特集 ガイドラインの意図を読み解く—栄養療法の実践知
Part 2 各論 CQ解説:ガイドラインの行間を読む
❿ CQ1-7—経腸栄養での栄養投与量が不足している重症患者に,経静脈栄養を併用すべきか?
桂 欣宏
1
,
伊藤 次郎
1
Yoshihiro KATSURA
1
,
Jiro ITO
1
1神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科・集中治療部
キーワード:
補足的経静脈栄養
,
SPN
,
消化管不耐
,
栄養リスク
,
overfeeding
Keyword:
補足的経静脈栄養
,
SPN
,
消化管不耐
,
栄養リスク
,
overfeeding
pp.381-387
発行日 2026年7月1日
Published Date 2026/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330180030381
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クリニカルクエスチョン(CQ)が生まれた歴史的背景
重症患者に対する栄養療法は,消化管が使用可能な場合,経腸栄養enteral nutrition(EN)を選択することが推奨されている。しかし,EN開始後に,嘔吐,下痢,胃残量の増加,腹部膨満などの消化器合併症が生じ,計画的な栄養投与量の増量が困難となる症例は少なくない(過去のメタ解析1)では,630例中95例においてENの計画的増量が達成されなかったと報告されている)。このような症例に対し,ENによる栄養投与量の不足分を経静脈栄養parenteral nutrition(PN)で補う補足的経静脈栄養supplemental parenteral nutrition(SPN)*1が検討されてきた。
SPNによる目標栄養量の達成によってアウトカムの改善が期待される一方で,有害事象の合併も懸念されてきた。そのため,EN単独では十分な栄養投与量を確保できない重症患者に対するSPN併用の有効性と安全性,すなわち「益と害」を明らかにすることは極めて重要な課題である。2016年の『日本版重症患者の栄養療法ガイドライン』2)ではSPNに関するCQは設定されていなかったが,『日本版重症患者の栄養療法ガイドライン2024(JCCNG 2024)』3)では,「経腸栄養での栄養投与量が不足している重症患者に,経静脈栄養を併用すべきか?」という本CQが設定された。

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