特集 大人の自閉スペクトラム症(ASD)の精神療法―その理解と介入法をめぐって
大人の自閉スペクトラムに対する精神分析的アプローチ
岡田 暁宜
1
1名古屋大学総合保健体育科学センター
pp.650-655
発行日 2026年10月5日
Published Date 2026/10/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt52050650
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はじめに
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)は,神経発達症の一つとして位置づけられ,社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応の持続的な障害と,限定された反復的な行動・興味・活動を中核的特徴とする疾患概念である。近年では,児童期や青年期に診断されなかったが,就職,結婚,昇進など,成人期のライフイベントを契機として適応上の困難が顕在化し,初めて専門医療機関を受診する例も少なくない。本特集で取り上げる大人のASDとは,児童期や青年期のさまざまな困難を乗り越えながらも,成人期の生活場面で再び行き詰まり,適応上の問題を含む多彩な精神症状や対人関係上の困難の背景に神経発達特性が存在する一方で,一定の社会的機能は維持されており,自らの困難を理解し改善したいという治療動機を有する臨床群を想定している。
精神分析からみた大人のASDについては,既に論じられている(福本・平井,2016)。本稿では,精神分析からみた自閉スペクトラムの臨床,精神分析臨床のスペクトラム,精神医療における自閉スペクトラムの臨床,大人の自閉スペクトラムに対する精神分析的アプローチについて述べる。

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