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は じ め に
日本は1961年に国民皆保険制度を導入し,以来,すべての国民に医療サービスへの自由なアクセスを保障している.しかし,少子高齢化の進展に伴う社会構造や疾病構造の変化,さらには現在の厳しい財政状況を考慮すると,制度と医療サービスの質を維持していくには不断の努力が求められている1,2).このため政府は,増大する医療費の抑制を中心に,新たな医療政策を継続的に打ち出している.こうした状況の中で,医療保険制度の仕組みや法的枠組みを正しく理解することは,日常診療を担う保険医にとってますます重要になっている.
わが国の医療保険制度は,健康保険法や国民健康保険法などの医療保険各法,高齢者の医療の確保に関する法律に基づき,保険者(協会けんぽ,国民健康保険,後期高齢者医療広域連合など)と保険医療機関との間の公法上の契約によって成立している(図1)3).医師は自らの意思で厚生局に申請し,保険医登録を行うことで「保険医」となる.したがって,保険医はこれらの法規の基本的なルールを熟知していることが前提となる.診療報酬請求内容に不備や疑義がある場合には,審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金,国民健康保険団体連合会)から査定・返戻されることがある.
保険診療として診療報酬を正当に請求するためには,以下の原則が不可欠である.
① 保険医が保険医療機関において,医学的に妥当適切な診療を行うこと.
② 医師法,医療法,医療保険各法および療養担当規則を遵守すること.
③ 診療報酬点数表に定められた請求を行うこと.
④ 診療の都度,その請求の根拠を診療録(カルテ)に記載すること.
本稿では,整形外科専門医でもある筆者が,整形外科医の方々が苦手意識をもちがちな診療報酬請求を,整形外科診療に即してわかりやすく解説する.なお,本稿は厚生労働省の公式見解ではなく,2025年11月16日執筆時点の筆者個人の経験に基づく解説であることをあらかじめお断りさせていただく.

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