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投稿 Empirical EYE
「心因性」と言いたくなったときの会話の迂回路—共感的理解と「I-message」で関係を立て直す
猪野 裕之
1,2
1前 東京都新島村国民健康保険式根島診療所
2現 東京都立多摩総合医療センター精神科
pp.925-927
発行日 2026年8月15日
Published Date 2026/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510360080925
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病態生理学的に説明がつきにくい身体症状や頻回受診に直面すると、治療者は鑑別を続けつつも、症状を「心因性」として早く整理したくなることがある。こうした治療構造を硬直させやすい衝動は「心因性」に限らず、苛立ち・無力感・距離を取りたいなどの感情が生じるときに、より強まりやすい。
これらは「総合診療」領域でも、治療者の陰性感情という枠組みで論じられてきた。陰性感情自体が問題なのではなく、陰性感情に引きずられて診療が硬直し、説明がパターナリスティックになったり、つながりが途切れたりする点が問題となる。さらに陰性感情が強いと、治療者の注意は「厄介だ」や「早く終えたい」という内側の圧に引き寄せられ、鑑別や再評価が粗くなるなど、認知の狭窄を介して診断エラーにつながりうる1)。

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