論評
これからの基礎年金を考える(上)―連結年金への移行
喜多村 悦史
1
1東京福祉大学名誉教授・元内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官
pp.10-14
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.57527/JUNPO2977004
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はじめに―国民皆年金 わが国の年金の根幹は国民年金である。老齢等による生活不安を「国民の共同連帯によつて防止」すると法の目的で書かれているように、国民が漏れなく保険料を納付し、それによって必要な年金財源を確保することになっている。つまり、保険方式による皆年金である。これに関して繰り返される議論を要約すれば、①保険料を払えない者は満額年金にならないがそれで皆年金と言えるのか、②満額年金は月額7万円に満たないが老後生計費を満たせないではないか―に尽きるであろう。さらに昨今では、想定を超えて進む少子化を反転させるために年金制度でなにか仕組みを設けられないかといった要請があると思われる。いずれも難しい問題ではあるのだが、議論の焦点を単純化することによって一挙に解決する方法が見いだせるのではないか。それが本稿の意図である。

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