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クリニカルクエスチョン(CQ)が生まれた歴史的背景
重症患者の栄養療法では,かつて,負のエネルギーバランスを回避する観点から,治療早期より消費エネルギー量に近いエネルギー投与を達成すること(full feeding)が望ましいと考えられていた。しかし,侵襲下の急性期には内因性エネルギー産生が持続し,外因性エネルギー投与ではこれを十分に抑制できない。そして近年,外因性エネルギーを消費エネルギー量相当まで一律に投与すると,これに内因性エネルギー供給が加わり,過剰投与に至る可能性が明らかとなってきた1)。この不利益を説明する機序として,オートファジー抑制が挙げられる。オートファジーは,障害ミトコンドリアや細胞内病原体の除去,細胞修復に関与する防御機構であり,飢餓で活性化し,グルコース,アミノ酸,インスリンなどの栄養・同化シグナルにより抑制される2,3)。そのため,急性期の過剰な人工栄養負荷は,細胞内浄化・修復機構を抑制し,臓器回復に不利に働く可能性がある2,3)。また,過剰投与は安静時エネルギー消費量増加,二酸化炭素(CO2)産生増加,体液貯留,代謝性合併症を介して病態に悪影響を及ぼし得る4,5)。
こうした理解を背景に,2010年代以降は,急性期からfull feedingを目指すよりも,許容できる範囲で意図的に消費エネルギーより投与エネルギーを少なくするpermissive underfeedingや,腸管維持を目的とした少量栄養投与であるtrophic feedingのほうが代謝学的に安全である可能性が議論された1,6,7)。無作為化比較試験(RCT)でも,早期から目標量の全量投与を目指す戦略が一貫して予後改善を示すわけではなく,介入方法によっては感染症や消化管不耐などの不利益が問題となる可能性も示されてきた1,6,7)。一方で,低エネルギー投与は,極端なエネルギー不足や栄養投与自体を行わないことを許容するものではない。重症病態では炎症性サイトカイン,カテコールアミン,コルチゾールなどによりインスリン抵抗性と異化亢進が生じ,糖新生や急性相蛋白合成の基質として骨格筋由来のアミノ酸が動員される8)。外因性エネルギー供給の不足が遷延すると,骨格筋や呼吸筋の異化が助長され,負の窒素バランス,創傷治癒遅延,免疫応答低下,ICU-acquired weakness(ICU-AW)の進展につながり得る9〜11)。実際,観察研究ではエネルギー負債*1が合併症増加や転帰不良と関連し9,10),さらに,日本のICUではエネルギー投与量が国際的にみて十分でない可能性も報告されている12)。

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