連載 臨床心理学・最新研究レポート シーズン3
関係性トラウマによる傷を癒やす身体的リソース――センサリーモーターサイコセラピーの視点
渡辺 晋吾
1
1運動器ケア しまだ病院
pp.382-386
発行日 2026年5月10日
Published Date 2026/5/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp26030382
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I はじめに
現在,日本人の約6割が生涯に少なくとも一つのトラウマ体験をしている(Kawakami et al., 2014)。この中には命に危険を感じるような事故や災害のみならず,虐待や暴力,その目撃などが含まれる。社会的関係や愛着関係といった関係性の出来事によって本能的な生存反応が活性化される場合,それはトラウマとみなされ(Ogden, 2021 ; Porges, 2011),関係性トラウマ(Schore, 2001)とも呼ばれる。私たちが出会うクライエントの苦痛の背景にも,未処理のままの関係性トラウマがあることは少なくない。では,トラウマセラピーにおいてはどのようにこの関係性トラウマによる傷を癒していくのか。
本稿では,身体志向の心理療法であるセンサリーモーターサイコセラピー(Sensorimotor Psychotherapy : SP)の視点から,関係性トラウマのセラピーにおける身体的リソース,特に「自然に湧き起こる身体的リソース」の臨床的意義について論じた事例研究を紹介する。

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