しさ,過酷さは,なかなか一般の方々には伝わりにくい。2018年の品胎虐待死事件は,その外部調査報告書1)により,かなり詳細な背景が明らかにされた。品胎の子育て中の母親がうつ病となり,生後11か月の我が子を脳挫傷で死亡させた事件であるが,自宅に戻ってから事件は発生した。3人のお子さんを育てる過酷さ,またNICUに長期入院し,3人のなかでもミルクの飲みが悪かったり,育てにくい部分があるお子さんがいたこと,出産した市町村から自宅に戻った行政との関わりを上手に築けなかったことなどが大きな問題点といえる。特に妊娠初期の行政の関わり方にも示唆に富んだ情報を学ぶことができる。この方は,母子手帳交付時のアンケートに自身で記載した内容として「支援者はいる」と自ら書かれていたそうである。しかし,一般の方の子育てに関する「支援者」の認識が,妊娠初期の母子手帳交付時点から十分にあるとはいえないことも知っておく必要がある。こうして考えると,いかに妊娠期の産後の育児環境の推定,キーパーソンの有無の確認,可能な支援者への連携をつくっておくか,妊娠期間,最大十か月という時間があるのにもかかわらず,いままで十分になされてきたとはいえないであろう。前出の豊田市が公開している外部調査報告書は,非常に多くの重要な示唆を与えてくれていて,医療者も一度は目にすべきとても大切な教科書であると考えている。

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