特集 アディクション支援のフロントライン
民間回復施設「ダルク」での依存症回復支援の実際
加藤 隆
1
1特定非営利活動法人八王子ダルク
pp.100-106
発行日 2025年6月5日
Published Date 2025/6/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51070100
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Ⅰ はじめに
1985年,荒川区の古い一軒家で日本初の薬物依存症民間回復施設「ダルク」が誕生した。
日本ですでに活動が始まっていたNA(NArcotics Anonymous:ナルコティクスアノニマス,薬物依存の自助グループ)に定着するメンバーが少なく,存続の危機に瀕していたところ,仲間が集まって一緒に自助グループに通えるような場所を作ろうと考えた一人の薬物依存症当事者によってダルクは開設された。行くあてもなかった当時の薬物依存症者たちはここで回復の希望を見つけ,のちにここで回復した薬物依存症者が地元に帰り,そこで支援者の力を借りながら施設を立ち上げ,それが全国的に広がってきた歴史がある。
かくいう筆者もダルクの回復プログラムによって救われた回復途上にある薬物依存症当事者である。ここからの記述は自身のこれまでの経験も振り返りながら,ダルクでの回復支援の実際を述べたい。

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