第2特集 児童虐待対応
各論
虐待を疑ったときの初期対応
小橋 孝介
1
1鴨川市立国保病院
pp.866-870
発行日 2026年6月1日
Published Date 2026/6/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2026070015
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はじめに
児童虐待は,われわれの生活のなかでとても身近な問題である.児童虐待の相談対応件数の統計によると,18歳未満の小児人口の約50人に1人にあたる件数が毎年通告されている.医療の現場において児童虐待に出会う機会は決してまれではなく,初期対応の知識をもち,子どもと家族を中心に行動できることは,すべての医療者に求められるコンピテンシーの一つである.『医師臨床研修指導ガイドライン』においても,2020年の改訂から児童虐待の初期対応に関する研修が必須化された.
また,児童虐待を含む小児期の逆境体験が成人期の健康に与えるさまざまな影響についての研究が近年活発に行われており,多くのエビデンスが示されている.われわれ医療者は単に児童虐待を通告するだけではなく,地域のなかで多機関・多職種と連携し,子どもと家族を支え育む支援者である必要がある.
本稿では,児童虐待の初期対応について具体的な虐待医学的知識には立ち入らず,通告や情報提供にかかわる対応の概念的な部分を概説する.また,それに関連する逆境的小児期体験(adverse childhood experiences:ACEs)および保護的小児期体験(positive childhood experiences:PCEs)についての知識を整理する.具体的な初期対応の虐待医学的知識については,日本子ども虐待医学会が実施しているBEAMS研修1)などを受講することを勧める.

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