レジストリーデータの活用 -―医療機器審査の立場から―

Utilization of registries data；point of view of reviews for medical devices

要旨：医療機器の開発効率化に向け，レジストリーデータの活用が新たな評価手法として注目されている。レジストリーデータは市販後の安全監視のみならず，新たな医療機器の評価のためのヒストリカルデータとしての役割，さらには適応の拡大などへの応用の可能性が期待されており，既に米国ではレジストリーデータを活用した医療機器の承認審査が開始されている。わが国でも医薬品や医療機器の承認審査または製造販売後調査などへの利活用に向け，レジストリーを用いた臨床試験デザインの研究をはじめ，レジストリーに求められる信頼性の要件などについての検討が行われている。レジストリーは有用なツールであり，そこから得られるリアルワールドエビデンスは今後，医療機器の承認審査の判断に重要な役割を果たすものと思われる。そのため，産官学が協力してレジストリーの構築を様々な領域で行っていく必要がある。