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第2特集 児童虐待対応
各論
行政連携から再構成するプライマリ・ケア
髙林 学
1
1龍谷大学 心理学部
pp.872-875
発行日 2026年6月1日
Published Date 2026/6/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2026070016
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はじめに
虐待が疑われる場面において,行政機関との連携は「選択肢」ではなく「前提」である.にもかかわらず,この前提は臨床の場において十分に共有されているとは言いがたい.実際には,行政機関への通告1)や紹介といった単発的な関与に留まり,連携が形式化していることも少なくない.しかし,ここにこそ,プライマリ・ケアの本質的な役割がある.
プライマリ・ケアは,子どもや家族と「出会える」場であり,「関係が続く」場であり,さらに「問題を一つに限定しない」場である.このアクセスのしやすさ,継続性,包括性という特性は,虐待の予防,早期発見,介入,そして回復支援に至るまで,すべての段階において機能し得る.したがって,プライマリ・ケアと行政との連携とは,単なる情報の受け渡しではなく,子どもの安心と安全を担保しつつ,家族を孤立させないための「関係の再構成」機会である.両者の協働は,成立するか否かで捉えられるものではない.むしろ,連携に向けたやり取りを臆せず始めることそのものが,すでに協働の始まりであり,その過程のなかで徐々に醸成されていくものである.さらに重要なのは,そうしたやり取りを負担や対立としてではなく,支援の可能性を広げる契機として肯定的に捉える支援者側の姿勢である.このような協働のあり方が共有されて初めて,子ども,そして家族全体への支援は具体化する.

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