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はじめに
今から30年ほど前には,肝脳相関する疾患の研究は大きなトピックであり,現在われわれの持っている知識の多くはその頃に発展した1)。その結果,治療の著しい進歩によって,最近ではこの種の疾患は激減し,患者の予後も好転するとともに,研究テーマとしてはやや古くなった感がなきにしもあらずだが,とくに“肝性グリア”と言われるように,アストロサイトの異常形態の多くが,肝性脳症をもととして明らかにされ,これらの研究を通して,神経系機能におけるグリアの重要性が認識される糸口となった。以下には肝疾患のグリア障害につき,著者自身の研究を中心として,形態的な側面から概観する。
定型的な肝性脳症の臨床・病理像の中核は,長期にわたって反復する意識障害のエピソードと,グリアと実質(ニューロン)の二本立ての脳障害である(表1)。これにいかにアストロサイトの異常が役割を演ずるかは,今なお未解決の課題である。最近では,アストロサイトの培養,免疫組織化学,生化学分析,電顕などを併用して,肝性脳症の発生機序に関するbiopathologicalな研究が発展しつつある。
1. In the CNS glutamine synthetase (GS) is carried almost selectively in astrocytes, in which the ammonia detoxication is believed to takes place. The GS content is very low in the CNS of new born mice.
2. Hyperammonemia causes characteristic changes of astrocytes, such as Alzheimer II glia and glycogen accumulation in its cytoplasm, processes and nucleus in human autopsy cases of hepatic ence-phalopathies. The immunohistochemical GS-activity is markedly diminished in Alzheimer II glia.

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