特集 社会的養護を必要とする子どもたち-子どもの最善の利益のために
児童養護施設などの機関の役割 乳児院、児童養護施設
高橋 利一
1
1至誠学舎立川
キーワード:
小児養護
,
児童養護施設
,
乳児院
Keyword:
Orphanages
,
Child Care
pp.369-374
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2019168312
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<Key Points>(1)これまでの社会的養護における乳児院、児童養護施設は長く大舎制中心の施設養護が進められてきた。一部の自治体と各施設の独自の理念や努力によって小舎制養護を実践してきたのが実情であったが、本格的な児童福祉法の改正を実施し、全国的に児童養護施設のケア形態の小規模化と地域小規模児童養護施設の普及を実現するための施策と予算を具体化した。(2)歴史的にみた養護問題の背景として、過去によくみられた、貧困や両親の死亡などによる施設入所とは異なり、親からの虐待・放任・養育拒否などを受けている例が増加していることから、施設入所に至る過程や内容が複雑化している。そうしたことからも、処遇の難しい子どもたちの入所がこれからも増加していくと考えられ、今後は、施設機能の専門化がいっそう問われてくることになる。(3)児童福祉の理念も児童福祉法改正に伴い、旧来の「保護」から「自立支援」への転換が明確となった。児童養護施設における地域小規模ケアに関する調査研究がなされ、地域小規模施設が、本体施設と周辺の地域社会の住民によってサポートされながら子どもたちのより良い生活の場として存在していくことは、新たな時代の施設を創造していくものである。(4)精神科医の報告からみる専門機能強化型児童養護施設の試行。発達障害、知的障害性などをもつ子どもたちの入所も増えてきており、これらの障害が子どもの養育を困難にする場合がある。(5)子どもの状態に合わせた多様なケアを充実させる「新しい社会的養育ビジョン」が必要である。
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