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肝切除は肝胆膵外科領域における最も高度な外科治療の1つであり,出血制御と腫瘍学的根治性の両立を図りながら,安全性を最大限に確保することが常に求められてきた。肝臓は豊富な血流と複雑な脈管構造を有し,解剖学的多様性も大きいことから,肝切除は外科手術のなかでもとりわけ高難度な術式と位置付けられている。したがって,低侵襲化と根治性の両立は,長年にわたり肝胆膵外科における最重要課題であった。わが国においては,2010年に腹腔鏡下肝切除(laparoscopic liver resection;LLR)が保険収載されて以降,低侵襲肝切除は急速に普及し,術中出血量の減少,術後回復の促進,在院日数短縮など,患者予後の改善に大きく寄与してきた。これにより,従来は開腹手術が標準とされてきた多くの肝切除症例において,低侵襲アプローチが現実的な治療選択肢として定着するに至った。このような背景のもと,ロボット支援肝切除(robotic liver resection;RLR)は,三次元高解像度視野,多関節鉗子,手振れ補正,優れた操作安定性および術者エルゴノミクスの改善といった技術的特性により,従来の腹腔鏡手術では困難であった精緻な操作や複雑な縫合手技を可能とし,肝切除の精度と安全性を飛躍的に向上させる手術手技として発展してきた。わが国では2022年にRLRが保険収載されて以降,導入施設および症例数は急速に増加しており,RLRはすでに日常診療における重要な低侵襲肝切除手技の1つとなりつつある。この変化は,肝切除治療戦略における新たな転換点と位置付けられ,今後の肝胆膵外科診療の方向性にも大きな影響を及ぼすと考えられる。しかし,RLRの臨床的価値を客観的に評価するためには,周術期成績,合併症,開腹移行,腫瘍学的根治性,さらには患者報告アウトカムなど,多角的かつ高品質なエビデンスに基づく検証が不可欠である。近年,世界初の無作為化比較試験,複数の大規模メタアナリシス,さらに第4世代ロボットであるダビンチXi(da VinciⓇ Xi)やダビンチXを用いた単施設大規模研究など,RLRの臨床的位置付けを体系的に裏付けるエビデンスが相次いで報告されている。本稿では,RLRに関する最新のエビデンスを概説するとともに,当院のダビンチXi / 5を用いた治療成績を紹介し,現時点におけるRLRの臨床的意義と今後の展望につき論じる。

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