談話室
勉強の仕方,學會のやり方の研究(2)/勉強の仕方(3)—國際十進分類略記
弓削 經一
1
1京府大眼科
pp.367-372
発行日 1953年7月15日
Published Date 1953/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201551
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學會のやり方
今年の近畿眼科學會をきいていて私はつくづくと何とかしなければと考え込まないでいられなかつた。講演時間は5分,演者はいずれも何枚もの表や圖を次々とめくつて行くが,とても理解するいとまはない。恐らく正しいのであらうと考えて結論をきくのみである。スライドにしても細かく,ぎつしり書かれてあつてどう眼を見はつても駄目であつた。理解する迄に次が出るのであるからたまらない。書きとめて參考にすることも出來ない。それが出來ても其の内,耳がおるすになつて説明をきゝもらしてしまう。聖徳太子級の人物でないと今日の學會に出て,價値を見出す事は出來ないであろう。時間つぶしにはあまりにつまらない仕事ではなかろうか。
學會を意義あらしめるにはよく理解出來る様にする事,よくおばえられる様にする事の2條件が滿足せしめられたならば可いであろう。前者に對しては豫備知識をもつこと,後者に對してはノートが出來る様にすることである。之には日眼總會で行われている様に學會抄録を前以て配つておく方法がある。私の考えも之に大同小異であるが,一般にどの學會の抄録でも,文章のみで圖や數字はのつていない。圖や數字は學會當日見せてもらうのであるが,之が先にのべた様に短時間で消化しきれないのである。而も吾々の早速の利用に必要なのは實に圖や數字であつて,一度理解した後は説明はさして必要ではない。
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