特集 児童相談所と精神療法
応急手当と育ち直り
青木 省三
1
1公益財団法人 慈圭会精神学研究所
pp.628-629
発行日 2025年10月5日
Published Date 2025/10/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51050628
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Ⅰ 児童相談所での臨床は大変である
筆者は,児童相談所の非常勤医として働いていた時期があり,児童相談所での臨床の大変さはいくらかわかる。医療の現場における精神療法は,子どもと家族の側に立つことから出発することができるが,児童相談所での精神療法は,子どもと家族の側に立つことが容易ではない場合がある。非行や触法などの問題で,本人の意思にかかわらずやってくる子どもや家族は,支持や受容というだけでなく,時には明確な制限や禁止が求められることがある。そもそも自発的ではなくやってきた子どもと家族には,通所という動機を育むのがなかなか難しい。傍らで見ていて日々忙しく働いているスタッフの疲弊がとても心配であった。
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